※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。
story.15:『久しぶりのデート』
佐伯夏来が自分の将来について考え始めてから3ヶ月後の夏休み。
妹・舞桜は、縁結びの婚約者・斉藤玲士と久しぶりのデートへ出掛けることに。
玲士とのデートの前に、大学の授業を受けていた舞桜に1人の男子が声を掛けてきた。
男子:「佐伯さん」
舞桜:「? 何ですか?」
舞桜に話し掛けてきた男子は、明らかに遊んでいそうな、チャラチャラしたタイプの人だった。
普段なら舞桜は、自ら積極的にその手のタイプに話し掛けたりはしない。苦手なタイプだし。
すると、男子は舞桜に顔を近付けて、笑顔でこう言った。
男子:「これからデートだよね?
どこ行くの~?」
舞桜:「……場所は決めてません。」
男子:「ああ!適当にブラブラするやつだ!良いね~そうゆうの!金、掛からないし♪」
舞桜:「は、はぁ……」
舞桜が少し困っていると、男子はニコニコしながら聞いてきた。
男子:「彼氏って、金無いの?」
舞桜:「……どうして、そんなことが気になるの?」
男子:「だって、金無いからブラブラするだけなんでしょ?」
舞桜:「街をブラつくからお金が無いって決め付けるの、よくないし、貴方に話す義理は無いから」
舞桜はそう言うと、肩掛け鞄を持って、その男子を無視して講堂から出ようとする。
すると、後ろから男子が舌打ちする。
男子:「ちぇっ」
男子:「だーかーらぁ!縁結びの婚約者がいる子がそう簡単に相手してくれるわけないじゃん!」
男子:「佐伯さんなんか特にガード堅いもんなぁ!」
男子:「だっー!うるせーなー!
くそっ!こっちがフリーだからって舐めてんだよ、女ども!」
そんな男子たちの会話が聞こえてきて、舞桜はつくづく思った。
舞桜:(同じフリーでも、夏来にぃとは大違い。何で人のいい夏来にぃがフリーなのか未だに分からないよ!)
プンプン怒りながら、舞桜は玲士と待ち合わせしてる、校門前まで向かう。
舞桜:(……本当に、どうして夏来にぃはフリーなんだろう。)
舞桜はだんだん悲しくなってくる。
夏来が先ほどの男子みたいなタイプだったら、自分がこんな気持ちになることもなかったのか。
夏来の周りは今、空前の結婚ラッシュだ。
夏来は4月に、友人の朝倉七音の婚姻届の承認欄を書きに行ったり、長年の友人で声優をしている古畑勝己の結婚話も最近、話題に上がったばかり。
夏来だけが取り残されている状態だというのに、本人はあまり気にしていない様子で。だから余計にこちらが心配になるのだが……。
舞桜:(夏来にぃ……どうするんだろう。)
まさか何も考えてないとかないよね?
そんなことを考えていると、誰かに肩に手を置かれた。
舞桜:「!?」
玲士:「おいおい、やはり気付いてなかったか」
舞桜:「玲士くん!」
キャップ帽を被った玲士と目が合い、舞桜はびっくりする。
いつの間に校門前に着いたのか、と思いながら周りを見渡した。
舞桜:「……って、あれ?」
まだ校内の中だ。
玲士:「まったく、やっと姿が見えたと思ったらこっち来ないで全然反対方向へ向かってゆくから慌てて駆け付けたんだぞ?」
舞桜:「ごごごごめんね!ボーッとしてたよ!」
玲士が自分を掴まえるために校内に入ってきたことを知って、舞桜は顔を真っ赤にしながら玲士に謝った。
玲士は舞桜の顔を覗き込んで聞いてきた。
玲士:「なんかあったのか?」
舞桜:「え、えーと……。歩きながらでもいい?」
「いいぞ」と言う玲士の返答を聞いてから、舞桜と玲士はとりあえず校内を出ることにした。
先ほど、フリーの男子に失礼なことを聞かれてイライラしたこと。
夏来の将来が心配になったこと。
それを話した頃には校内を出て、2人はとりあえず近くのタピオカ屋でドリンクを頼み、近くの公園のベンチで座りながら話をしていた。
すると、舞桜の話を聞いていた玲士がこう言った。
玲士:「……夏来さんはしっかりしてるから、今頃色々と考えてるかもしれんぞ?」
そう言ってから、ちゅーとストローでタピオカミルクティーを飲む玲士。
舞桜:「……そうかな?」
玲士:「だって、柊羽さんよりも先に就活した人だぞ?
自分の仕事の将来をきちんと考えて、やりたい事を実現してる人だ。案外、老後に備えて貯金とかもしてるかも。」
舞桜:「うーん……?」
玲士の最後の言葉に、舞桜は頭を悩ませる。
舞桜:「貯金……してるのかな?
オタ活に夢中でそこまで手は回ってないんじゃ……」
玲士:「オタ活がどんだけ金掛かるのかは知らんが、夏来さんは抜かりない気がするけどなぁ?
心配しすぎなのでは?」
舞桜:「そう、なのかな?
夏来にぃのこと、信用してないってことになるのかな?」
玲士:「それは間違いない気がする」
舞桜:「うぅっ…」
玲士にハッキリとそう言われて、舞桜は言葉が詰まった。
玲士:「今日、夏来さんが帰ってきたら思い切って聞いてみたらどうだ?その方が手っ取り早いだろう。俺ならそうする。」
舞桜:「お金、タカられるとか思われないかな?」
玲士:「それは、舞桜の言い方次第では?」
舞桜:「だよね……」
ここで夏来の話は一区切り付いた時、急に横から話し掛けられた。
男子:「あっれー?佐伯さん!」
舞桜:「あっ…」
先ほどの男子……。
舞桜が嫌な顔をすると、玲士も察した。
玲士:「………。」
男子:「そいつが金無い彼氏ー?
うわ、ひょっとして佐伯さんがそのタピオカ代出したの?
俺だったらそんなこと絶対にしなーい!」
男子:「出たよ、自分アピール!」
男子:「あはは!」
舞桜:「っ…」
舞桜がムッとしていた時、玲士が真顔で言った。
玲士:「金はあるし、タピオカ代はそれぞれで出したものだ。……それにーーーーーーーーーーーー」
玲士はこう言った。
玲士:「大学を卒業したら結婚する予定なんだ。だからあまり金を使わないだけだ。」
舞桜:「玲士くん……」
玲士:「悪いか?彼女のために婚約指輪代と結婚式代を貯めては。
舞桜と幸せになるための貯金だ。まぁ、アンタには関係ない話だがな。」
男子:「………。」
玲士の話を聞いた男子たちが黙る。玲士は自分のタピオカミルクティーを飲み干すと、舞桜の手を取って言った。
玲士:「では、これからデートの続きをするからこの辺で。」
舞桜:「! さようなら!」
男子:「……………。」
そう言ってから玲士と舞桜は男子たちを置いて、デートの続きをすることにした。
舞桜:(もう!玲士くんったら、隠す気ないんだから♪)
先ほどの台詞はほぼほぼプロポーズのようなもので嬉しかったが、これがきっかけで"本番"のプロポーズも楽しみになってくる舞桜だった。
それから帰宅後、へとへとになって帰ってきた夏来に将来のことを聞いてみたら、玲士の言う通り、少しずつではあるらしいが、毎月貯金していることが発覚した。
夏来が自分の将来のことを考えていると知って、ホッとする舞桜なのであった。
------------To be Continued...