※登場人物が多くて混乱するかもしれません。
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。
story.30:『幸福』
4月26日ーーーーーーーーーーーー長男・柊羽と妻・朝子の息子・遊翔を、結衣が出産した。
一時は逆子になっていることが発覚し、帝王切開になり心配したが、結衣は宣言通り元気な赤ちゃんを産んでみせた。
それから約1週間。遊翔と共に結衣も入院し、朝子と柊羽は病院に通って、赤ちゃんの世話の練習をすることに。
一通りの世話は柊羽たちでも出来るけど、母乳だけはそうはいかない。
通常なら代理母は搾乳して、病院伝いで母乳を赤ん坊の親のもとへ届けて保存し、それを飲ませるのだが、今回は柊羽の母・結衣が産んだということもあり、当初予定していた通り、朝子と柊羽は1年間佐伯家で暮らすことに。
その話を聞いた朝子の祖父が、『会いに行きづらい』という理由で反対していたが、朝子の強い希望により、予定通り佐伯家で世話になることになった。
ーーーーーーーーーーーーそして、退院の日。
結衣は自分の荷物を纏め、いつでも出ていける準備を整えていた。
結衣:「よしっ」
結衣が準備を整えた時、ベッドの上に腰を降ろし、我が子を抱いてあやしていた朝子が言った。
朝子:「あ~かわいい~♪
私、お義母さんに一生頭上がんないなぁ~♪」
結衣:「ふふっ。本当にかわいいね。自分の子供も充分かわいいって思いながら育ててきたけど、孫はまた違う意味でうっとりしちゃう♪」
朝子:「子供と孫は違うんですか?」
結衣:「表現の仕方は変わらないだろうけどね。……あれかな、自分の子供の子供だからかな?」
朝子:「なるほど~」
遊翔:「あうー!」
朝子:「?」
突然声を上げた遊翔にびっくりした直後、ぷ~んと臭いが漂ってきた。
結衣:「おむつ、かな?」
朝子:「あらら」
結衣:「替えてあげよう。
おむつとウエットティッシュ、出すね。」
朝子:「すみません」
結衣:「いいの、いいの。
替えなきゃ、遊翔が気持ち悪いもんね~」
そう言ってから結衣は荷物を漁る。
朝子はベッドの上に遊翔を寝かせて、ベビードレスの下の部分を脱がした。
その時、病室のドアが開いた。
柊羽:「車、回してきたよ~……くちゃ!?」
朝子:「『くちゃ!?』って…。
ちょっと待って。おむつ替えるから。」
柊羽:「! 俺にやらせて!」
朝子:「ダ~メ!」
柊羽:「ケチ~!」
結衣:「あらあらまぁまぁ~♪」
息子の取り合いをする柊羽と朝子を微笑ましく眺める結衣。
結局、朝子が最後までキッチリおむつ替えをしたが、おむつを替えてベビードレスをきちんと着させた瞬間、柊羽が遊翔を抱っこする。
柊羽:「遊翔~♪パパと一緒に行こうね~♪」
朝子:「あっ!柊羽くんずるい!」
結衣:「もう……柊羽には荷物持ち手伝ってもらおうと思ってたのに~」
朝子:「あ、私が持ちます!」
結衣:「ありがとう~」
そう言って、遊翔を独占する柊羽の後ろを荷物を持ってついて行く結衣と朝子。
すっかり息子にデレデレな柊羽を見て、最初は呆れていた結衣と朝子もだんだん笑えてきた。
病院の出入り口のロータリーで待つ哲に声を掛けられ、医師や看護師たちに見送られ、車に乗り込み結衣たちは病院を後にした。
車内もずっと、柊羽と朝子がベビーシートに乗せた我が子にデレデレになっているのを、運転席と助手席に座っていた哲と結衣はミラー越しに微笑ましく見守っていた。
そして、ようやく佐伯家に帰宅すると、この日有給を取っていた夏来が出迎えてくれた。
夏来は自宅で、自分たちに代わり、舞桜の夫・玲士と共にベビーベッドを組み立ててくれていた。
早速、ベビーベッドに寝かせると、遊翔はこてんっと寝てしまった。
寝てしまった遊翔を気遣って、静かにお茶をしていた時、夏来が急に口を開いた。
夏来:「お母さんとお父さん。
あとお兄ちゃんたちと舞桜たちにも話さなきゃいけないことがあるんだけど……」
結衣:「なに、話って?」
柊羽:「ついに店長になったとか!?」
夏来:「違う。」
哲:「じゃあ、なに?」
哲がそう聞くと、夏来は淡々とこう言った。
夏来:「俺、選択的シングルになろうと思う。」
結衣:「うんうんーーーーーーーーーーーー…ん?」
哲:「選択的シングル……って!」
夏来:「要するに、父親になりたいってこと。」
舞桜:「え!?」
皆が驚いていると、夏来は話を続けた。
夏来:「お兄ちゃんたちのことが一段落するまではって思ってたんだけど、出世する前に、時間に余裕があるうちに、自分の子供が欲しいんだ……」
夏来は結衣と哲を見て言った。
夏来:「お母さんとお父さんには迷惑掛けるだろうけど……決めたから。」
哲:「……迷惑じゃないよ。」
哲の一言を聞いて、先に安心したのは結衣だった。
そして結衣も声を掛ける。
結衣:「夏来が決めたことだもん。
応援するよ、ボクたちは。」
夏来:「! ……ありがとう。」
哲:「それにしても、今年は本当に良い年だねぇ」
結衣:「今年だけじゃないよ?
