(昭和58年11月25日発行)

 

私は外国文学は あまり読みません。

主人公の名前が、カタカナで

なかなか覚えられないから。

そこまでまだ興味が至っていないというか・・。

 

こちらの古代書は、やはり名前が難しいのです。

天武天皇の皇子である 大津皇子(おおつのみこ)

は、皇后・鵜野讃良(うののさらら)

(のちの持統天皇)に疎まれ

謀反の疑いで絞首刑で殺される。

(当時は遺体が血に塗れることを恐れ、貴人の刑死はおおむね絞首刑であった)

 

皇后・鵜野讃良(うののさらら)は、天皇の座を

何としてでも

自分の血をわけた草壁皇子にしたかった。・・・

 

この本のAmazonの解説にはこうあります。

 

皇位を継ぐのは誰か―。

壬申の乱後に即位し、新国家造りをめざす天武天皇の宮廷に渦まく愛憎と権謀。

文武に秀で自由濶達な大津皇子に強い期待と深い猜疑の眼が集まり、

誇り高い青年皇子は恋と政治闘争に身を燃やしつつ、

悲劇的な結末に追い込まれてゆく。

古代飛鳥に展開する歴史と人間の凄絶なドラマ。 

 

天武天皇は、「明神御大八洲倭根子天皇」

(アキツミカミトオオヤシマシラスヤマトネコノスメラミコト)

と自らを称し、天皇を絶対とする身分制度を確立します。

八色の姓を制定し、日本書紀、古事記の編纂を行い

天皇は、天照大神の子孫という体系を整理します。

 

古代史のなかで

大津皇子は、悲劇の皇子ではありましたが、

歴史の損失というよりは、天皇家の歴史の

一惨事ということなのかもしれません。

 

私は、後半からは、ひたすら

折口信夫の「死者の書」を皮膚に感じながら

読み進めました。

以下、書き出しは青空文庫より写します。

 

彼 ( ) の人の眠りは、しずかに覚めて行った。

まっ黒い夜の中に、

更に冷え圧するもののよどんでいるなかに、

目のあいて来るのを、覚えたのである。
した した した。

耳に伝うように来るのは、水の垂れる音か。

ただ凍りつくような暗闇の中で、

おのずとまつげと睫とが離れて来る。

膝が、ひじが、おもむろに埋れていた感覚をとり戻して来るらしく、

彼の人の頭に響いて居るもの――。

全身にこわばった筋が、僅かな響きを立てて、

掌・足の裏に到るまで、ひきつれを起しかけているのだ。

(以下略)

 

草壁皇子が死してのちに

大津皇子は「二上山」に葬られます。

そして、折口信夫の「死者の書」へと繋がるのです。

 

(註)

二上山は、ラクダのこぶのような二つの峰を持ち、

大きい方が雄岳・その横の小さい方を雌岳。

春分と秋分の日には

その二つの峰のあいだに夕日が沈む。

年二回訪れる 神秘現象

古代の人は怖れおののきをもって二上山を仰いだのでしょうか。

 

 

本   本    本

 

きょうは、一日中、雨の激しい日でした。

待望の雨でしたが、

こんなに降り続けていると 

やはり 身の危険を感じます。

 

 

傘  傘  傘