福岡市内にもロープウェイがあった!?愛宕索道跡訪問記 | 風かおる 鉄の路

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主に私が乗車した乗り物関連(鉄道中心)、その他気になったことを綴っていきます。稀にお絵かき。

2021年9月28日夕刻、ここは福岡市西区の愛宕一丁目(都市高速下)というバス停です。

今日はここからとある廃線跡へ行こうと思います。

 

その廃線跡は、Twitterでの情報提供があるまで知りませんでした。

 

 

 

↑当時の旅行記

 

福岡市でロープウェイといえば大博通りの上に建設しようとして頓挫した計画が思い浮かびますが、戦前には実際に運行されていたロープウェイがあったとは…

ほとんどの人が存在すら知らないロープウェイの廃線跡。

今回ようやく行くことができました。

 

愛宕神社にあるロープウェイ、ということでまずは神社のほうに向かいます。
 
向かうのですが……
 
鳥居をくぐるといきなり現れた急階段。
これを登らないと神社へは行けません。
 
必死に登る私を黒猫が見つめていました。
 
階段が終わってもまた階段。
そろそろしんどくなってきました…
 
途中で赤鳥居が現れますが、これは愛宕音次郎稲荷神社のもの。
愛宕神社へは鳥居をくぐらず階段を登ります。
 
左手に稲荷神社が見えてきたところでようやく階段は終わり。
 
大都市の真ん中とは思えない森の中を進みます。
 
特別緑地保全地区なのだとか。
 
 
 
しばらく歩き、茶屋の前に来て後ろを振り返ると看板が… 
 
近寄ってみると、目的のロープウェイについて書かれた看板でした…!
 

愛宕山ケーブルカー跡地

 

この愛宕神社境内地である丘の上より明治通り愛宕下までを日本で二番目、九州初となるロープウェイ(当時はケーブルカーと呼ばれていました)が愛宕神社参拝用として結ばれておりました。昭和三年春、現在の太宰府市に住んでいた豪農故西山三郎氏を始め有志数名が発起し「愛宕索道」を創業。八人乗りの箱型の二台のロープウェイによる二分間の空中遊覧は窓からの佳景や物珍しさから参拝者、観光客、修学旅行の学生達等が訪れ大変賑わっておりました。
その後、経営は西山三郎氏の長女・結城夫妻に引き継がれ更なる賑わいと共に年を経ました。
しかし時代が変遷し戦時中、男性従業員は徴兵され、更にロープ・ワイヤー・車体までも供出せざるを得ない状況を迎え、昭和十八年、開業以来十五年をもって多くの惜しむ声の中、ロープウェイはその姿を消す事になったのです。
以後、年を経るに従い次第に人々の記憶からその姿は失われ、その存在した事実を知る人も数少なくなってしまいました。
よってここにロープウェイ開業七十周年を記念し後世に語り継がれることを願い運行の証となる案内板を設置申し上げます。

 

 
 かつて一大観光スポットだった愛宕神社のロープウェイ。その運命を決したのは第二次世界大戦でした。
当時は輸送需要が小さい路線や観光目的の路線が不要不急線とされ、休止扱いとなり線路設備が撤去・供出されました。
特に観光地に多かったロープウェイ・ケーブルカーは多くが不要不急線に指定。戦後になっても復活できなかった路線も多いそうです。
 
愛宕索道もその一つ…
 
案内板横には階段があって、山上駅跡に続いているそう…
 
ということで行ってみます!
階段を登るとそこは山道。
 
歩くこと2分ほど。
何やらコンクリートの広場みたいなものが見えてきました。
 
ここが山上駅跡。
 
戦前の遺構が今、目の前に広がります。
 
 
案内板によると、この駅跡は2017年に発掘されるまでは木々に埋もれていたとか…
約70年ぶりにその姿を現したというわけです。
 
こちらは動力室跡。
 
ゴンドラを巻き上げるための機械が設置されていた場所です。
 
そして、ここが乗降場だった場所。
真ん中にあるのは点検用ホームで、乗客は左右のホームから交互に発着する2台のゴンドラに乗車していました。
 
当時の車両が写っています。
 
右側ホームに立って山麓のほうを向いてみると当時の光景が手に取るように浮かびます。
今は木々で覆われている斜面の上を登っていくゴンドラ。
高度を上げるにつれ、福岡の街並みが一望できるように…
きっと歓声があがることもあったのでしょうね…
 
こちらはホーム先端側から山上駅を見た様子。
ゴンドラが到着するときもこの光景が見えていたことでしょう。
  
思いのほか駅の跡地が残っていて驚きました。
身近な場所にこんなところがあるとは…
 
さて戻ろう…としたそのとき。
 
視線を感じて横を見ると、そこにいたのは黒猫。
こちらをじっとみつめています。
どうやら愛宕山は猫が多いらしく、帰るまでに5~6匹と遭遇しました。
 
もう一匹登場(笑) 
 
そろそろ辺りが暗くなってきましたが、せっかくなので愛宕神社にお参りしていくことに。
 
また階段です(笑)
 
 
オレンジのライトに照らされた社殿。
 
正確には鷲尾愛宕神社と呼ばれるこちら、 創始はなんと西暦72年だそうです。
 
奥にすすんでいくと、なにやらゆるキャラが…
 
ほおずきちゃんといって、この神社のキャラクターだそうです。
 
ほおずきちゃんのあった場所の奥は展望台になっていて、福岡タワーから博多湾まで一望できます。
 
私にとってはおなじみのイオンマリナタウン店も近くに。
 

 

↑訪問記
 
夜景スポットとしても人気らしいので、次は夜に来てみたいですね。
 
それでは帰りましょう。
帰る…ということは………そう。
 
この階段を降りていくということですね…
下りとはいえ長い階段は足に負担が……
なんでロープウェイ廃止しちゃったんだろう、と愚痴りながら帰っていったのでした(笑)
ちなみに徒歩では行き帰りが辛い愛宕神社ですが、車だと山の上まで直接行くことができます。
このあたりも戦後ロープウェイが復活しなかった理由なのかな?と思います。
 
大都市・福岡市の中にひっそりたたずむ忘れられたロープウェイ跡地。
山上駅の遺構がけっこう残っているのでご興味のある方は訪れてみてはいかがでしょうか?
情報提供いただいた姉ココアさんにはこの場を借りて御礼申し上げます。
 
※山の中なので虫対策はしたほうがいいと思います…(私は何箇所も蚊に刺されてしまいました…)
 
それでは。