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チクタクの音を
耳にするとつい
歩幅が縮んで
焦り始めてしまう。
ギクシャクして
前後左右が
分からなくなり
見失うばかりに。
チクタクは
悪戯にのろまを
置いてけぼりにし
弾むように嘲笑う。
ギクシャクは
いつか怒りを奮わせ
あちこちに
当たり始める。
いっそ
チクタクも
ギクシャクも
書き消して
何もない空間へ
飛んでいきたい。
何にも縛られず
自由気ままで
のんびりしていて
それだけなのに
とても愛くるしく
恋しさも思わせる。
罪にばかり
気を取られていた
そんな中でも
丸い瞳で見つめ
静かに慰めてくれる。
もしも同じ猫なら
何も言わずに
寄り添い始めて
小さな体で暖めたい。
そして、本当の自由を
やさしく語りたい。