※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。
story.18:『不安定』
年が明け、あっという間に6月。
幼なじみで友人の斉宮黄熊とその妻・広が授かり婚をした。
結婚式は子供が産まれてからというわけで、この日は入籍記念のパーティーを、幼なじみの家の中で一番広い佐伯家でお祝いをすることになった。
普段は離れて暮らす、佐伯柊羽と朝子夫婦、ベルこと、三田和良とみなみ夫婦も来て、久しぶりに賑やかな食事会になったーーーーーーーーーーーーが、近況報告がてら楽しく会話をしていた時、突然和良がこう言った。
和良:「俺、柊羽たちに子供が出来るまで子供は作らない」
柊羽:「……へ?」
和良の一言に静まり返る。
なぜ、突然そう言い出したのかとびっくりしていると、和良は黄熊をジロッと見ながら言った。
和良:「柊羽たちが妊活で半年以上も頑張ってるのに、誰かさんみたいに簡単に子供を授かって柊羽たちに自慢するなんて、最低だもん……」
黄熊:「なっ!べ、別に自慢してないって言ったら嘘になるけど!
最低とか言われる筋合いないっつうか!!」
広:「ぷ、黄熊、落ち着いて!」
柊羽:「お、俺たちは気にしてないよ、ベル。黄熊たちに子供が出来て、心から喜んでるよ!ねっ、朝子ちゃん!」
朝子:「……う、うん。」
和良:「柊羽たちがそう言うならいいけど……。でも、俺は本気。
柊羽たちに子供が出来るまでは子供は作らないから」
鳴海:「ベル!子供は授かり物なんだよ!それに、みなみちゃんはすぐにでも欲しいよね!?」
みなみ:「は、はい」
鳴海:「ほら!ベル1人で勝手に決めちゃダメだよ!」
鳴海がそう言うと、和良は真顔でこう言った。
和良:「でも俺がみなみに触らなければ結局、子供は出来ないよね。
俺は柊羽たちに子供が出来るまでは絶対に触らない。決めたから」
みなみ:「…っ」
和良の独断の一言に、みなみは目に涙を潤ませていた。
朝子は心配になり、そして怒りが込み上げてきて、口が開いた。
朝子:「ベルくん、いい加減にして!私たちのためとはいえ、勝手すぎるよ!
それに私たちにも迷惑な話!私たちに子供が出来るまでなんて言ってるけど、私たちは…っ……出来ないかもしれないんだよ?
私たちの都合で、みなみさん…子供が欲しいのに…っ」
柊羽:「朝子ちゃん……。
ベル。ベルは俺たちのために言ってくれてるんだってことは分かるよ。……でも、妊娠も出産も、年齢を重ねると出来にくくなったり最悪、危険と隣合わせになる。」
柊羽は続けて、こう言った。
柊羽:「それに俺たち、妊活は35歳までって決めてるんだ。
35歳になったら子供は作らない…………それは俺たちに原因があるから仕方ないと思ってる。……ベルは、俺たちに子供が出来なかったら一緒に子供を諦めるの?
みなみちゃんは欲しがってるのに?」
和良:「…………だ、から」
柊羽:「え?」
和良は柊羽の手を握って言う。
和良:「願掛け、だから……」
柊羽:「願掛け…?」
和良:「柊羽たちに子供が出来るように……」
朝子:「だ、だからって、みなみさんを悲しませるのとは別の話で…!」
和良:「俺は…!」
和良の口から言葉が放たれた。
和良:「みなみがいればいい!」
みなみ:「!」
和良:「俺にとっては子供は二の次なの。子供がいようがいまいが、みなみやお母さんたちがいれば俺の家族は成立する。」
柊羽:「それは、俺たちだって…」
和良:「柊羽たちは子供が欲しい…。子供は、欲しい人たちのところに真っ先に向かうべきだよ。」
みなみ:「ベル……」
和良:「俺だって別にずっと欲しくないわけじゃないけど、今の気持ちのままだと……。
俺の中では柊羽が一番なの。子供が一番になれないうちは子供が出来たって……」
柊羽:「……………。」
和良ははらはらと泣きながら言った。
和良:「柊羽たちの子供、絶対にかわいいのに。どうしてまだ来てあげてくれないの?
俺は、将来、自分の子供と柊羽たちの子供を遊ばせてあげるのが夢なのに…っ」
柊羽:「ベル……」
朝子:「ベルくん……」
和良:「柊羽たちのところに赤ちゃん来ないうちは、不安だよ……。
1人ならともかく、俺たちに2人3人って子供が出来たら?
