※座談会の御書解説
「四信五品抄(ししんごほんしょう)」 パート2
本抄は、健治三年四月、身延におられた日蓮大聖人より、下総(しもふさ)の「富木常忍(ときじょうにん)」に宛ててお認めになられたお手紙であります。
「富木常忍」という方は、大聖人が諸国を研学に歩かれた頃より大聖人をお支えし、立宗から間もなくして入信した、と伝えられています。
数々の「法難」の際にも、大聖人を堅く外護申し上げ、「四条金吾」らと共に信徒の中心となって信仰に励んでいたようです。
大聖人はその外護の志のあつさから、後世に御書を大事に残すであろうとの信頼を寄せられ、
「勧心本尊抄」を始めとする数多くの重要御書を与えられております。
本抄もそのなかの一遍で、「十大部」に数えられる御書であります。
「若脳乱者頭破七分」
この文は、ご本尊の向かって右肩に記されている文であり、正法を信仰する者として最も恐れるべき「厳罰(げんばち)」の姿であります。
「正法を修行する者を悩まし、その修行を妨げる者は頭が割れて七分になる」
この「頭破七分」とは、物理的に頭部が脳を損傷して非業の死を遂げる場合もありますが、
精神に異常をきたし、人生を破滅させてしまう場合もあります。
いずれにしても、宇宙法界の最高の法に背く罪というものは自らの命をも失うほどの大きいものであると、
その恐ろしさをよくよく肝にめいずるべきであります。
「この過悪を出さん若は実にもあれ」
よく信仰する者同士において、「怨嫉謗法(おんしつほうぼう)」の元となるのが、この経文に示されるごときでありましょう。
いくら「正法」に帰依したからといっても、修行途中の悪業深き凡夫の身は、さまざまな過ちや失敗がつきものであります。
しかし、大聖人は、
「忘れても、法華経を持つ者おば互いにそしるべからざるか。
その故は法華経をたもつ者は、必ず皆仏なり。
仏をそしりては罪を得るなり。」
と仰せになられて、仏法を信ずるもの同士が、互いに悪口を言ったり怨んだりすることを、厳しく戒められております。