※彼岸・塔婆供養の大事さについて・・パート1

日ごろ、私たちは、お彼岸、お盆、あるいは故人の命日などにお寺へ参詣し、

塔婆を建てて追善供養を行っています。

 

そのときになぜ塔婆を建てて供養をするのかと聞かれて、

はっきりと答えられる人は案外、少ないのではないでしょうか。

 

たしかに何もしらずに塔婆を建てても正しい宗教によって行われるならば、

それは立派な追善供養を営むことになります。

 

しかし、もしも間違った教えによって行うならばどうでしょう。

 

亡くなった人のために善を修する行為が、反対に亡くなった人の苦の因を作るばかりか、

自分もその苦しみを味わうことになってしまいます。

これではせっかくの尊い気持ちも台無しです。

 

このように、宗教の正邪を知らないで塔婆供養するということは、たいへん恐ろしいことなのです。

 

また建てるように言われたからといって、心のこもらない形だけの塔婆供養であっては、

真の追善供養の意義から外れてしまうのも当然です。

 

今、心から故人のことを考え、先祖のことを思うとき、私たちは無関心や形式になずむだけでなく、

はっきりとその由来や意義、あるいは正しい心得をしらなくてはなりません。

 

そして、それを確信することにおいて、初めて本当の追善回向が活きるのです。

 

そこで、まず、塔婆建立がいかに大切なことなのかを述べてみます。

 

塔婆は、梵語(ぼんご)でスツーパといい、これに漢字の音(おん)を当てて、

率都婆・卒塔婆などと書き、さらにこれを略して塔婆とか塔と書きます。

 

これがスツーパを音訳した語ですが、

方墳(ほうふん)・円塚・霊廟(れいびょう)・だいじゅ(功徳の集まりの相)などと意訳します。

 

塔婆の歴史は古く、はっきりと形に現され始めたのは、

釈尊が亡くなってから二百年余りののちの、阿育王の時代からと言われています。

 

その種類も様々で、大きいものはピラミッドのようなものから、

五重塔、五輪塔婆、角塔婆、石塔婆、経木塔婆等に至るまで数多くの種類があります。

 

もともと塔婆は、丸や角の形を積み重ねて一つの体(たい)を成しています。

 

下から方形(四角形)、円形、三角形、半円形、如意宝珠の順序で、五輪の塔に組み立てるのが基本的な形です。

これは、「地水火風空」の五大を表します。

この五大のなかで、方形は「地輪」、円形は「水輪」、三角形は「火輪」、半円形は「風輪」、如意宝珠は「空輪」になります。

 

一番下の「地輪」は地面を意味し、「水」は地面の上にためるので地輪の上になり、

「火」は水より高く空中に昇る性質があるので水輪の上になり、

「風」は火よりも上に昇ることができるので火輪の上になり、

「空」は最も上にあるので一番上に乗せるのです。

 

そして、地輪は四角に表現し、水輪は丸く、火輪は三角に、

風輪は半月型に、空輪は珠(たま)型に形作るのです。

 

「御義口伝(おんぎくでん)」には、

「我等が頭は「妙」なり、喉(のど)は「法」なり、胸は「蓮」なり、胎(はら)は「華」なり、足は「経」なり。

この五尺の身は、妙法蓮華経の五字なり」(御書1728ページ)

と説かれています。

さらに「総勘文抄(そうかんもんしょう)」には、

 

「五行とは地水火風空なり(中略)これすなわち、妙法蓮華経の五字なり」

と仰せられています。

 

このようなことから考えますと五輪の塔婆は妙法蓮華経という仏様の体を表現したものであると言えます。