一喜一憂する勝利

恩田侑布子さんの俳句に

「勝ち負けを すぐ云うをとこ 茗荷の子」という句があります。

 

勝った勝ったと喜んだと思ったら、今度は、負けた負けたと一喜一憂し、すぐに忘れる子どものようだという意味でしょうか。

 

茗荷(みょうが)は、食べるともの忘れをするといわれます一喜一憂は、そのせいだと言われます。

 

茗荷は「冥加」(みょうが)に通じます。冥加とは冥利ともいい、「神仏から受けた利益」(りやく)のことをいいます。

 

「男冥利に尽きる」という言葉を聞いたことがあります。「勝負に勝つことは男冥利につきる」となると、「勝利」という言葉もあながち間違えではないような気もします。

 

仏の優れた教えこそ勝利への道

本来、勝利とは仏教用語で、「仏の勝(すぐ)れた利益(りやく)」から来ている言葉で、勝ち負けとは関係がないのです。

 

すぐれた利益があれば、「勝れていない利益」もあるわけで、こちらは「敗北」とは言わず「小利」(しょうり)といいます。

 

勝利も小利も同じ「しょうり」なので、どっちが勝ったのかわかりません。あえて負けた方は「敗北」となったのかもしれませんね。

 

負けた人は北に逃げた?

勝利の意味は仏教由来ですが、「敗北」はどうも仏教からきたのではないようです。「敗」という一字で「負け」という意味で、腐敗や頽敗(せきはい)などからも、ものが壊れる様子が「敗」に関係していることがわかります。

 

ではなぜ、「北」という字をつけたのでしょうか。無くても十分通じますが、「勝利と敗」では語呂が悪かったのか、「敗北」となりました。

 

この「北」という字は、人が背中あわせに座っている姿に見えます。そのため、敗東でも敗西でもなく「敗北」と書いた方がより一層、敵に背を向けて逃げる姿が思い浮かべられまるのかもしれません。

 

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