※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※原作とは設定が異なっています。ご注意ください。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。
story.2:『ご縁』
女子高生:「本っ当にごめんなさい!!」
痴漢に遭遇し、女子高生と痴漢男、痴漢男を取り押さえた男性2人と最初に痴漢男を掴まえた女性と共に電車を降りた観音坂独歩。
痴漢男を警察に引き渡し、取り押さえてくれた男性2人と別れ、女性と女子高生と共に、女子高生の両親が来るのを一緒に待つことになった独歩は、突然頭を下げる女子高生を見て慌てる。
独歩:「いいいいや!
君の方こそ、怖い思いしたんだし…。……それに窓ガラスに写った辛気臭いおっさんを見たら、痴漢だって思うのは仕方ないよ……」
女子高生:「いやいや!
もし私だけでどうにかすることになってたら危うく冤罪を起こして、真犯人に逃げられてたかも。
一瞬でも勘違いしてて、ごめんなさい!あと、一緒に電車に降りて親が来るまで待ってくれて、ありがとうございます!」
独歩:「いやいやいや!
僕は何も!ただ、君が心配だっただけだから…」
女子高生:「!ありがとうございます…!」
独歩:「あぁ、いや……!」
女性:「お兄さん、ここは素直に受け取っときましょう!」
独歩:「……そ、そうですね。
こちらこそ、ありがとう。もし、裁判とかする時は俺、いつでも証言するから!」
独歩がそう言ってから、女性も笑顔で言った。
女性:「私も!痴漢、ダメ!絶対!だからね!」
女子高生:「ありがとう……おじさん、お姉さん」
独歩:「どう致しまして」
?:「美海!」
駅の改札口を出たところで待っていると、女子高生の両親がようやく駆け付けた。
母親:「美海…!」
女子高生:「お父さん、お母さん!」
やって来た両親の胸に飛び込む女子高生を見て、独歩と女性は安堵していると、女子高生の父親が独歩と女性に頭を下げて言ってきた。
父親:「娘を助けてくださり、ありがとうございます。
痴漢は訴えるつもりでいます。
もし裁判になったら証言してくれますでしょうか?」
女性:「もちろんです!
あ、私の名刺、渡しておきますね」
独歩:「あ、私のも。必ずご協力致します……」
母親:「ありがとうございます。
よろしくお願いします」
そう言って女性と独歩はそれぞれ女子高生の両親に名刺を渡してから、タクシーで帰る女子高生たち親子を見送った。
ポツンと残された独歩と女性。
独歩:(とりあえず、終わった……)
一応、名刺は渡したが、たぶん自分には連絡は来ないだろうな、と独歩が思っていると、女性から声を掛けられた。
女性:「お疲れさまです」
独歩:「えっいやいや!
こちらこそ、お疲れさまです…」
独歩はびっくりしながらそう返事を返すと、女性はこう言ってきた。
女性:「何かの縁ですし、嫌でなければこの後、ちょっとだけ呑みに行きませんか?
あ、嫌なら全然大丈夫ですよ~」
独歩:「嫌だなんてとんでもない!
お供、させてください!」
女性:「やった!この駅の近くせんべろで呑めるところ、たくさんあるんで案内しますよ!」
独歩:「あぁ、そういえばこの辺り、せんべろ居酒屋が多くて有名ですよね」
そんな会話をしながら独歩は女性と2人で、居酒屋通りへ向かった。
そこで良さそうな店を見付け、テーブル席に向かい合って座ると、先ずは飲み物を頼んだ。
女性:「とりあえず、生で!」
独歩:「じゃあ、私も…」
店員:「かしこまりました!
一緒におつまみは如何ですか?」
女性:「じゃあ、焼き鳥セットと…」
「枝豆…」と、女性と独歩はハモってしまった。
独歩:「すすすすみません!」
女性:「いえいえ!枝豆!良いですよね!店員さん、枝豆いっぱいください!」
店員:「かしこまりました!
