※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。
story.7:『赤ちゃんの名前』
次男・夏来の代理母である中川の奥さんが長時間の陣痛に耐え、夏来の娘となった赤ちゃんを出産した。
今朝、泣き腫らした声で夏来から無事に産まれたことを電話で知らされ、佐伯結衣とその夫・哲はドキドキしながら病院へ向かった。
夏来は育児休暇の申請書を出すため、職場へ向かったので病院には居なかったが、新生児科のフロアーに行くと、ガラス越しから夏来の娘がすやすやと眠っている様子が見れた。
結衣:「ほっ」
結衣はそう口にしながら安堵した。
哲:「中川さん家族には感謝してもしきれないね……」
結衣:「そうだね……」
哲の言葉に大きく頷きながら、夏来の娘を見つめてため息も出た。
かわいい……この一言に尽きる。
ずっと見ていたいところだが、孫を出産してくれた中川家族にお礼を言いに行かねば。
そう思って、結衣と哲は名残惜しいが中川の奥さんがいる病室へ向かった。
中川の奥さんがいる病室の前に行くと、結衣はノックした。
コンコンッ
結衣:「失礼します」
哲:「失礼します…」
?:「どうぞー」
扉の向こうから声を掛けられ、結衣は扉を開けた。
結衣の後ろをついて行くように哲も続き、病室の中へ入ると、中川の奥さんらしき人と、その娘たちが迎え入れてくれた。
結衣:「初めまして、佐伯夏来の母です。この度は本当に、ありがとうございました!」
哲:「赤ちゃん見てきました。
とてもかわいくて……感謝してもしきれません………ひくっ」
哲はそう言ってからしゃっくりをする。結衣は困ったように笑いながら言う。
結衣:「すみません……夫は緊張するとしゃっくりが出てしまうんです。だから気にしないでください…………ほら、哲くん、お茶。」
哲:「ごめん、ごめん……」
中川妻:「ふふふっ。
私たち、そんな大それた人間じゃないので緊張することないですよ?」
中川の奥さんが笑いながらそう言うと、娘の嘉織と紫織もクスクスと笑う。
お茶を一気に飲んでしゃっくりを止めようとする哲を尻目に、結衣はこう言った。
結衣:「いえいえ!
中川さんのお陰で、夏来は父親になることが出来たんです!
ボク…っ……私たちにとっては女神様のような人ですよ、中川さんは!」
中川妻:「ふふっ!あらまぁ」
紫織:「あはは!さすが夏来お兄ちゃんのお母さんだ!」
嘉織:「言動がそっくり!」
結衣:「あはは……」
笑われてしまい、ちょっと照れていたが、結衣はふとこんなことを話し始めた。
結衣:「夏来は、昔から大人しくて落ち着いてて、悪さなんかほとんどしなくて。家族想いだし、友達も少ないけど大事にしてて…。
親のボクたちの目から見ても良い子なのにずっとフリー判定を受け続けて……。
本人は自分に原因があるんだって言ってたけど、それが余計に辛くて……」
中川妻:「お母様……」
結衣:「だから最初こそ、選択的シングルの道を選んだ夏来に驚きはしましたが、ひょっとしたら夏来がフリー判定を受け続けたのは、中川さん家族と出会うためだったんじゃ……。
今朝夏来から電話があった時、すぐに泣いていたんだって分かりました。
夏来は昔からあまり泣く子でもなかったので、泣くほど嬉しかったんだって理解しました。
夏来は今日の感動を一生忘れないと思います。そして、中川さんたちへの感謝も。」
紫織:「……夏来お兄ちゃんのお母さん。私たちも、夏来お兄ちゃんがお父さんになれて良かったって思ってるよ!」
紫織はこう言った。
紫織:「夏来お兄ちゃん、赤ちゃんが産まれるまで色々と準備したり、悩んだりしてた。
全部赤ちゃんのため!赤ちゃんのために自分はどうあるべきかをずっと考えて、私たちと一緒に見守ってきたんだよ。」
中川妻:「……はい。夏来くんほど、父親の自覚について考えて行動してる男性は、私も初めて見ました。だから、夏来くんはきっと良い父親になりますよ!」
哲:「中川さん……」
中川妻:「お2人の息子さんですしね!」
結衣:「……ありがとうございます。
本当に、息子と寄り添って頂き、ありがとうございます!」
結衣と哲は深々と頭を下げた。
中川の奥さんと嘉織と紫織は「そんなかしこまらないで~」と声を掛けながら笑顔でお礼の言葉を受け取っていた。
そしてしばらく結衣と哲は、中川の奥さんと娘たちとおしゃべりしていると、職場へ行っていた夏来が病室へやって来た。
そして夏来は、結衣たちと中川の奥さんたちの前で重大な発表を始めた。
夏来:「本当は中川の旦那さんもいる時にした方がいいのかなって思ったんだけど……」
嘉織:「お父さんのことは気にしないで!それより自分の両親がいることが重要でしょう?」
中川妻:「そうね。夫には後ででも大丈夫だよ」
夏来:「な、なら。ここにいる人たちに先に発表するね。」
夏来は鞄から折り畳んだ紙を取り出した。
夏来:「赤ちゃんの名前を、発表します!」
紫織:「待ってました!」
嘉織:「わぁ!」
待望の名前の発表にはしゃぐ紫織と嘉織を見てから、夏来は先にこう言った。
夏来:「ちなみに、名前なんだけど。事前に中川の奥さんに許可を貰って、嘉織ちゃんと紫織ちゃんの"織"の字を1つ頂きました。」
結衣:「そうなんだ~♪」
哲:「ほらほら。勿体振らないで、早く教えて♪」
夏来:「はいはい…」
哲に急かされ、夏来は折り畳んだ紙を広げようとしながら口にした。
夏来:「では、発表します。」
夏来の発表にわくわくしながら結衣たちが注目する。
夏来:「赤ちゃんの名前は……」
夏来は折り畳んだ紙を広げて、結衣たちや中川親子に見えるように紙を見せた。
そこに書いてあった名前はーーーーーーーーーーーー。
夏来:「赤ちゃんの名前は、『織禾(おりか)』にしました!
