※原作とは設定が異なっています。ご注意ください。
※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。



story.12:『ハッピーエンド?』





独歩:「アユム…!!」

愛結夢:「っ…」

『助けに来た』ーーーーーーーーーーーーその言葉を聞いて、倭愛結夢は涙が溢れ、その場で膝を付いた。

そして産まれて初めて、優しく男性の腕に包まれた。

独歩:「アユム…!アユムっ!」

愛結夢:「独歩っ…、ごめん、今まで、ごめんなさい…っ」

観音坂独歩の胸にしがみつきながら謝る愛結夢を見て、独歩は優しく頭を撫でながら言った。

独歩:「いいんだ……。俺こそ、近くにいたのに気付いてあげるの遅くなってごめんな。」

愛結夢:「うぅ~~~~!」

独歩の言葉にホッとして泣きじゃくる愛結夢を見て、邪答院仄仄は大きなため息を付いてから言った。

仄仄:「アユムちゃん。お幸せに~」

そう言って控え室を後にする仄仄のことを神宮寺寂雷だけが見送る。

愛結夢と独歩、そして寂雷の処置で落ち着いた伊弉冉一二三は仄仄に目線を向ける余裕がなかったからだ。

一二三に水が注がれたコップを手渡し、ゆっくり飲ませると、寂雷は笑顔でまだ泣いている愛結夢とそれを受け止める独歩のもとへ近付き、こう声を掛けた。

寂雷:「ヤマトさん、独歩くん。
もう大丈夫だと思うよ。
……ヤマトさんの夢は、遠ざかってしまったかもしれないけど。」

愛結夢:「…っ、いいんです。
頑張ってるのは女性だけじゃないって、独歩たちと接して気付いたので。」

独歩:「アユム……」

愛結夢:「ありがとう、独歩、寂雷さん、一二三さん!
皆が受け止めてくれたから私、自分がこれからやるべき事に気付いたよ!」

独歩:「何すんだ…?」

愛結夢の決意を聞いて、独歩は愛結夢と顔を合わせながら聞くと、寂雷が言い当てた。

寂雷:「お父様のことだね。」

愛結夢:「はい…!」

一二三:「ならいよいよ独歩くんの出番だね!」

独歩:「!」

愛結夢が実父と蹴りを付けることが分かり、過去に愛結夢からお願いされたことを実行に移すところまで迫った。

『彼氏のふり』をして、実父に会いに行くーーーーーーーーーーーーそして叶うなら愛結夢の実母を救い出す。

独歩:「アユム……任せろ!
アユムのためならいつだって動くぞ!」

愛結夢:「本当に?」

独歩:「ああ!彼氏のふりでも何でもするからな!」

独歩がそう言った時、愛結夢は嬉しそうに微笑みながら言う。

愛結夢:「"ふり"じゃなくてもいいよ…」

独歩:「えっ?」

愛結夢:「独歩なら、『恋人』として紹介出来ると思う……私……」

独歩:「~~~~~~!!!」

一二三:「良かったね、独歩くん」

寂雷:「けれど、独歩くん。
女性ばかりに言わせるのは少しばかり戴けないかな?」

独歩:「!?」

愛結夢の本音と、寂雷の指摘、優しく見守る一二三の前で、独歩は顔を真っ赤にして緊張するが、愛結夢の少し緊張した表情を目の前に、独歩は決心したように口にする。

独歩:「アユム……好きだ!
ふりじゃなくて、お母さんに『恋人』として紹介してほしい…!!」

愛結夢:「!うんっ!よろしくお願いします…!」

愛結夢の心からの笑顔を目の前に、独歩は心底ホッとしていた時、一二三が独歩に抱き付きながら「おめでとう~!」と声を掛けた。

寂雷もこの結果に安堵した。
後はこの後、出場するディビジョン・ラップ・バトル準決勝大会に集中するのみ。

愛結夢は泣き止むと、独歩たちの邪魔にならないように控え室を後にした。

そして会場の客席に座り、待つこと1時間ーーーーーーーーーーーー独歩たち麻天狼が舞台に立つ。

バトルが始まると、独歩たちはラップにそれぞれ『俺たちは皆を優しく見守る月だ!』という想いを込めて相手チームを攻撃をし、倒した。

麻天狼の勝利、そして決勝戦進出が決定して安心する愛結夢。

そんな愛結夢を遠くから見ていたのは、仄仄だった。

仄仄は退屈そうに、でも羨ましげにこう言った。

仄仄:「幸せそうな顔しちゃって……」

本来なら愛結夢の意識を変えることを考えるべきなのだろうが、仄仄には残念ながら別件が出来てしまった。

それに女としての幸せに興味が移った愛結夢に、これ以上興味は無い。

仄仄:「乱数ちゃん♡
そろそろお仕事の時間が迫っているわよ♪」

乱数:「はぁい!」

乱数と呼ばれた、クローンを引き連れて仄仄は会場から離れる。

仄仄の、愛結夢に対する興味が完全に失くなった事にはまだ気付いてなかったが、独歩は客席から笑顔で拍手を送る愛結夢を見つけ、笑顔を向けながら手を振るのだった。

ーーーーーーーーーーーーその後、2時間後に行われた決勝戦で、残念ながら麻天狼は敗退してしまった。

だが、決勝戦でのバトルで奏でたラップの『俺らは君にとってのスーパーマン』に、愛結夢はクスッと笑って拍手を送った。

ディビジョン・ラップ・バトルが終わった後、麻天狼と合流した愛結夢は早々に中王区を出てから、独歩と行ったことがあるチーズが美味しいbarへ3人を連れて行ったのだった。







------------To be Continued...