変わりゆく街並みと、変わらない情熱。1日中駆け巡る、愛しの神戸ピアノ巡礼リスト
前回の続きです。
幼馴染とのあまりにも切ないお別れを知り、胸にぽっかりと穴が空いたような寂しさを抱えながら、私たちは地下鉄の駅へと向かいました。
私たちがこれほどまでに神戸という街に惹かれ、年に一度は必ず足を運んでしまう最大の理由。
それは、この街が日本屈指の「ストリートピアノの宝庫」だからです。
神戸の公式ホームページを開けば、地域ごとに設置場所やピアノの種類が本当に細かく表示されていて、私たちのような大人ピアノ生にとっては、まさにときめきの聖地そのもの。
しかし、久しぶりに歩く神戸の街並みを見つめていると、私たちの胸に少しばかり複雑な思いが去来しました。
阪神淡路大震災という大災害から、見事な底力で立ち上がり、ずっと頑張ってきた神戸の街。
けれど、やはりあのコロナ禍の打撃はあまりにも大きかったのでしょう。
かつて私たちがコロナ前まで毎年のように通っていた、あのお気に入りのレストランや、味わい深いお蕎麦屋さんが、いつの間にかひっそりと姿を消してしまっていました。
それだけではありません。
かつての上品で洗練された雰囲気が大好きだった元町商店街は、なんだか随分とインターナショナルな風情に様変わり。異人館のある北野のエリアはどこか街の手入れが行き届いていない印象を受け、お土産屋さんには異国の言葉が飛び交っています。
賑やかな中華街も、少し観光地化されすぎてしまったかしら……?(同じ観光地なら、規模の大きな横浜中華街の方が個人的には面白いな、なんて感じてしまったり!)
あんなに美しかった以前の面影が激減してしまった神戸街並みに、少しの寂しさを覚えずにはいられませんでした。
新しくできた美味しいお店もたくさんあるのでしょうけれど、今の私たちには不思議とそれらを探す気力は湧いてきません。
というわけで、お腹が空いた私たちのディナーは、もっぱら大好きな「土佐清水ワールド」さんへ!
目の前で豪快に焼き上げられる、香ばしい鰹(かつお)の藁焼きをいただくのが、我が家の最高のご馳走です。ちなみにランチの定番は、昔懐かしい佇まいが素敵な「御影公会堂」のオムライス。これだけは絶対に外せない、夫婦のブレない定番コースです(笑)。
「土佐清水ワールド」の藁焼き、ボリュームたっぷり
登録有形文化財に登録「御影公会堂」オムライス
美味しい定番の味をいただいたら、あとは1日中、街じゅうのストリートピアノを求めて全力で駆け回るのです!
ここで、私たちが神戸を訪れるたびに必ずと言っていいほど「巡礼」している、お気に入りのピアノたちをチラリとご紹介させてくださいね♪
① 【新幹線・新神戸駅 改札外】(アップライト)
駅構内なのでいつも賑やかですが、驚くほどよく響くお気に入りの場所です。
② 【地下鉄 西神・山手線 新神戸駅 改札口外側】(アップライト)
新幹線に連結している駅だけあって人通りが多く、ちょっぴりドキドキします。
③ 【三宮・花時計前駅 改札内】(アップライト)
比較的お買い物が少なく、落ち着いて自分たちの音と向き合える隠れスポット。
④ 【旧居留地・大丸前駅 改札口外側】(小さめのグランドピアノ)
人通りが少なめでゆっくり弾けます。音色が本当に美しく、極上の響きが楽しめます!
⑤ 【JR神戸駅 デュオこうべ】(アップライト)
大きなホール状の広場なのでとにかくよく響きます!ただ、なぜかここは長時間を頑張って独占している先客のツワモノが多い印象(笑)。
⑥ 【三井住友銀行 神戸営業部】(スタインウェイ・フルコンサートピアノ/1972年製)
ほぼ外空間に佇む、なんとあの名器スタインウェイのフルコン!音そのものは素晴らしいのですが、音が空気と一緒にどこまでも広がっていってしまうのが、ちょっぴり勿体なくて残念(笑)。
⑦ 【モザイク(ハーバーランド駅改札内)】(アップライト)
以前は芝生の端っこに可愛く置かれていたのですが、最近なくなってしまいました。寂しい……。
⑧ 【新開地・地下商店街】(2箇所/アップライト)
地下なのでよく響くのですが、タイミングが悪いのか、行っても使えないことが多い気まぐれさんです。
⑨ 【中突堤中央ターミナル(かもめりあ)】(カワイ・クリスタルグランドピアノ)
透明に輝く見栄えは、文句なしに素晴らしいのですが……(このピアノの切ないお話は、次回たっぷりと!)。
⑩ 【ポートターミナル】(アップライト)
大きな神戸人形と並んで置かれています。この日は、私たちがこれから乗り込むお洒落な船「オーシャンフジ」が停泊していたため、残念ながら使用禁止になっていました。
★おまけ 【宝塚駅】(アップライト)
宝塚大劇場へ向かう階段の途中にあります。毎日丁寧にカバーがかけられていて、手入れが行き届いた愛を感じる素敵なピアノです。
どうですか? この見事なまでのピアノ巡礼ルート(笑)。
これらを毎回、都度あっちこっちと夢中で歩き回るのですから、夜はもう夫婦で泥のようにぐっすり眠れます。
周りの皆さんは、これでもか!というくらい、速いテンポで華麗な曲をバリバリと弾かれる方が多いストリートピアノの世界。
そんな中、私はあえてゆっくりとした自分のペースで、ひとつひとつの音の響きを優しく確かめるように弾くのが大好きなのです。
すると、時折演奏を聴いてくださっていた方から、
「あなたのピアノは落ち着いていて、聴いていて本当に気持ちが良いですね」なんて、身に余る嬉しいお言葉をかけていただけることも……!
そんなお言葉をいただくと、小心者の私もつい嬉しくなって、調子に乗ってしまうのです(笑)。
しかし、そんなピアノ巡りの途中、私たちは中突堤で出会った「あの最高に格好いいクリスタルピアノ」の前で、胸がキュンと痛むような、ちょっと切ないハプニングに遭遇することになるのです……。
次回、クリスタルピアノが教えてくれた現実と、我が夫の驚異的な集中力のお話へ続きます。
どうぞお楽しみに♪





