(横浜エリスマン邸。ここも館内の見学と喫茶での一休みが可能です。かっちょいいね。)
今日もレバレッジに関するお話しを続けましょう。
今日はレバレッジに関して起こしやすい勘違いのお話しを。
レバレッジは魔法の杖のようなものですが、
実際にこれを手に入れるには、通常の感覚からすれば相当の期間が必要であり、
一生のうちの何割かを使うこととなるものです。
よく考えて検討してから一手を撃つようにしましょうね。
では、一つずつ紐解いてみましょう。
1.レバレッジはすぐに実現する利益ではない。
レバレッジはもちろん不動産投資をした場合に得られる利益ですが、
残念なことに、何かのイベントが起こるまでは「現実の利益」に該当しません。
簡単に云ってしまえば、「今、レバレッジで何か儲かっているの?」と訊かれても、
大抵の場合には「今は全然儲かってないよ!」と答えざるを得ないのです。
「レバレッジが貯まった!増えた!」
こう喜んでも、通帳の中身は全然増えていませんから。
一例を挙げれば単純に理解できるのですが、
多額の修繕費がかかってしまい、キャッシュサイドがカツカツ、不足が生じたとします。
しかし、その不足分をレバレッジサイドから一部を取り崩して
転用・充当するということができません。
つまり、レバレッジを蓄積している期間は
単にローンを返済しているに過ぎず、特別なアクションを取ることができないのです。
結局、レバレッジは帳簿上そのように「評価」しているに過ぎないものなのです。
1.レバレッジはいつ実現するの?
では、レバレッジは一体いつ実現するのでしょうか。
一体何年待てばよいのでしょう。
実は、レバレッジが実現する機会は以下のケースしかありません。
その一は、売却した場合です。
その二は、返済が完了した場合です。
結局この2つだけしかないのです。
では、それぞれのケースにおいてどこまでのレバレッジが実現するのか、
ケース別に列挙してみましょう。
1.売却した場合
対象物件を売却した場合には、「それまでに蓄積したローンの返済累計額」が
レバレッジに相当する利益として現実化します。
9/2の記事から再度引用すれば、以下のような云い方ができる部分です。
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10年経過時に2,000万円程度返済ずみの状態、買値の1億円で売れたとすれば、
1億円(売値)-8,000万円(1億円(当初融資額)-2,000万円(返済ずみ融資額))=2,000万円、
途中で売却すれば、返済ずみ部分の額は手許に残るという勘定です。
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売却してすべてのものを一度現金化し、残債務を精算した手残りの金額、
これが実現したレバレッジの正体だと考えて下さい。
実際はキャピタルゲインも混入してますし、諸費用や税金負担もありますが、
今日のところは知ってる方でも「しーっ!」でお願いします。
1.返済が完了した場合
対象物件の返済が完了した場合には、対象不動産が完全に自己所有物件となりますので、
この場合にも、レバレッジが不動産という形に転化して実現したということが云えます。
結果、返済完了後は今まで支払っていた分が手許に残る、
このような形で恩恵を受けることとなります。
ちょっと税金増えちゃうけどね。
それはガマンしたボーナスと云うことでいいんじゃないでしょうか。
なお、返済期間の中途で繰上返済を実行した場合にも、
同様の効果を得ることができますよね。
この場合には、繰上返済時までの返済の累計額がその範囲となります。
(繰上返済分は自己資金で賄いますので、レバレッジの対象とはなりません。)
1.手に入れるまでにどれくらい時間がかかるものなの?
今日の最後は、レバレッジを手に入れるのにどれくらいの期間がかかるのか、
それを紐解いてみましょう。
では、いつも使っている【前提条件】から、
ローン部分だけを取り出して検証してみましょう。
以下時系列で並べてみますね。
【前提条件】
(4) 取得資金 全額融資(フルローン)による、
融資額1億円、金利2.5%、融資期間25年、元利均等返済
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5年目…15,339,771円(元本返済割合…約15%)
10年目…32,719,794円(元本返済割合…約33%)
15年目…52,411,364円(元本返済割合…約52%)
20年目…67,137,500円(元本返済割合…約75%)
25年目…58,887,500円(元本返済割合…約100%)
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…上記は、
それぞれの時点において売却した場合に実現する可能性のあるレバレッジの額です。
売価によって変動する可能性もあるのですが、一つの目安として考えてよいでしょう。
なお、20年目辺りから元本返済割合と金額に乖離が生じているのは、
減価償却を計算に織り込んでいるためです。
で、数字を確認してみますが、1億フルローンのリスクを背負って、
5年で約1,500万円、10年で約3,200万円…
金額的には程々の大きさですが、
そこまで賃貸経営を維持して待ち続けることはできるでしょうか。
そこまで待つ忍耐力、ありますか?
その間に変化する社会情勢やアクシデントに対応し続ける覚悟はありますか?
レバレッジに期待すると云うことはそういうことなのです。
…不動産から生ずる利益は何種類もありますが、それぞれの性質を知ることはとても大切。
旨い言葉に乗せられたり、熱にうなされることのなきよう。
最低限の知識は頭に入れておきましょう。
最後はいつも同じメッセージ。
「精神的自由」やら「経済的自由」なんて心地よい言葉に浮かれると、
デンジャラスな人生を送ることになるかも知れません。
焦りは禁物ね。
大丈夫。不動産は逃げませんから。
優等生プアと劣等生リッチ―頭のいいぼくが貧乏で、なんであのバカが金持ちなの? 1,836円 Amazon |
古い本です。一時期この類いの書籍が市場を席巻し、本棚の多くを占領していました。
当方この時期に多くの書籍を読み漁っています。
啓発書はね、慣れないうちは読むと熱病にうなされたようになって「××はかく語りき」なんて遠い目で語ってしまうんだけど、大切なのはこれを取り込んで実行すること(格言を羅列しただけの「引用ブログ」みたいになっちゃダメよ)。もちろん都合のよい部分だけでも構わないので。そしてたくさんの失敗をして、自分の経験値へと転化して行って下さい。必ずご自身の将来に役立つことでしょう。