お久しぶりです。

いろんなことをしていますので、超忙しい毎日を過ごしていました。前の職場ではGID(性同一性障害)外来も担当していたためLGBT関連の活動もしています。今年は、この方面の講演もいくつか予定しています。勿論、着床障害や不育症の診療を主にしていますので、情報収集に忙しい毎日です。本来なら今日は着床に関するワークショップがある予定でしたが、台風の影響で中止となり、残念な週末です。

ところで、先日、時計台記念病院で不妊教室をやりましたが、そのテーマが上記のタイトルです。不育症に関しては様々な検査項目がありますが、「着床障害」と「不育症」との共通項目も少なくありません。時計台記念病院のわたしの着床外来ならびに「さっぽろ不育症・着床障害コンソーシアム」所属施設では、以下の項目を基本検査としています。着床障害の受精卵側の一番の原因は受精卵の染色体異常なのですが、日本では今のところ着床前スクリーニングPGT-A(PGS)は学会の特別臨床研究の実施4施設を除いて学会が禁止しています。したがってわれわれは出来ません。これを、もし実施するとこれまでは会告違反という扱いでしたが、来年の2月には改正された「医療法」が施行されますので、対応が注目されます。われわれの外来でやっているのは、①慢性子宮内膜炎検査として、子宮鏡検査、子宮内膜のCD138の免疫染色、16S-rRNAで調べる子宮内フローラ検査、②着床ウィンドウを調べるERA(endometrial receptivity analysis)検査、③シネMRI検査、④血中NK細胞活性検査などです。抗リン脂質抗体や血栓素因は、状況によっては調べますが、ルーチン検査とはしていません。2017年のESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)の不育症のガイドラインによると、不育症関連では、勿論抗リン脂質抗体検査は推奨項目に入りますが、血栓関連検査(プロテインSやXII因子など)は、不育症の原因検査としては推奨されていません。その中でNK活性は、それほどレベルは高くないものの、しっかり取り上げられています。一方Th1/Th2などは取り上げられてもいません。勿論、今後エビデンスレベルが上がる可能性はありますが、かなり前から実施されていても登場しない項目は、エビデンスが高くなる可能性は低いのかもしれません。実際のところ、どの検査・治療を選ぶかは、それぞれの施設の方針で選択されていますので、結構違います。たとえば、原因不明不育症に対する免疫グロブリン投与はESHREのガイドラインでは推奨されていませんが、現在日本で治験として多施設共同研究がなされていますので、結果に注目しています。有効という結果が出る可能性はある気がします。

着床障害に話を戻すと、子宮内膜側の問題は①、②、③で、従来の子宮内膜の厚さだけで語る時代は過ぎています。慢性子宮内膜炎は、自分達の経験でも着床障害や原因不明の不育症の方に予想以上見つかって驚いています。子宮内フローラ検査では遺伝子関連検査で原因菌の特定が出来るようになって、感受性のある抗生物質選んだり、追加でラクトフェリンを投与することで治療効果が上がっています。ERAもwindowのずれている割合が予想以上で、移植日を修正することで着床率が上がることが期待されています。。シネMRIは道内では時計台記念病院が唯一の実施施設です。子宮内膜の異常波動が時々見つかり、着床障害には必須の検査だと感じています。実際、月2回の金曜日の時計台記念病院の電話相談では、このような方の質問が増えています。