(横浜えの木てい…夏は木が茂ってるから建物が隠れちゃってるね。散歩の休憩にどうぞ。)

 

 

 

今週は滞納シリーズの中で最後のものを紹介しましょう。
対象物件は、先週のものと同じ。

 

今回は悪意があるというより、意気地がないもの。
ぐだぐだの甘えすぎ。しかも他人様に。

 

オレはオマエの家族でもないんだよ。
「オマエ××付いてんのか!しっかりせい!」という感じ。

 

あるところまでは遅れながらも何とか払ってはいたものの、
段々と追いつかなくなり、ぐたぐたになり。

とうとう「出て行ってくれ」となったものです。

 


1.管理委託の方法

 

本物件は、管理会社に一括管理を依頼しています。
通常の家賃に関するやりとりは、以下の流れで進めています。

 

関係者からみれば一般的なものだと思いますが、
本ブログは未経験の方も読者となっておられるようですので、
以下にその流れを記しておきます。

 

①家賃は、管理会社へ各月の期限までに振り込まれ、管理料5%を引き、
   決まった日に当方の通帳に振り込まれるようなシステムとなっています。

 

②別途郵便で入金の内訳書も送付され、
   一覧表形式で、誰が幾らずつ振り込んだかまで解るようになっています。

 

③備考欄には諸情報が記され、

   ・遅れた場合にはその日付等が、
   ・当方への送金時までに振り込まれなかったもの、
    つまり滞納が発生した場合には、金額欄が空欄の状態で送られてきます。

 

④後日滞納分が振り込まれた場合には、備考欄に何月対応分かが明示され、

   金額欄にはその月分との合計額が入ります。

 


1.管理会社からの報告

 

当方、当然のことですが、毎月上がってくる内訳書には必ず目を通し、
状況をチェックしています。これでも経営者の端くれだからね。

 

今回の対象者の件も、それまでの何ヶ月分からか遅れが目立つようになり、
ある時期から、管理会社より督促をする旨、そしてその結果報告を受けていました。

 

当時のメールを引っ張り出してみると…

督促のアクションは、6月に第1回目があったところからスタート。

 

ところが、7月から電話、督促状、訪問をしているにも拘わらず、無視。居留守。

そして8月に連帯保証人宛督促状を送付、やっと7月分が振り込まれるような流れ。

 

どうやら、対象者の勤務先にも連絡を入れてくれていたようですが、
「現在使われていません」=倒産したんじゃねぇの?との報告。

 


1.当方の第一印象

 

当方の最初の印象(管理会社に迷惑をかける前)は、
「いやいや、このご時世に大変だね」
「こっちも商売だけど、追い詰めるのは可愛そうだね」
というものでした。

 

当たり前ですよ。根底は一般的な感覚をしっかり持っています。
立ち直るまでは何とかしてあげたいと考えますよ。

 

ここまで書かれたブログをみると、
当方が鬼か悪魔のように見えるかも知れませんが。

それは間違っていますよ。いいすね?

 

ところが、管理会社を通じての報告をみるにつけ、

「やっぱりかな…」と感ずるようになるのは当然ですよね。

 

 

1.基本的なルールの確認

 

当方が相手方の状況を聞き届け、対等で交渉するには、


住処を借りている以上、また滞納が発生する以上、真摯に対応すること。
管理会社へ諸事情を報告し、早期に立ち直る努力をすること。


それが無理なら早々に退去し、相互に傷口を拡げないこと。
必要以上に甘えないこと。逃げないこと。

 

つまり、どのような状況であっても逃げずに、
向き合っていること、「お互い様」の状況であることが前提の話だと考えています。

 

逃げてちゃ話すらできないのに、

どうしろっていうことですよね。

 

 

1.管理会社の督促(続)

 

管理会社からの報告では、「本人は真面目な方なので、何とか突破口を」
と極力対象者の立場に立っての督促が続きましたが、
本人はそれを裏切り続けました。

 

以下管理会社からきたメールを一部抜粋してみましょう。


こんなにアクションを取っているのにまだ居留守かよ…です。

併せて、管理会社の方のご尽力に感謝。
彼らがいなければ、これら全部当方がやらなあかんのよね。

 

ここから)---------------------

 

8/21   7月分入金確認
8/23   留守電吹き込み
8/27   留守電吹き込み
8/30~9/4まで携帯連絡するも「通話が出来ない」アナウンスでした。(携帯使用料未払いか?)
9/6   留守電に切り替わりましたので「連絡してほしい」旨の留守電に入れ、同日督促状を送付しました。
9/8   8月分入金確認
9/11   留守電吹き込み
9/13   訪問、留守でしたので、メモを投函して参りました。
9/24   留守電
9/28   訪問 不在の為鍵穴に名刺貼付け 督促状投函
10/2   留守電
10/3   留守電
10/4   留守電
10/8   留守電×2
10/9   9月分(1か月分)の入金を確認しました
10/10   留守電
10/15   留守電
10/16   訪問 不在、鍵穴に名刺を貼付け
10/18   訪問 玄関へは出られないが、南側窓が開いているのを確認。
           訪問当初は電気メーター回っていたが、その後メーター回らなくなる。

