天気雨が降った。空は明るいのに、雨が降っている。
私は雨が嫌いじゃない。ずっと雨でもそれはそれで悪くないと思うことがある。
自分の中にある暗いものが雨の日には少しだけ景色に紛れてくれる気がするから。
でも、雨を暗いと感じるのはきっと晴れを知っているからなんだろう。
晴れた日の明るさを知らなければ、雨を寂しいとも思わないのかもしれない。
そう考えると、私は暗いところにいたいわけではなくて、どこかでずっと晴れに憧れているのかもしれない。
遠い昔に「夜明けみたいな女の子」と言われたことがある。
そのときは不思議な言葉だと思った。朝でも夜でもなく、夜明け。
でも今は、その言葉が少しだけわかる気がする。
夜明けは、暗闇がなくなった時間ではない。まだ夜を残したまま、そこに少しずつ光が混ざっていく時間だ。
人もきっと、ひとつの色ではできていない。
私はよく笑うし、明るいところもある。
それでも心のずっと奥に、簡単には消えない暗さもある。
昔、その部分を見せたことで離れていってしまった人もいた。明るいあなたが好きだったと。
だからたぶん私は、明るい私だけを好きになってほしいわけじゃない。
暗いところを無理に明るくしてほしいわけでもない。
ただ、雨が降っている日にも隣にいて、
「今日は雨だね」と言ってくれるような人がいたらいい。
そんな私でも大丈夫だと、特別なことみたいにではなく、当たり前みたいに思ってくれる人。
天気雨を眺めながら、ぼんやりとそんなことを考えた。
晴れているのに雨が降る。暗いのに光が差す。
矛盾しているようで、たぶん人間も同じなのだろう。
夜を知っているから、夜明けが綺麗なのかもしれない。
だったら私は、ずっと晴れている人にならなくてもいい。夜を少し残したままでゆっくり明るくなっていく人でいたい。