たくさんの人に恵まれて、大きく成長出来るように。」
紫織:「おぉ…!」
嘉織:「かわいい名前…!」
中川妻:「良い名前~!」
結衣:「うん!良い名前、考えたね、夏来!」
哲:「よしっ!改めて、織禾ちゃんに皆で会いに行こうか!」
紫織:「賛成!」
嘉織:「行こう!」
中川妻:「はいはい。織禾ちゃんにも報告しなくちゃね♪」
夏来:「良かったぁ、受け入れてもらえて…」
結衣:「ふふっ」
安堵する夏来の背中を擦るように撫でながら、結衣は喜んだ。
父親としての役目を先ず1つ、達成した夏来。
これからが大変な日々が始まるが、夏来なら大丈夫。
そう思いながら、結衣たちは改めて夏来の娘・織禾に会いに新生児科へ向かうのだった。
それから1週間。夏来はちゃんと毎日病院へ通い、織禾のためにお風呂の入れ方やおむつの替え方を改めて実践し、習った。
そして退院日。ギリギリまで中川家族と触れ合ってから、夏来は織禾を連れて自宅へ帰ってきた。
自宅には柊羽たち家族と舞桜たち家族が待っていて、ようやく今いる結衣たちの孫たちが勢揃いするのだった。
------------To be Continued...
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。
story.7:『赤ちゃんの名前』
次男・夏来の代理母である中川の奥さんが長時間の陣痛に耐え、夏来の娘となった赤ちゃんを出産した。
今朝、泣き腫らした声で夏来から無事に産まれたことを電話で知らされ、佐伯結衣とその夫・哲はドキドキしながら病院へ向かった。
夏来は育児休暇の申請書を出すため、職場へ向かったので病院には居なかったが、新生児科のフロアーに行くと、ガラス越しから夏来の娘がすやすやと眠っている様子が見れた。
結衣:「ほっ」
結衣はそう口にしながら安堵した。
哲:「中川さん家族には感謝してもしきれないね……」
結衣:「そうだね……」
哲の言葉に大きく頷きながら、夏来の娘を見つめてため息も出た。
かわいい……この一言に尽きる。
ずっと見ていたいところだが、孫を出産してくれた中川家族にお礼を言いに行かねば。
そう思って、結衣と哲は名残惜しいが中川の奥さんがいる病室へ向かった。
中川の奥さんがいる病室の前に行くと、結衣はノックした。
コンコンッ
結衣:「失礼します」
哲:「失礼します…」
?:「どうぞー」
扉の向こうから声を掛けられ、結衣は扉を開けた。
結衣の後ろをついて行くように哲も続き、病室の中へ入ると、中川の奥さんらしき人と、その娘たちが迎え入れてくれた。
結衣:「初めまして、佐伯夏来の母です。この度は本当に、ありがとうございました!」
哲:「赤ちゃん見てきました。
とてもかわいくて……感謝してもしきれません………ひくっ」
哲はそう言ってからしゃっくりをする。結衣は困ったように笑いながら言う。
結衣:「すみません……夫は緊張するとしゃっくりが出てしまうんです。だから気にしないでください…………ほら、哲くん、お茶。」
哲:「ごめん、ごめん……」
中川妻:「ふふふっ。
私たち、そんな大それた人間じゃないので緊張することないですよ?」
中川の奥さんが笑いながらそう言うと、娘の嘉織と紫織もクスクスと笑う。
お茶を一気に飲んでしゃっくりを止めようとする哲を尻目に、結衣はこう言った。
結衣:「いえいえ!
中川さんのお陰で、夏来は父親になることが出来たんです!