来年にはきっと夏来の子供が…」
哲:「楽しみだね~。
……というわけだから、夏来は夏来のタイミングで縁結び課に行っておいで!」
夏来:「じゃあ今から行ってくる」
哲:「………!? ひっく!」
結衣:「哲くん、また~?」
夏来:「冗談だよ、お父さん。」
哲:「びっくりしたぁ……ひゃっく!」
朝子:「お水、持ってきますね~」
結衣:「ごめんね~」
台所へ向かう朝子を見てから、哲の背中を擦る結衣。
相変わらず、びっくりするとしゃっくりしてしまう哲に苦笑しながら、結衣は幸せを噛み締めていた。
柊羽の息子・遊翔が産まれ、今年中には舞桜の子供も産まれる。
早くて来年には諦めていた夏来にも子供が出来るということに、だんだん年を重ねてゆくことを実感しながら、結衣は楽しみでいっぱいだった。
そんな佐伯家の物語も、次で最終章。この物語は、もう少し続きます……ーーーーーーーーーーーーそれではまた、次は第6章で。
------------To be Continued...
※小説と題してますが、長編の脚本と思って読んだ方が良いかもしれません。
※下手な文章ですが、生暖かい目で見守ってくださると、幸いです。
story.30:『幸福』
4月26日ーーーーーーーーーーーー長男・柊羽と妻・朝子の息子・遊翔を、結衣が出産した。
一時は逆子になっていることが発覚し、帝王切開になり心配したが、結衣は宣言通り元気な赤ちゃんを産んでみせた。
それから約1週間。遊翔と共に結衣も入院し、朝子と柊羽は病院に通って、赤ちゃんの世話の練習をすることに。
一通りの世話は柊羽たちでも出来るけど、母乳だけはそうはいかない。
通常なら代理母は搾乳して、病院伝いで母乳を赤ん坊の親のもとへ届けて保存し、それを飲ませるのだが、今回は柊羽の母・結衣が産んだということもあり、当初予定していた通り、朝子と柊羽は1年間佐伯家で暮らすことに。
その話を聞いた朝子の祖父が、『会いに行きづらい』という理由で反対していたが、朝子の強い希望により、予定通り佐伯家で世話になることになった。
ーーーーーーーーーーーーそして、退院の日。
結衣は自分の荷物を纏め、いつでも出ていける準備を整えていた。
結衣:「よしっ」
結衣が準備を整えた時、ベッドの上に腰を降ろし、我が子を抱いてあやしていた朝子が言った。
朝子:「あ~かわいい~♪
私、お義母さんに一生頭上がんないなぁ~♪」
結衣:「ふふっ。本当にかわいいね。自分の子供も充分かわいいって思いながら育ててきたけど、孫はまた違う意味でうっとりしちゃう♪」
朝子:「子供と孫は違うんですか?」
結衣:「表現の仕方は変わらないだろうけどね。……あれかな、自分の子供の子供だからかな?」
朝子:「なるほど~」
遊翔:「あうー!」
朝子:「?」
突然声を上げた遊翔にびっくりした直後、ぷ~んと臭いが漂ってきた。
結衣:「おむつ、かな?」
朝子:「あらら」
結衣:「替えてあげよう。
おむつとウエットティッシュ、出すね。」
朝子:「すみません」
結衣:「いいの、いいの。
替えなきゃ、遊翔が気持ち悪いもんね~」
そう言ってから結衣は荷物を漁る。
朝子はベッドの上に遊翔を寝かせて、ベビードレスの下の部分を脱がした。
その時、病室のドアが開いた。
柊羽:「車、回してきたよ~……くちゃ!?」
朝子:「『くちゃ!?』って…。
ちょっと待って。おむつ替えるから。」
柊羽:「! 俺にやらせて!」
朝子:「ダ~メ!」
柊羽:「ケチ~!」
結衣:「あらあらまぁまぁ~♪」
