がん告知とは一昔前までは「本人にいつどのように伝えるか」

が主問題だったと思うが、今は当人にわかったらすぐ言う時代だ。

その代わり当人か家族や仕事関係者、友人知人など

自分以外の人にいつどうやって伝えるか

告白の仕方を悩むことは増えているのではないかと思う。

 

私も言うタイミングや言い方を悩んだ人たちが3組いる

「親」「ビジネスパートナー」「当時付き合っていた彼」だ。

 

その中で私が一番最初に告知したのはビジネスパートナのUさんだった。

なぜなら、仕事の打ち合わせを抜けて再検査結果を聞きに行ったら

再々検査になってUさんのもとに戻るのが遅くなってしまったからで

彼女には乳がん検診の再検査結果を聞きに行くということを言っていたから

何も話さないわけにはいかなかった。

 

その時UさんがいたのはHさんのお宅。

Hさんは2人がやっていた会社の帳簿の面倒を見てくれていた人。

Uさんは自身の個人事業の帳簿付けのことで教えてもらいたことがあるから

静岡に来たら私との仕事の打ち合わせのついでにHさんの家にも行きたいといい、

それで私はHさんのお宅に送り届けたあと病院に行ったのだった。

というわけでこの2人に最初に告知することになってしまった。

(正確に言うと最初の告白はがんの可能性が濃厚という告知なのだが)

 

Hさんのお宅について事の顛末を話した。

かなり濃厚らしいけど、がんと確定したわけでないこと

がんであってもごく初期らしいから大事には至らないと思う・・・と伝えた。

 

するとHさんが

「私の妹も乳がんだったけど摘出手術を受けて今元気でいる。

乳がんは発見が早ければ治る病気だし、

それに富士子は悪運強いから絶対大丈夫」と言ってくれた。

 

私の告白で重ーい空気が流れるのは嫌だなと思っていたが

このHさんの一言でそうはらなかったし、私自身元気が出てきた。

 

私の悪運が強いかどうかはさておき、

私はいざというときに寸でのところで何とかなって

最悪の事態を避けられてきたことが多いのは事実。

 

事業譲渡して会社を清算する時だって

会社の借入金の返済のために連帯保証人である私は

個人として新たな借金をしてでも返さなければならないと覚悟していたけど

最終的には私とUさんが自身の貯金を切り崩して補填できる額にまでなった。

とは言え私はこれでほぼスッテンテンになったけど、

「再出発がマイナススタートにならなったことだけでも儲けもの」

と、Hさんからも再三言われていたことだった。

 
そんなことを話しながら
Uさんも「富士子は神様に守られているからね~」と笑ってくれた。
 
私のビジネスパートナーであるUさんはとても共感性の強い人だ。
だから身の回りの人に何かトラブルが起こった時
動揺して落ち込んでしまうタイプ。
今回もそれを一番恐れたが、Hさんが力強く励ましてくれたおかげで助かった。
 
私は特定の宗教を信仰しているわけでないが
神様というか目に見えない偉大な力みたいなものの存在はあると思っている。
(会社をやっている中でそういう確信を持つようになった)。
 
偶然あの場で2人に告白せざるをえなかったことは
神様が設定した必然だったのではないかとさえ思えてくる
実に絶妙なタイミングだった。
 
告白をするまでそのことを抱えている時間はつらいが
その時間が短くて済んだこと、
いつもは電話やネットを活用したビデオ通話で話しているUさんに
直接会って言えるタイミングだったこと
そしてその場にHさんがいてくれたことも
この全てに感謝したい。