種々物御消息(しゅじゅのものごしょうそく) パート2

・解説

本抄は、南条平七郎という信徒が、身延におられた日蓮大聖人に御供養申し上げたことに対する返礼のお手紙で、

別名「種々供養書」ともいわれます。

 

南条平七郎という方については、駿河国(するがのくに)富士上方成出郷に住む武士、ということ意外、詳しいことは分かりませんが、

 

本抄の内容等からは、真面目に信仰に励み、外護に務めた様子がうかがえます。

 

本抄においては、正法誹謗こそが無間地獄に落ちる根源であり、

世間的な罪を犯す人よりも、仏教諸宗の高僧と呼ばれている人々こそ、

堕地獄(だじごく)必定(ひつじょう)の者であると明かされています。

 

そして、このことを知っているのは日蓮大聖人ただお一人であり、

この真実を言えば、諸宗の僧達も、

また彼らを信じあがめている幕府の要人をはじめ多くの民衆も、

激しいいきどおりをもって大聖人を迫害してくることは目に見えている。

 

しかし、もし我が身かわいさに明言しなければ、

「涅槃経(ねはんぎょう)」に、

「法をやぶる者を見て置いて、呵責(かしゃく)し駈遣(くけん)し挙処(こしょ)せずんば、まさに知るべし、この人は仏法の中のアダなり」

 

と戒められる仏法中のアダとなり、

また日本国の無間地獄に落ちる無数の人々を見殺しにすることになって、

自らも無慈悲・与同罪の失により、

 

「無間地獄に落ちてうかぶ期なかるべし」

 

との果報をまのがれない。

ゆえに、あえて諫言(かんげん)したのである、と仰せです。

 

パート3に続く