※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。


story.3:『診察へ』






1月5日。午前中に、佐伯夏来は産婦人科病院へやって来た。

?:「あっ!」

病院の待合室の前まで行くと、声が飛んできた。

?:「夏来お兄ちゃ~ん!こっちこっちぃ~!」

夏来:「あっ」

10歳の女の子が大きく手を振ってこっちに声を掛けてくれる。
一緒にいた母が笑顔でこちらに会釈をすると、夏来も声を掛けて近付いた。

夏来:「中川さん。あと紫織ちゃん、久しぶりです。あと、明けましておめでとうございます」

中川:「明けましておめでとうございます」

紫織:「明けましておめでとうございます!」

そう挨拶をしてから紫織を挟んで隣に座られてもらった夏来は、母である中川の奥さんに話し掛けた。

夏来:「つわり、大丈夫ですか?」

中川:「大丈夫よ。私、食べつわりなの、だから…ーーーーーーーーーーーー」

そう言ってから鞄からメロンパンを出す中川の奥さん。

中川:「食べれば大丈夫!」

夏来:「は、はぁ…?」

紫織:「あと気持ち悪くなるのって夕方頃が多いの!だから最近は早くに晩ごはん食べてるよ!」

夏来:「そうなんだ…。なんかすみません、何も出来なくて。」

中川:「夏来くんが謝ることないわ。それより赤ちゃん順調に育ってると良いね!
あ、あと帰りにたまには一緒に昼食を食べない?奢るわよ」

夏来:「是非!……いやいや、自分が払います!」

紫織:「あははっ♪」

誘いに乗りながらも断るところは断る夏来を笑う紫織とその母親。

そんな2人を見てから、夏来は思い出したように聞いた。

夏来:「……そういえば今日はお姉ちゃんの嘉織ちゃんは一緒じゃないんですね?」

中川:「ああ。あの子は部活の大会があって。行きたがってましたけど、一応エースなんです。
だから送り出してきました!次は来るそうです。」

夏来:「なるほど。嘉織ちゃんやご主人にもよろしくお伝えください」

中川:「分かったわ」

紫織:「夏来お兄ちゃんって真面目だよねぇ」

夏来:「そうかな?」

紫織:「そうだよ。何で夏来お兄ちゃんみたいな、真面目で良い人がフリーなのか不思議。
絶対に良い旦那さんになりそうなのに?」

紫織にそう言われて、夏来は困ったように笑いながら言った。

夏来:「うーん…?
家族や友達にもよく言われるんだよね。たぶん、自分のことで精一杯だからかなって思ってるんだけど……」

中川:「そんな…。独身時代は皆、自分のことで精一杯ですよ。」

紫織:「きっと夏来お兄ちゃん、良い男すぎるんだよ!
だから普通の女性だと釣り合わないんじゃない?
夏来お兄ちゃんに合うのは……そう!シンデレラとか白雪姫とか、オーロラ姫クラスの女性じゃないとダメなんだよ!」

そう言ってなぜか誇らしげな顔をする紫織を苦笑した顔で見る夏来と奥さん。

中川:「お姫様クラスの女性を見付けるのは大変だけど……。
夏来くんは真面目だし、人当たりがいいけど、自分一人で楽しむ趣味もあるでしょう?
ある程度の距離感を保てる人を探すのって、難しいかもしれないね?」

夏来:「そういうものなんですかね?」

中川:「たぶん、ね。
でもこれから父親になろうとしてる人だもん、夏来くんは。
父親になったら案外あっさり婚約者が現れるかもしれないよ」

夏来:「そうなんですかね?
縁結びの婚約者が子持ちだったら相手の人、ガッカリしませんかね?」

中川:「びっくりはするだろうけど、夏来くんの年齢とか考えたら選択的シングルの道を歩んでてもおかしくはないと私は思ってますよ。」

夏来:「なるほど……」

ピンポンパンポーン
というチャイムが鳴った時だった。

『佐伯さん、佐伯夏来さん、中川さん、3番診察室へお越しください』

順番が呼ばれた夏来たちは立ち上がり、夏来は中川母子をエスコートしながら診察室へ入った。

そしてすぐに中川の奥さんは診察台に横になり、エコー機械でお腹の子供の状態を見る。

子供の状態を見てから、中川の奥さんを起こし、椅子に座らせて印刷したエコー写真を撮りに行っていた産婦人科医が戻ってきてからこう言ってきた。

医師:「赤ちゃんは順調に育ってますよ。安心してください。」

中川:「ほっ」

夏来:「良かった…」

紫織:「赤ちゃんの性別って分かりますか?」

医師:「まだ分かりませんね。
1ヶ月後には分かりますが、佐伯さんが知りたいと思いましたらお教えしますよ。」

夏来:「なら、産まれるまで秘密にしておいてください。
赤ちゃんと会ったら名前も決めたいと思ってるし、楽しみに取っておきたいので。」

医師:「分かりました。」

中川:「ふふっ。産まれるまで、ワクワクするわね!」

紫織:「わー!楽しみになってきたー!」

夏来:「うん」

夏来は返事をしてから悩むような表情を浮かべた。

中川:「?」

その様子に中川の奥さんも気付いた。

その後、予定通り3人で昼食を摂るために夏来たちは病院の近くのファミリーレストランへ。

そこで夏来は、自分の家族にも話した内容のことを中川母子にも聞かせることになる。

中川の奥さんの返答とは。
それはまた、次の物語でーーーーーーーーーーーー。






------------To be Continued...