担当しているAさんの訪問予定日の2日前に電話がありました。

「今度来るとき、通帳も印鑑もぜーんぶ持ってきて!あなた辞めてもらうから!!!」

あー 荒れてる…

そして、翌日、「あなたいつ来るの?」とトゲトゲしく電話がありました。
「明日行きますよ!」と答えると、電話が突然きれた。

そして、訪問日。施設の相談員さんに電話のことを伝えて、Aさんのお部屋を訪問。Aさんは寝ていました。寝ている時は機嫌が悪いんだよなー。

Aさんを起こして、相談員さんと通帳の残高を確認したり、過去の通帳なども見せました。その直後、Aさんは通帳を離しません。「もうあんたに通帳を渡さん。あんたはもう来なくていい。あんたの顔なんかもう見たくない。」

そうだよね、だってあなたの大切な通帳だもの。赤の他人に渡したくないよね。

Aさんの訴えは続きます。

相談員さんが懇切丁寧に後見人制度のこと、施設では管理できないこと、家族は管理したくないと言っていることをまた改めて話します。

Aさんは私の前任の人と関係が悪くなり、一旦後見人制度を取り消した背景があります。

しかし、「前の人はよかった。あなたは名刺もカレンダーも渡さん!私があんたを雇っているのに交通費のことも何も言わん!通帳も見せてくれん!」

私に矢が向いてきた!

何を言っても文句。私も疲れます。笑顔もできない。後見人の先輩からのアドバイスで「毅然と」業務を遂行していることを説明してみました。先輩から、私たちだって人間なんだし。きちんと仕事しているのなら堂々としていればいい!と。

それでも、Aさんの態度は変わりません。怒りに震えている。
「通帳を返せー!ドロボーーーウ!!」
「私が通帳を持って、施設料も支払う!車椅子で銀行もいける!!!」

相談員さんが、「施設に通帳を置いておけないですよ。前にも話し合いましたよね?車椅子で銀行行くのも大変だよ。」

「アレもダメ、コレもダメで嫌だ!」

そりゃそうだ!
もとはといえば、ココでやりがいや生きがいがあったら、家族とも平和に過ごせているし、通帳にも固執しないだろう。

相談員さんと部屋を出た後、暴言・文句のシャワーを浴びせられた私を励ましてくれました。
「Aさんのことは気にしない方がいいですよ」
「前任の方と喧嘩別れみたいになっているのに、あの人は良かったと言っているし記憶が絡まっている。これが認知症の症状ですから。こういう事がご家族ともあったから家族も管理したくないと言っているし。家族の方も面会にほとんど来ていません。」

救いの言葉。相談員の鏡!

と、同時に、Aさんがどうにか笑顔が増える日々を送れるようにしてほしい。それがみんなを救うことに繋がる気がする。