生、先に持って来ますね!」
女性:「ありがとうございます!」
店員が一度去ったタイミングで、独歩はハッと我に返ったように鞄から名刺を取り出した。
独歩:「あ、あのっ!私、観音坂独歩と申します。この度は助かりました!」
女性:「あ、じゃあ、私も!」
女性も名刺を取り出した。
女性:「と言ってもプライベート名刺だけど……」
そう言ってから名刺交換した時、独歩は名刺に書かれていた名前に驚いた。
独歩:「倭、愛結夢…さん!?」
愛結夢:「はい!……って、ええぇぇぇっ!?」
倭愛結夢(ヤマト・アユム)も、独歩の名刺に書かれている会社名を見て驚いた。
愛結夢:「私、明日からこの会社の営業部に……って、観音坂さんも営業部!?」
独歩:「驚きました…。
俺、さっき倭さんの名刺を作っていたんですよ」
愛結夢:「そうなんですか。
それでこの時間に……。ありがとうございます、これで明日から営業に行けます!」
独歩:「~~~~~~っ!」
独歩は一気に顔が真っ赤になる。
愛結夢:「観音坂さん?」
独歩:「な、なんか今日は変なんです!女子高生からも何度もお礼を言われて、倭さんにも!
………明日は明日で何か悪いことが起きそうだ。」
愛結夢:「あらあら…。
観音坂さんはネガティブ思考の方だったんだね?」
独歩:「ネガティブ……はは、そうですね。不幸とまでは思ってませんが、運がないことだけは否定出来ないって感じですかね。」
そんな会話をしていると、大きなジョッキに注がれた生ビールが2個運ばれてきた。
愛結夢:「観音坂さん!
ストレス溜まってるなら、何かの縁です!聞きますよ!」
独歩:「初めて会った倭さんに愚痴って罰当たりませんかね…?」
愛結夢:「大丈夫ですよ!
それに仕事してたら嫌なことは必ずあるじゃないですか。
吐き出すくらいさせてもらわないと、やってらんないでしょう!」
独歩:「倭さん……」
愛結夢:「ヤマトで良いよ!
私は独歩って呼んでもいい?」
独歩:「!どうぞどうぞ!
よぉし!呑むぞ~~~!」
愛結夢:「呑め呑め~♪……と、その前に乾杯~!」
独歩:「乾杯!」
そう言ってから独歩とヤマトはジョッキを重ねて、グビグビと呑み始める。
ーーーーーーーーーーーー1時間後。
時刻は、23時過ぎという遅い時間。
独歩:「にゃはは~♪
明日は残業らんか、絶対にぜーったいにしてらんないぞ~!」
愛結夢:「目指せ、定時上がり!」
独歩:「ウェ~~~イ!」
運転手:「出来上がってるね、お2人さん。どちらの家から行く?」
タクシーの運転手からそう聞かれ、独歩よりは意識があるヤマトが言う。
愛結夢:「独歩の家から行ってください~♪これ、独歩の名刺!
住所、書いてあるでしょう?」
運転手:「オッケー。じゃあ、出発するよ~」
独歩:「しゅっぱ~つ、しんこ~!」
愛結夢:「独歩~?今日はいっぱい愚痴ったから気分が良いね~♪」
独歩:「楽しかった~♪」
愛結夢:「良かった良かったぁ」
ヤマトはそう言ってから、優しく笑みを浮かべながらこう言った。
愛結夢:「独歩、明日からよろしくね。残業押し付けられそうになったら一緒に戦ってあげるからね」
独歩:「うっうぅっ!ヤマト、優しいなぁ……っ、でも俺、きっと明日も残業だ。今日がすごい楽しかった分、明日は終電失くしてるかも……」
愛結夢:「独歩……。大丈夫、もし残業押し付けられそうになったら一緒に戦うし、押し付けられて逃げられたら手伝うからね!」
独歩:「んん~……」
ヤマトが優しく介抱したからか、独歩は安心したようにタクシーの中で眠りに付く。
ーーーーーーーーーーーー翌日、独歩は自分の家のソファーで目が覚めた。
独歩:(や、やってしまった…!)
記憶が正しければ、昨日は完全にヤマトに甘えて迷惑を掛けてしまった。
独歩はその日、二日酔いの頭をどうにか起こして、朝食を摂って顔を洗い、歯磨きをしてから辛そうに会社へ向かうのだった。
------------To be Continued...