           ⇒居留守と思われる。+留守電
10/22   留守電
 
1ヶ月遅くなっていますが入金はございますので、支払う意思はあると思います。
ただ、本人と連絡を取れない状況が続いております。
退去を勧告することも考えましたが、未だ一方的なコンタクトですが、
滞納を増やさない気持ちはあるのだと考えています。
継続して対話を試みたいと思います。


ここまで)---------------------

 

上記は全体のうちの2ヶ月程度を抜粋した程度ですからね。
最終解決は翌年の1月末ですから。ちなみに。

 

ホント。滞納者の心理って不思議なものですよね。

 


1.当方からも提案

 

上記のような流れはだらだら続き、少しずつは振込があったものの、
次第に追いつかなくなって行きました。

 

一度だけ弟に連絡して肩代わりをしてもらったこともあるのですが、
何度も何度も依頼をかける訳にも行かないでしょう。

 

どうやら本人も日雇いか何かしているみたいでしたが、
居留守を使うなど、管理会社を困らせる状況が続いている以上、
大目に見る訳には行きません。

 

電話にもろくに出ない、払いも遅れる、保証人への連絡も止めてくれ、
求職活動も適当にしかやっていない、でもここには住み続けさせてくれ…

…やがて年も明け、埒が明かない状況となってしまいました。

 

すぐに春先の募集時期に入りますから、
こちらがすぐに動けるようにしておく必要もあります。

 

本人も、現状当方所有の物件から引越し、
家賃が安いところへ行かないと、資金繰りも改善しないでしょう。

 

もうここで…見切りを付ける最終タイミングと思い、
当方からの提案を本人に伝えてもらうことにしました。

 

結局、当方からも提案をかけ、これに反応しなかったら、
退去勧告+保証人へ連絡するという前提での伝達をお願いしたのです。

 

以下管理会社宛送信したメールを一部抜粋してみます。

 

ここから)---------------------

 

あけましておめでとうございます。
旧年中は多大なご尽力、ありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
本件退去の方向で進めて下さい。
様々お手数を頂戴しておりますが、よろしくお願い致します。
今必要なのは問題の先送りでなく、必要な行動を取ることであると考えます。
人が動く時期でもありますので、もたもたされても困ります。
 
懸念されるのは本人がヤケを起こしてしまうことですが、これだけは避けたいところです。
が、こちらも商売ですので、本人の詰めの甘い部分まで引き受けて

面倒をみる必要はないと考えます。
 
また、本人が必要な行動を取っていない可能性もあると推測しますので、

いくつかセーフティネットを列挙しておきます。


ただ「出て行け」とならぬよう、多少の提案をしても良いと考えています(保証人も含め)。


ちょっと調べればたくさんの手段が出てきます。
これらを上手に利用しながら求職すれば良いと思います。
 
<失業保険給付及び求職者支援制度>
【ハローワーク●●】
●●区●●町 電話-------(以下同)
 
<総合支援資金貸付事業>(注1)
【●●区 社会福祉協議会】
 
<生活保護申請>
【●●区 福祉保健センター】
 
<住宅支援給付事業>(注2)
【●●区 生活支援課事務係】

 

ここまで)---------------------

 

(注1) 総合支援資金貸付とは、失業等により日常生活全般に困難を抱えている方を対象として、必要な資金の貸付けと、社会福祉協議会やハローワーク等による継続的な相談支援をセットで行い、生活の立て直しや経済的自立を図ることを目的とした制度のことです。

(厚生労働省HPより)

 

(注2) 住宅支援給付事業とは、離職者であって就労能力及び就労意欲のある者のうち、住宅を失っている者又は失うおそれのある者を対象として、原則3ヶ月間(最長9ヶ月間)、賃貸住宅の家賃として住宅支援給付を支給するとともに、再就職に向けた支援を行っています。

(立川市HPより)

 

…が、やっぱりね。やっぱりだよ。何のレスポンスもなし。
状況は相変わらずのまま。一体どうしたいのよって結論になりました。

 

万が一ストレスから鬱系の病気になっていとしてもさ、

それを云ってくれたら対処の方法はあるのに。

 

 

1.最  後  は

 

