※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。



story.22:『代理母宣言』






12月25日。この日は久しぶりに佐伯家で、三田家族、斉宮家族、飯田家族の4家族勢揃いでクリスマス会を開いた。

三田和良とみなみ夫妻、斉宮黄熊と広夫妻はそれぞれ今年産まれたばかりの赤ちゃんを連れて来ていた。

そんな赤ちゃんたちに皆が注目するなか、佐伯柊羽と朝子夫妻は、目に涙を溜めながらこう口を開いた。

朝子:「かわいいね、赤ちゃん…」

柊羽:「かわいいね……」

朝子:「…っ」

朝子は耐えきれず、涙を溢したーーーーーーーーーーーーそして、こう言った。

朝子:「……やっぱり、私、赤ちゃん、欲しいなぁ…っ」

柊羽:「朝子ちゃん……」

朝子:「でも、私の体だと、また赤ちゃんを殺しちゃう気がして…っ……それが怖いの…。」

柊羽:「っ…」

結衣:「朝子ちゃん…」

朝子:「私のせいで…っ……柊羽くんをパパにしてあげられなかったら…っ」

泣く朝子を、泣いていた柊羽が肩を抱き、支える。

そんな2人を、和良がこう声を掛ける。

和良:「朝子さんは、自分のお腹で子供を育てないと、我が子じゃないって思う人?」

朝子:「え?」

和良の意外な言葉に、柊羽と朝子、そして周りにいた結衣たちも目を丸くさせる。

だが、説明がないまま、和良はさらに問い掛ける。

和良:「自分のお腹で育てなかったら、柊羽はパパじゃない?」

朝子:「え、と……?」

柊羽:「ベル、何が言いたいの?」

みなみ:「ベル!説明無しで問われても皆、混乱するだけだよ!」

ほら、説明!という、みなみに押されて、和良はこう話を切り出した。

和良:「黄熊とも話してたんだけど……」

和良の言葉で、柊羽は一度黄熊を見てからまた和良に視線を戻すと、和良は説明してくれた。

和良:「俺、弁護士資格、持ってるじゃん?
弁護士の資格の勉強の時に勉強したんだけど、日本にも"代理母"制度っていうのがあってね?」

和良はこう言った。

和良:「この代理母制度は、子供が産めない男性や、一夫多妻・一妻多夫制度が発令された人が利用出来るっていうのは、学校の授業でも習ったでしょう?」

柊羽:「う、うん」

柊羽が頷くと、和良はさらに続けた。

和良:「この制度、基本的には"子供が産めない人"が使う制度なんだけどね……」

和良は、こう言った。

和良:「朝子ちゃんみたいに、流産を経験した人も適応されるんだよね。」

結衣:「!」

鳴海:「それって!?」

和良の話にその場にいた全員がピンと来た時、和良は柊羽と朝子に言った。

和良:「代理母制度、利用してみない?」

柊羽:「ベル…!」

和良:「き、決めるのは2人だから……俺は判断出来ないけど。
どうしても子供が欲しい。けど、また流産するのが怖いなら、利用してみるのも手かも……」

朝子:「ベルくん!」

朝子は和良に飛び付いて、和良に聞いた。

朝子:「それって、どうしたらいいの?どこで申請すれば利用出来る?」

和良:「柊羽がいるのに飛び付かないの。……えっと、普通に縁結び課だけど?」

朝子:「柊羽くん!」

柊羽:「は、はい!」

今度は柊羽に飛び付く朝子が、真剣な顔で言った。

朝子:「私!代理母制度を利用したい!」

柊羽:「朝子ちゃん……」

朝子:「ダメ、かな。柊羽くんは、私が産んだ子じゃない赤ちゃんは、自分の子じゃないって思う?」

柊羽:「!」

先ほど、和良が朝子に言った言葉が柊羽に返ってきた。

柊羽はその事実にびっくりしたが、すぐにすんっと真面目な顔になり、こう言った。

柊羽:「どんな形で産まれてきても、君との子供を授かれるなら、俺も代理母制度を利用したいよ」

朝子:「柊羽くん…!」

柊羽:「ベル、教えてくれてありがとう!朝子ちゃんのお義父さんにもこの事話したら、すぐに代理母制度の申請するよ!」

和良:「柊羽~🖤」

柊羽の返事を聞いた和良が、朝子をはね除けて柊羽に抱き付く。

柊羽と朝子に新たな道が出来た時、結衣は思い出したようにこう考えた。

結衣:(でも代理母制度って、代理母が見つかるまで何ヵ月も待たされるんじゃなかったっけ?)

確かそんな話を聞いたことがある。それに柊羽と朝子は元々、子供は出来にくい体質だ。
代理母制度はボランティアで、金銭が発生するから、妊娠に失敗したらその分、お金も掛かるのでは。

そしたら柊羽たちは今度こそ、子供を諦めざるを得ないのでは。
お金の問題で諦めさせるなんてーーーーーーーーーーーー絶対にさせたくない。

結衣はある決意をする。

結衣:「柊羽、朝子ちゃん!」

柊羽:「なあに、お母さん」

朝子:「はい、お義母さん」

2人が反応した直後、結衣は胸に手を充ててこう宣言をした。

結衣:「2人の赤ちゃん、"ボクのお腹で育てるよ"!!」

柊羽:「…………へ?」

夏来:「……!?」

舞桜:「お、お母さん…?」

哲:「……………ひくっ」

結衣の突然の宣言に、佐伯家族も、その場にいた鳴海たちもびっくりしてしまう。

だが、結衣は至って大真面目。
母の突然の宣言に、柊羽と朝子は顔を見合わせて驚いていた。

それから柊羽と朝子は、代理母制度の利用のことを波野家の人たちにも話してから、縁結び課へ行き、職員から代理母制度を利用するに辺り、説明を受けた。

その際、通常この制度を利用する人たちとは状況が違う柊羽たち夫婦は、代理母が見つかるまでに長い期間と金銭が掛かることを聞かされる。

それから一旦、話を持ち帰ってから、代理母を宣言した結衣に連絡を取り、相談。

それから1週間、結衣の体の状態を汲まなくチェックしてから、改めて柊羽と朝子は結衣に代理母をお願いすることに。

代理母を引き受けた結衣は、パートを辞めてから早速、病院で体外受精を行うことになった。

それから13週間後、結衣は朝子と2人で妊娠確認のために病院へやって来た。

そこで医師に言われたこととは。
それはまた、次の物語でーーーーーーーーーーーー。






------------To be Continued...