俺たちが何人も子供を授かっていても柊羽たちに子供が出来なかったら……っ」
和良はそう言うと、泣きながら言った。
和良:「柊羽たちにいつか恨まれちゃうじゃん……。柊羽には、嫌われたくない…っ」
柊羽:「ベル……。俺はベルを嫌ったりしないよ。」
和夫:「と言うかそんなこと、逆に失礼だから。」
和良:「!」
朝子:「もう…。願掛けとか、父親になる自信がないとか言って、結局は柊羽くんに嫌われたくないだけじゃない……」
はぁ…とため息を付く朝子に、ビクッと体を震わせる和良。
そして気まずそうに、和良はこう言った。
和良:「だって柊羽の幸せが俺の幸せだから……」
柊羽:「はぁ…。ベル、そう言ってくれて悪い気はしないけど。
黄熊たちで分かったでしょう?子供は授かり物なの。」
柊羽はそう言うと、和良に困ったような笑みを向けながら言った。
柊羽:「もし、俺たちに子供が出来ても、今度は逆に年齢の関係でベルたちに子供が出来なくなっちゃうかもよ?」
和良:「……そうなの?」
結衣:「30代から高齢妊娠になるからね。簡単には授からないかもね」
和良:「へぇ…」
柊羽:「それに!同い年じゃないと遊ばせちゃダメなんて法律はないよ、ベル!
むしろベルたちに先に子供が出来たら、俺たちに子供が出来た時、お兄ちゃんお姉ちゃんが出来て楽しいかも!」
哲:「うんうん。ベルの子供と黄熊の子供に、柊羽の子供の面倒を見てもらえたら、柊羽たちの子育てが楽になる、かも?」
祐希奈:「確かに!だから柊羽たちに遠慮することないよ。
それに大丈夫!柊羽たちにもきっとかわいいベイビーが来てくれるよ!」
哲や斉宮祐希奈がそう言うと、和良はみなみの方を見る。
そして、和良はみなみに聞いた。
和良:「……子供、欲しい?」
和良がそう言うと、みなみは大きく頷いてから言った。
みなみ:「欲しいよ!」
和良:「今すぐにでも?」
みなみ:「今すぐにでも!ーーーーーーーーーーーー!?」
みなみが返事した途端、急に和良はみなみを押し倒した。
「「!?」」
和良:「柊羽……今から子供作るから見てて……」
柊羽:「えええええええーっ!?」
鳴海:「お家に帰ってからにしなさい!!」
和夫:「そういえば、和良。
この話題に入る前にハイペースでビール飲んでたもんねぇ」
尚哉:「よ、酔っぱらい?」
凪子:「随分、めんどくさい酔っぱらいだわね…」
佐知子:「あわわわわわ!?」
凛:「ってか誰か止めろよ!
なんかみなみさんの服を脱がそうとしてるし!!」
美留姫:「芽瑠ちゃん、見ちゃダメ」
高崎:「忍法!隠れ身の術!」
芽瑠:「わっ」
高崎が自分の両手で娘・芽瑠の目を覆い被せた。
そして鳴海たちが全力で和良を止めてから、改めて楽しく食事会を再開させた。
既に酔っぱらいの和良は、柊羽に抱き付いてご満悦だ。
和良:「柊羽~🖤」
柊羽:「はぁい」
黄熊:「酔っぱらいめ…」
結衣:「ふふっ」
仲良くお酒を飲む3人を見て、結衣たちは微笑んだ。
久しぶりの食事会は楽しいまま、夜遅くまで続いた。
ーーーーーーーーーーーーそれから3ヶ月後の9月上旬。
和良:「子供が出来ました。」
みなみ:「ふふふっ」
柊羽:「おめでとうー!」
朝子:「良かったね、みなみさん!」
和良とみなみの間に第一子が。
柊羽:(本当に、"すぐ"子供が出来たなぁ…)
友人夫婦の悩みが解消されて安心した柊羽だったが、朝子と妊活を始めてあと1ヶ月で1年が経とうとしていた。
笑顔でみなみたちと話す朝子を見て、柊羽は少し心配になるのだった。
しかもそれから10日後に今度は、夏来の職場の友人・朝倉七音のところも子供が出来たという話も聞く。
朝子を心配する傍ら、柊羽自身がここに来て焦りのようなものを抱き出した頃、大学3年生になっていた舞桜が婚約者の斉藤玲士を連れて、佐伯家へ。
そこで玲士は突然、土下座をして結衣と哲を驚かすのだが……。
それはまた、次の物語でーーーーーーーーーーーー。
------------To be Continued...