兎追いし日々 (「光る話」の花束)
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(1989年11月30日発行)
短編の名作集、の中から
きょうは、とりわけ短く、読みやすい
「草之丞の話 ~江國香織~」
を、全文、音読しました。
江國香織、23歳の時の童話?で、
この作品で、
毎日新聞花いちもんめ童話大賞を受賞しています。
草之丞(くさのじょう)の話の
書き始めは、こんな感じ。
…世間知らずで泣き虫で、夜中に一人でトイレにも行かれないおふくろが、
いったいどうして女手一つで、これまで僕を育ててこられたのか、
ふしぎには思っていた。
それでも、女優というのはよほどもうかる商売なのだろうと、
僕はのんきに考えていた。…(略)
読みやすく、すらすらと終わりまで行きまして、
そして、ハタと、読者は思うのです。
これって、母親の作り話なの?って。
独特の江國香織ワールドのなかで、
大人の読者は思うのです。
これって、ただの不倫話かも、っと。
13歳の少年が、静かに優しく語る
母と、父の 時代劇がかったお話。
懐かしくて悲しくなる、現実味のない
夢のような、美しいお話。