(2022年3月10日発行)

 

集英社文芸ステーションより

【内容紹介】
北海道での介護職を辞し

憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、

非正規雇用ゆえに困窮を極め、

未知の「生殖医療ビジネス」

にいざなわれる29歳女性・リキ。

バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、

自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する

43歳男性・基(もとい)。

その妻で、

不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、

「代理母出産」という選択を

やむなく受け入れる44歳女性・悠子。

それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、

ノンストップ・ディストピア小説!

 

「代理妻」という

難しい問題を扱っていながらも

論文ではなく、小説仕立てで、

それぞれの立場で、

それぞれの欲望について

とてもよく考えてある正論?に驚きました。

 

主人公の「リキ」という子も

ふしだらな子なのか、賢い子なのか?

どうしても自分の子を、と望む「基」も、

その妻の動揺も、

そうだろうな、という共感を覚えました。

 

ユニークな存在として

春画の画家「りりこ」

そして沖縄出身の「ダイキ」

この辺の人たちが、とても魅力的で

飽きさせることなく読み続けられた

原動力となりました。

 

タイトルが

「燕はもどってこない」ですから

そのような結論だろうと思いながら

読みましたが、

こういうベストな?選択もあったか!

と驚き、安心しました。

 

どの人も、下卑ていなくて

慎重に悩みながら

困難な問題に立ち向かっていく姿も

よいものだと思いました。

 

少し、出来過ぎている

環境や、考え

という気もしないではありません。

 

冷凍卵子、体外受精…

代理母出産、契約出産

反社会的ともいえる、怖い言葉も

これからは、もっと日常化していくのか

そんなうまくいくものか

と、半信半疑。

わからないことも多かったです。

いろいろな考えを代弁するこの作品は、

毎日芸術賞を受賞しています。

 

 

本

 

それで、どうなるんでしょう

ぐら ちゃんの 戸籍。

 

 

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