ボク…っ……私たちにとっては女神様のような人ですよ、中川さんは!」
中川妻:「ふふっ!あらまぁ」
紫織:「あはは!さすが夏来お兄ちゃんのお母さんだ!」
嘉織:「言動がそっくり!」
結衣:「あはは……」
笑われてしまい、ちょっと照れていたが、結衣はふとこんなことを話し始めた。
結衣:「夏来は、昔から大人しくて落ち着いてて、悪さなんかほとんどしなくて。家族想いだし、友達も少ないけど大事にしてて…。
親のボクたちの目から見ても良い子なのにずっとフリー判定を受け続けて……。
本人は自分に原因があるんだって言ってたけど、それが余計に辛くて……」
中川妻:「お母様……」
結衣:「だから最初こそ、選択的シングルの道を選んだ夏来に驚きはしましたが、ひょっとしたら夏来がフリー判定を受け続けたのは、中川さん家族と出会うためだったんじゃ……。
今朝夏来から電話があった時、すぐに泣いていたんだって分かりました。
夏来は昔からあまり泣く子でもなかったので、泣くほど嬉しかったんだって理解しました。
夏来は今日の感動を一生忘れないと思います。そして、中川さんたちへの感謝も。」
紫織:「……夏来お兄ちゃんのお母さん。私たちも、夏来お兄ちゃんがお父さんになれて良かったって思ってるよ!」
紫織はこう言った。
紫織:「夏来お兄ちゃん、赤ちゃんが産まれるまで色々と準備したり、悩んだりしてた。
全部赤ちゃんのため!赤ちゃんのために自分はどうあるべきかをずっと考えて、私たちと一緒に見守ってきたんだよ。」
中川妻:「……はい。夏来くんほど、父親の自覚について考えて行動してる男性は、私も初めて見ました。だから、夏来くんはきっと良い父親になりますよ!」
哲:「中川さん……」
中川妻:「お2人の息子さんですしね!」
結衣:「……ありがとうございます。
本当に、息子と寄り添って頂き、ありがとうございます!」
結衣と哲は深々と頭を下げた。
中川の奥さんと嘉織と紫織は「そんなかしこまらないで~」と声を掛けながら笑顔でお礼の言葉を受け取っていた。
そしてしばらく結衣と哲は、中川の奥さんと娘たちとおしゃべりしていると、職場へ行っていた夏来が病室へやって来た。
そして夏来は、結衣たちと中川の奥さんたちの前で重大な発表を始めた。
夏来:「本当は中川の旦那さんもいる時にした方がいいのかなって思ったんだけど……」
嘉織:「お父さんのことは気にしないで!それより自分の両親がいることが重要でしょう?」
中川妻:「そうね。夫には後ででも大丈夫だよ」
夏来:「な、なら。ここにいる人たちに先に発表するね。」
夏来は鞄から折り畳んだ紙を取り出した。
夏来:「赤ちゃんの名前を、発表します!」
紫織:「待ってました!」
嘉織:「わぁ!」
待望の名前の発表にはしゃぐ紫織と嘉織を見てから、夏来は先にこう言った。
夏来:「ちなみに、名前なんだけど。事前に中川の奥さんに許可を貰って、嘉織ちゃんと紫織ちゃんの"織"の字を1つ頂きました。」
結衣:「そうなんだ~♪」
哲:「ほらほら。勿体振らないで、早く教えて♪」
夏来:「はいはい…」
哲に急かされ、夏来は折り畳んだ紙を広げようとしながら口にした。
夏来:「では、発表します。」
夏来の発表にわくわくしながら結衣たちが注目する。
夏来:「赤ちゃんの名前は……」
夏来は折り畳んだ紙を広げて、結衣たちや中川親子に見えるように紙を見せた。
そこに書いてあった名前はーーーーーーーーーーーー。
夏来:「赤ちゃんの名前は、『織禾(おりか)』にしました!
たくさんの人に恵まれて、大きく成長出来るように。」
紫織:「おぉ…!」
嘉織:「かわいい名前…!」
中川妻:「良い名前~!」
結衣:「うん!良い名前、考えたね、夏来!」
哲:「よしっ!改めて、織禾ちゃんに皆で会いに行こうか!」
紫織:「賛成!」
嘉織:「行こう!」
中川妻:「はいはい。織禾ちゃんにも報告しなくちゃね♪」
夏来:「良かったぁ、受け入れてもらえて…」
結衣:「ふふっ」
安堵する夏来の背中を擦るように撫でながら、結衣は喜んだ。
父親としての役目を先ず1つ、達成した夏来。
これからが大変な日々が始まるが、夏来なら大丈夫。
そう思いながら、結衣たちは改めて夏来の娘・織禾に会いに新生児科へ向かうのだった。
それから1週間。夏来はちゃんと毎日病院へ通い、織禾のためにお風呂の入れ方やおむつの替え方を改めて実践し、習った。
そして退院日。ギリギリまで中川家族と触れ合ってから、夏来は織禾を連れて自宅へ帰ってきた。
自宅には柊羽たち家族と舞桜たち家族が待っていて、ようやく今いる結衣たちの孫たちが勢揃いするのだった。
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