※原作とは設定が異なっています。ご注意ください。
※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。


story.2:『好きな人の香り』






耳で何か焼くような音、鼻で良い香りを感じて観音坂独歩はゆっくり目を覚ました。

そこは見慣れない天井があった。だが、見たことのある天井だった。

独歩:「ハッ!」

独歩は飛び起きた。
部屋の中を見渡した。

間違いない、ここは倭愛結夢の自宅だ。

独歩:(…や、やってしまったぁぁぁ!!)

独歩がそう思いながら頭を抱えていると、愛結夢がエプロン姿で台所からひょっこり顔を出した。

愛結夢:「おはよう、独歩!
もうすぐ朝食出来るよ。でもその前にシャワー浴びな?
一二三さんから聞いたよ、昨日もお風呂入ってないんでしょ?
入って来なさい!」

独歩:「ややややヤマト!?
大丈夫か?俺、何もしてないよな!?」

愛結夢:「何の心配してんの?
大丈夫だよ、独歩は今の今までぐっすりだったから。
それよりお風呂入って来なさい。着替えはそこに置いてあるからね。」

独歩:「は、はい…………ん?」

そう言ってからまた台所へ引っ込んだ愛結夢の話を思い返して、独歩は使わせてもらってたベッドから降りて台所へ向かう。

朝食を作っている愛結夢を見ながら独歩はふと感じた疑問を愛結夢に問い掛けた。

独歩:「何で俺の着替えが…?
それにさっき一二三から俺が昨日風呂に入ってないことを聞いたって…?」

愛結夢:「ああ、その事ね。」

愛結夢は順を追って説明をしてくれた。

愛結夢:「昨日、独歩が寝ちゃった後、まだ一二三さん帰って来てないし、万が一ジャケット着てない一二三さんと遭遇したらダメだって思ってウチに運んだの。独歩をベッドに寝かせて自分もお風呂入って寝たんだけど……」

独歩:「夜中に一二三が電話してきたのか?」

愛結夢:「明け方ね。帰ったら独歩がいないからもしかしてって思って連絡くれたの。
…で、事の経緯を話したら一二三さんが独歩が起きる30分前に独歩のスーツと下着を持って来てくれたんだよ。
一二三さん、独歩くんによろしく伝えてって言ってたよ~」

独歩:「そ、そうなのか…」

事の経緯は分かった。

独歩:(一二三ぃぃぃ!なぜ起こさない!連れて帰らない!?
まさか変な気遣いとかしてないだろうな!!!?)

独歩はぼんっと顔を赤くさせながら、何か企んでるような意味深な笑みを浮かべる一二三を思い浮かべて、独歩はさらに頭を抱える。

愛結夢への恋心を自覚した矢先の事態に悶々としていると、愛結夢が再三口にする。

愛結夢:「それよりお風呂に入って来なさい!臭いよ、独歩!」

独歩:「うっ……で、では、入って来ます……」

愛結夢:「行ってらっしゃい」

愛結夢からそう言われて、独歩は一二三が届けてくれたという着替えを持って浴室へ。

脱衣室で服を脱ぎ、浴室に入ると、湯船まで用意されていた。

独歩:(あっ)

浴室は良い香りで充満していた。それは普段から無意識に感じ取っていた愛結夢の匂い。

独歩:(ヤマトが使ってるシャンプーだ……)

そんなことを思いながらシャンプーとリンス等のボトルを見る独歩はふと思った。

独歩:(俺が使ってもいいのか?)

なんだか邪な気持ちが芽生えてきてドキドキする。
独歩は一先ずシャワーの蛇口を回し、熱いシャワーを浴びた。

そして10分ほど考えた末、愛結夢のシャンプーを使おうとしたーーーーーーーーーーーーその時だった。

愛結夢:「独歩~!ごめん、一二三さんから独歩のシャンプー持って来てもらったの忘れてた~」

独歩:「!?ままままだ全然洗ってなかったから大丈夫!
そこに置いておいてくれ!ヤマトが行ったら取るから!」

愛結夢:「ごめんね~!ま、使っても問題はなかったんだけどね。じゃあドアの前に置いとくね!」

独歩:「あ、ありがとう!」

愛結夢:「いえいえ~」

そう言って愛結夢が脱衣室から出ていったタイミングで自分のシャンプーボトル等を浴室に入れる独歩の顔はシャワーを浴びる以上に赤くなっていた。

独歩:(よ、良かったぁぁぁ…)

そこはナイス、一二三!と思いながら独歩は安心して自分のシャンプーを使ったが、それでも浴室は愛結夢の匂いでいっぱいだった。

独歩:(ヤマトの匂い……)

独歩はキュンとしながらさっと髪を洗い、体も洗ってから有り難く湯船に入った。

自宅じゃないからというのもあるが、愛結夢の自宅だからというのもあり、独歩は終始ドキドキしながら5分浸かり、そのうちにお腹が鳴ったので早々に湯船から出ることにした。

湯船から出たら愛結夢が用意してくれたのかバスタオルが置いてあり、独歩はそこでもキュンとしながらバスタオルを顔に充てた。

愛結夢の香りと、朝食の匂い。
邪な気持ちと空腹の身体を感じながら、独歩は身体を拭いて、一二三が持って来たというスーツに着替えて、愛結夢が待つ居間へ向かうのだった。







------------To be Continued...