桜の樹が空広々と

花びらで覆いつくし
鳥たちの囀りを
暖かく包み始める。

人は皆、手足を
存分に伸ばしながら
樹と空を交互に見上げ
澄んだ空気を吸い込む。

花びらが美しく
唄や言霊を醸し出し
新しく生まれ変わった
大いなる喜びを感じさせる。

このままずっと
平和な日々が続けば
傷つけ合い一つも
無くて済むと思う。

桜の花々が緩々と
母のような優しさで
私たちを持て成し
さり気に愛を捧げた。

(緩々→かんかん)