息子の取り合いをする柊羽と朝子を微笑ましく眺める結衣。
結局、朝子が最後までキッチリおむつ替えをしたが、おむつを替えてベビードレスをきちんと着させた瞬間、柊羽が遊翔を抱っこする。
柊羽:「遊翔~♪パパと一緒に行こうね~♪」
朝子:「あっ!柊羽くんずるい!」
結衣:「もう……柊羽には荷物持ち手伝ってもらおうと思ってたのに~」
朝子:「あ、私が持ちます!」
結衣:「ありがとう~」
そう言って、遊翔を独占する柊羽の後ろを荷物を持ってついて行く結衣と朝子。
すっかり息子にデレデレな柊羽を見て、最初は呆れていた結衣と朝子もだんだん笑えてきた。
病院の出入り口のロータリーで待つ哲に声を掛けられ、医師や看護師たちに見送られ、車に乗り込み結衣たちは病院を後にした。
車内もずっと、柊羽と朝子がベビーシートに乗せた我が子にデレデレになっているのを、運転席と助手席に座っていた哲と結衣はミラー越しに微笑ましく見守っていた。
そして、ようやく佐伯家に帰宅すると、この日有給を取っていた夏来が出迎えてくれた。
夏来は自宅で、自分たちに代わり、舞桜の夫・玲士と共にベビーベッドを組み立ててくれていた。
早速、ベビーベッドに寝かせると、遊翔はこてんっと寝てしまった。
寝てしまった遊翔を気遣って、静かにお茶をしていた時、夏来が急に口を開いた。
夏来:「お母さんとお父さん。
あとお兄ちゃんたちと舞桜たちにも話さなきゃいけないことがあるんだけど……」
結衣:「なに、話って?」
柊羽:「ついに店長になったとか!?」
夏来:「違う。」
哲:「じゃあ、なに?」
哲がそう聞くと、夏来は淡々とこう言った。
夏来:「俺、選択的シングルになろうと思う。」
結衣:「うんうんーーーーーーーーーーーー…ん?」
哲:「選択的シングル……って!」
夏来:「要するに、父親になりたいってこと。」
舞桜:「え!?」
皆が驚いていると、夏来は話を続けた。
夏来:「お兄ちゃんたちのことが一段落するまではって思ってたんだけど、出世する前に、時間に余裕があるうちに、自分の子供が欲しいんだ……」
夏来は結衣と哲を見て言った。
夏来:「お母さんとお父さんには迷惑掛けるだろうけど……決めたから。」
哲:「……迷惑じゃないよ。」
哲の一言を聞いて、先に安心したのは結衣だった。
そして結衣も声を掛ける。
結衣:「夏来が決めたことだもん。
応援するよ、ボクたちは。」
夏来:「! ……ありがとう。」
哲:「それにしても、今年は本当に良い年だねぇ」
結衣:「今年だけじゃないよ?
来年にはきっと夏来の子供が…」
哲:「楽しみだね~。
……というわけだから、夏来は夏来のタイミングで縁結び課に行っておいで!」
夏来:「じゃあ今から行ってくる」
哲:「………!? ひっく!」
結衣:「哲くん、また~?」
夏来:「冗談だよ、お父さん。」
哲:「びっくりしたぁ……ひゃっく!」
朝子:「お水、持ってきますね~」
結衣:「ごめんね~」
台所へ向かう朝子を見てから、哲の背中を擦る結衣。
相変わらず、びっくりするとしゃっくりしてしまう哲に苦笑しながら、結衣は幸せを噛み締めていた。
柊羽の息子・遊翔が産まれ、今年中には舞桜の子供も産まれる。
早くて来年には諦めていた夏来にも子供が出来るということに、だんだん年を重ねてゆくことを実感しながら、結衣は楽しみでいっぱいだった。
そんな佐伯家の物語も、次で最終章。この物語は、もう少し続きます……ーーーーーーーーーーーーそれではまた、次は第6章で。
------------To be Continued...