※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。




story.2:『これからのこと』






哲:「夏来、就活お疲れさま!乾杯!」

佐伯哲の音頭の後、結衣たちは「乾杯!」と声を出して夏来や隣同士とコップを重ね合わせた。

夜19時に哲が帰って来てから、結衣の母・早紀子と弟・裕人、早紀子の婚約者の小森義之と、哲の父・花を佐伯家に招き、夏来の就活お疲れさま会を開いた。

花:「はぁ、でも夏来が就職か。
良かったわね、大好きな本屋に就職出来て。」

早紀子:「本当ね!諦めないで受け続けて良かったわね!」

夏来:「うん、良かった…」

早紀子と花の言葉に、夏来は照れながら手羽先に手を伸ばし、もぐもぐと食べる。

そんな夏来の様子に、早紀子たちはホッとしてから次に柊羽を見て言った。

早紀子:「柊羽のところも、一時はどうなるかと思ったわよ」

花:「本当に。あれ以上大事にならなくて良かったわ!」

義之:「それにしても朝子さんのお母さん、ワケわからん」

哲:「ですね」

結衣:「本当に、朝子ちゃんたちが可哀想だよ。お金目的だったみたいだし、そのために娘を傷付けて……有り得ない。」

柊羽:「……朝子ちゃんがね」

柊羽がこう話した。

柊羽:「うちのお母さんのことで、俺や俺の家族に迷惑掛けてごめんなさいって……後のことは任せてって……。
辛そうな顔して笑うからこっちも辛くて……」

結衣:「朝子ちゃんは何も悪くないのに……」

柊羽:「うん……これ以上、傷付いてほしくない。……俺が、守らなきゃ。」

夏来:「お兄ちゃん…」

舞桜:「柊羽にぃなら朝子さんのこと、幸せに出来るよ!」

裕人:「頑張って~」

早紀子:「裕人……もう、ゲーム止めてごはん食べなさい?」

裕人の自由な姿に、結衣たちはクスッと笑う。

これから朝子の母親がどのような人生を歩むかは分からない。
朝子は優しい子だからきっと心のどこかではあんな母親でも心配するだろう。

結衣:(その心配を少しでも多く取り除けるかは柊羽に掛かってるよ)

柊羽には何としても朝子を幸せにしてもらわないと。
朝子はもう自分たちにとっても娘。娘の幸せを願うのは親の努めだ。

結衣:(朝子ちゃんのお母さんも、純粋に娘の幸せを願える人になれればいいのに……)

難しいのかな、今は…。
結衣は少し自信なさ気に、それでも柊羽と朝子の幸せを密かに願っていた。

結衣がそんなことを考えていると、ふと早紀子が夏来にこう聞いた。

早紀子:「ところで、夏来。
あんたの就職先ってここから遠いの?」

夏来:「……面接受けた本店は遠いけど、どこの本屋に移籍するかはまだ分からない。」

哲:「?夏来って何て本屋さんに就職するんだっけ?」

夏来:「くまざき書店。くまざき書店は、鷺沼のデパートの中にもあるよ。そこに決まれば、ここから通えるんだけどね。」

舞桜:「そうなんだ……」

夏来の話を聞いた舞桜がシュンとしながらこう言った。

舞桜:「私……夏来にぃがこの家を出て行っちゃうの嫌だな。鷺沼支店に決まればいいのに……」

夏来:「……舞桜にデレられた。
まぁ、俺も出来れば出て行きたくないけどね。もぐもぐ…」

夏来はそう言ってからまた手羽先を食べている。

何だかんだ、この日はクリスマス。年明けまで残りわずか。

2月頃には夏来の就職先の所属支店が決まるだろう。
そしたら引っ越しも有り得るのかと思うと、やはり寂しい気がする。

結衣:(でもいずれは覚悟しなきゃいけないことだよね…)

3人の子供たちも大きくなり、夏来に続いて、柊羽も舞桜も就職が決まれば、この家を出て行くことになるだろう。

結衣:(そしたら哲くんと2人だ)

近所には三田鳴海たちも暮らしてるから泣きはらすまでは寂しくはならないだろうけど、それでもこの家がだんだん静かになってゆくのかなって思うと、やっぱり寂しいかも。

結衣:(もしそうなったら、哲くんと2人でオタク道まっしぐらかな?)

今でも夜中に一緒にアニメを観たりはするけど、子供がいなくなったら、今までは遠慮していたリビングにアニメグッズを飾って賑やかにするのも有りかもしれない。

結衣:(……って、なに楽しみにしてんだろう)

まだ子供たちが出て行くって決まったわけじゃないのに。
でもそうだな、子供たちが全員成人したら、趣味を爆発させてもいいよね。

……なーんて考えながら、結衣は心なしか子供たちの成長を楽しみにしながら自分たちの老後も楽しみにしていたのだった。

そして年が明けて、1月下旬。
予想よりも早く夏来が所属する支店が決まった。

そこはどこだったのか。
それはまた、次の物語でーーーーーーーーーーーー。






------------To be Continued...