こんなことをいつまでも続けることは無意味である。


もう既にこの時点で当方と管理会社の意見が一致しましたので、

年が明けた直後に退去勧告をするとともに、
何故か嫌がっていた連帯保証人(本人の父親)へ連絡を取り、
強制力を働かせることにしました。

 

もうこの時点でアクションを起こさないと、
その後のクリーニングやリフォームをかけるための時間的な余裕がなくなり、
2~3月の人の移動時期に有効な募集がかけられなくなるからです。

 

いつまでも譲ってばかりいる訳には行きません。

 

でもね、直球で云うと当人はそんなこと考えてないのよ。
自分のことだけ。滞納者っていつもそう。全部自分の都合。
迷惑かけてても何でも。

 

今までの経験からするとね、滞納者ってね、
こっちが一歩譲ったら必ず相手は一歩踏み込んでくるからね。
なあなあ、だらだらでやるから。図々しいんだよね。

 

そんなのに付き合うとビジネスが成り立たないんですよ。
こっちゃ億単位で借金してんのよ?


それをこんなだらしねぇヤツのために崩壊させていいの?
ってことなんですよね。


こっちにゃ嫁も子もいて、実家にゃ親も障害者もいるんよ。
それをつまんねぇヒューマニズムみたいなことで崩壊させちゃいけないワケ。
しっかりケジメをつける部分は付けないとね。

 

管理会社もここまで面倒を見ちゃうと、
情が移って踏ん切りが付かなくなっているようにみえる部分もあったので、
この後の最後のメッセージも強めに出しました。


その辺りは管理会社もお解りだったと思います。

 

 

1.決    算

 

本件、金銭的な損失は一切発生せず、
これまでの滞納に比べれば軽く終わりました。

 

実質メールのやりとりに時間を使った程度で終わりましたが、
滞納は気持ちとして良いものではありません。当然です。

 

けれども、ビジネスを成立させ続けるためには、
どこかで線引きが必要です。

 

それができなくてもダメ、逆に、
杓子定規すぎてもダメ(過ぎれば皆から嫌われるでしょう)、
その間合いの取り方も適宜できるようにする必要があると思います。

 

でさ、メンドクセーよ。滞納はよ。本当だよ。

 

今回の滞納者みたいに人生の決定権を他人に委ねたまま生きてると、
会社が倒産したら直ちに終了フラグが立つのよ。

 

それは急にやってくるから、
普段から器を作って置かないと、すぐに自分もぶっ壊れるのね。

 

こんな世の中だからね、普段から様々考えて調べて、
知っておくべきコトを潰しておくべきだよね。

 

で、コトが起こったら仕方ないけど、そんときは「逃げんな」なんだよね。

何かしら糸口はあって、直ちに解決はできなくとも、確実に一歩は進むんだから。

 

 

 


…暫く滞納関係のお話しを日曜日に提供してきましたが、
皆さんいかがでしたか?

 

不動産賃貸業は人に直接関わるものですから、
物件取得後にこういうことが起こる可能性は常にあると考え、
覚悟しておきましょう。

 

そして、ここ暫くお話ししているフルローンね、
これやっているとバッファが極端に狭いはずだから、
それを簡単に食いつぶすのが滞納だと思って下さい。

 

発生したら早期解決。そして全額回収を目標に。感情的にならず淡々と。
「発生したらどうしよう」なんて心配する必要はありませんが、
発生したら逃げることなく先送りすることなく、淡々と処理しましょう。

 

恐らく管理会社も、当方が依頼している先のように、
真摯に処理してくれるところばかりじゃないと思います。

 

そのときは管理会社も「教育」する必要があると思いますが、
粘り強く対処しましょう。

 

発生したら負けないでね!

 


次回は番外編として、次回は退去トラブルを考えています。
一応金銭絡みカネ絡みなので、このカテゴリの中へ入れておきますね。

 

で、滞納回避の方法も忘れていませんから。
書いてみると意外に短編になるような気がしますが、日を改めて書いてみます。

 

 

 

 

 

最後はいつも同じメッセージ。


「精神的自由」やら「経済的自由」なんて心地よい言葉に浮かれると、
デンジャラスな人生を送ることになるかも知れません。


焦りは禁物ね。
大丈夫。不動産は逃げませんから。

 

たまには不動産を離れて商売のアイデアでも練ってみたら?

…とは云っても、これからの不動産賃貸業は「待ち」だけじゃ負けるからね。

普段からこういった本を読んで、アイデアを練る礎にしてみてはどうでしょうか。

困ったときに「あの本に何か書いてあったな」と記憶を頼りにするだけでも心強いですよ。

あとね、不動産賃貸業もまだまだ競争が激化するから、いつまでも同形態が永続するなんて考えない方がいいと思います。いやホントに。