※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。
story.19:『全力の土下座』
玲士:「すみませんでしたぁ!!」
結衣:「?」
哲:「……どうか、した?」
11月のある晩のこと。
舞桜が珍しく、婚約者の斉藤玲士を連れて我が家に帰ってきたと思った時、結衣と哲と顔を合わせた途端、玲士が突然、土下座をしてきた。
あまりの突然のことに、結衣と哲はびっくりするーーーーーーーーーーーーそして、"哲は"。
哲:「ひっく」
びっくりし過ぎて、しゃっくりが出てしまった。
結衣はすぐにコップにお水を注ぎ、哲のもとへ届けた。
そして哲が水を一気飲みしてから、結衣が舞桜に言った。
結衣:「……ボクたち、なんか謝られるような酷い目に遭ったっけ?」
舞桜:「うーん……かなり違うかな?」
結衣:「???」
娘・舞桜の微妙な反応に結衣たちはさらに困惑していると、玲士は申し訳なさそうにこう話を切り出した。
玲士:「実は……予定より早く、婚約指輪の資金が貯まりまして。」
結衣:「う、うん?」
玲士:「嬉しくて買ってきたのを、フライングで舞桜にあげたんです。」
哲:「……で?」
雲行きが"ある意味で"怪しくなってくると、玲士はこう言った。
玲士:「婚約指輪をあげたのに、"プロポーズをするのを忘れてしまいました"!」
結・哲:「…………………ん?」
舞桜:「あはは…」
玲士:「本当にすみませんでしたぁ!!」
ガバッと深々と土下座をする玲士に、ますます訳が分からなかったが、頭の整理をするうちにだんだん謎は解けた。
そして哲からこう口にした。
哲:「……プロポーズ忘れたなら、改めてプロポーズすればいいんじゃない?」
玲士:「へ?」
結衣:「そうだよ。それに舞桜だって、玲士くんが婚約指輪と結婚資金のためにアルバイト頑張ってたの知ってるもん。
それに2人の間でプロポーズとか、今さらって感じじゃない?」
玲士:「………ん?」
舞桜:「玲士くんは気付いてないかもしれないけど。
玲士くん、実は会うたびにプロポーズしてたんだよ?」
玲士:「!?」
結衣:「もう!玲士くんったら、真面目だねぇ」
哲:「俺、てっきり舞桜とは結婚出来ませんって言われるのかと……」
玲士:「それは断じてありません!」
結衣:「それか赤ちゃんが出来たとかね。」
玲士:「嫁入り前の体を傷付けるわけにはいきませぇん!!」
舞桜:「もう…!真面目なんだから」
呆れる舞桜と、泣きそうな玲士。
そんな2人を見て、なんだか笑えてきた結衣と哲。
結衣:「本当に、玲士くんが舞桜の婚約者で良かった!一生大事にしてくれそうだもんね!」
玲士:「一生大事にします!」
哲:「娘のこと、これからもよろしくね!」
玲士:「こちらこそ、よろしくお願いいたします!!」
ガバッと土下座をする玲士。
その上に寄りかかり笑う舞桜を見て、結衣と哲は今度は声を出して笑った。
結衣:(本当に、舞桜たちの結婚式も楽しみだなぁ)
柊羽が結婚して、次は舞桜。
そんなことを考えていると、ふと夏来のことを思い出してきた。
結衣:(夏来は……どうするんだろう)
毎年、9月になると待ち望んでいる縁結び課からの封筒。
だが、未だに夏来の婚約者は現れず、フリー判定のままだ。
結衣:(夏来は親の目で見る限り、いいこなんだけどなぁ…)
結衣がそう思っていると、哲が結衣の前に手を翳して振ってきた。
結衣:「!」
哲:「結衣ちゃん、ごはんにしよう」
結衣:「あ、うん!
ほら!舞桜、手伝って!玲士くんはお酒飲む?」
玲士:「良いんでしょうか…?」
哲:「お願いします!夏来はまだ帰って来ないし、相手してください!」
玲士:「も、もちろんです!」
舞桜:「はい、ビール持ってきたよ~!」
結衣:「ふふっ」
そう言って、ビールの缶を開けて乾杯する哲と玲士を見て、結衣は微笑んだが、やはり脳裏には夏来のことが浮かぶ。
夏来だけではなかった。
結衣の弟の裕人も未だにフリー。
結衣はこの2人が心配で仕方なかった。
結衣はそんな心配を抱きつつ、今は悩みを振り払って、玲士たちとの食事会を始めるのだった。
それから1ヶ月後、嬉しいニュースが届いた。それはまた、次の物語でーーーーーーーーーーーー。
------------To be Continued...