(桃畑からの眺め…南アルプスだったような気が。4月だったからまだ雪被ってるね。)

 

 

今日は前回に引き続き、資料を読みながら、
対象物件が経営の成り立つものであるかどうかを確認しましたょう。

 

今回の題材として、以下の物件をアップしてみます。
今はこんな超優良物件と出会えたら人生御の字ですが、ほぼ皆無ですよね。

 

昔はね、こんなの都市部でもゴロゴロしていたんですけどね。
人気が出てみんなが寄ってたかってってことになると、現状のようなことになるんですね(笑)。

 


【例  示】

 

①物件価格 1億円
②利回り 10%(物件価格×10%=年最大1,000万円の賃貸収入見込み)
③借入額 1億円
④利 率  3%
⑤借入期間  30年
⑥元利支払額  年間約500万円


では、以下に各要素を挙げながら、どのように簡便的なシミュレーションへ結びつけるか、
要素毎に確認していきましょう。

 


1.入居率と修繕費を考慮しよう

 

対象物件の入居率が常時100%になることは殆どありません。
賃貸契約の切替時から始まって、あらゆるタイミングで退去が発生するからです。

 

また、退去と同時に原状回復のための修繕も必要となりますので、
これも考慮する必要があるんですね。

 

不動産賃貸業者にとって、
物件は商品そのものですから。

 

キレイにしないとお客さんが見向いてくれないですし、
管理会社もお客さん案内してくれないよ?

 

で、どの程度考えたらよいと思いますか?

経験からいうとね、大体賃料年額に対して90%が
実入金額だと考えておくとよいと思います。

 

ただ、当方の所有物件の入居率が年平均で97%前後であることを前提としていますので、
普通の物件だったらもうちょい堅めに、80~85%を目安にしてよいかも知れません。

 

このページでは、この率を85%に設定することとしますね。

 

結果、賃料年額が満室前提で1,000万円の物件であれば、
この要素を考慮することで、1,000万円×85%=850万円が実入金額となります。

 


1.管理費を考慮しよう

 

物件管理を自分でやることを自主管理といいますが、
この方法は何から何まで自分でやらなきゃいけなくなりますので、
皆さんのスタンスが「投資家」でなく「自営業」となってしまいます。

 

管理会社に物件を管理委託し、客付けも一括委任、入金管理やトラブル対処、
等々を丸投げでお願いする前提にしちゃいましょう。

 

ただ、お願いする以上はタダという訳には行きません。それなりの対価が必要です。
当方が関係している管理会社は物件により「賃料」の4%~5%を支払う契約となっています。

 

この場合の「賃料」は上記で云う実入金額がベースとなりますので、
直接年間の最大賃料1,000万円に掛けないように注意しましょう。

 

このページでは、この率を5%に設定することとしますね。

 

結果、賃料年額が満室前提で1,000万円の物件であれば、この要素を考慮することで、

850万円×5%=42万円(計算を簡易にするため、1万円未満を切り捨てます。)

850万円-42万円=808万円が実入金額となります。

 


1.権利金(礼金)関係はどうすればいいのかな?

 

権利金や礼金は原則として考慮しないでよいでしょう。
今現在の賃貸市場では必ずしも取れなくなっているからです。

 

また、どれだけの入居者が入れ替わるか、
これは絶対に固定値として把握できない数字ですから、
入退去双方の要素として考慮することに意味なしとして略してもよいと思います。

 

結果、入金面では権利金(礼金)を除外、
支出面では入居付けにかかる経費を除外して判断してよいでしょう。

 


1.固定資産税はどの程度を見込んだらよいでしょうか?

 

固定資産税は物件を所有していれば必ずかかるものです。

固定資産税は物件の構造や築年数によって固定資産税評価額が全く異なりますし、
住宅に対する軽減措置もあって、これによっても数字に幅が出てきます。

 

これは固定資産税の納税通知書や固定資産税の評価証明書をみれば一発なんですが、
実際に売買するならともかく、普通は所有者以外にみることはできません。

 

当方の場合、ざっくり多めの数値、物件価格×1%を見込んで計上しています。

前述の軽減措置も考えれば多すぎなのは承知していますが、
・堅めにということと、
・計算を簡単に済ませるため、そして
・場所によっての都市計画税を込みにして、
大体これくらいね、ということでそのようしています。

 

余談ですが、1%としているのは、
固定資産税の評価額は時価に対して70%、税率は1.4%ですから、
連乗すると、70%×1.4%=0.98%、これを前提としています。

 

結果、物件価格が1億であるなら、
1億×1%=MAX100万円が支出対象となる可能性があると見込みます。
前からの要素を引き継げば、808万円-100万円=708万円が実入金額となります。

 


1.他の経費は?

 

賃貸経営をしていれば、
この他に損害保険(火災保険)や地震保険等が物件価格の0.3%程度かなとか、
管理会社との付き合いとか、諸々出てきますが、


重要度から見ても金額から見ても僅少な額ですから、
全く考慮対象とする必要はないでしょう。

 


1.で、最後にトドメです。忘れちゃなんないやつを。

 

最後に忘れちゃいけませんよ。ローンの返済。
最初の例示をベースに500万円を控除します。

 

結果、前からの要素を引き継げば、

708万円-500万円=208万円が実入金額となります。


これもやや高めに設定し、固めに計算していますが、、
経済事情の変化を考慮したり、ある程度高めで組んでおけば、

変化に対する「耐性」も高くみることができるであろうという「クセ」に過ぎませんので、

各自任意の利率を用いてよいと思います。

 


1.所得税や住民税、事業税は?

 

個人であればこれら諸税がかかるんですが、計算しようがありません。
理由は勉強すれば解りますよ。

 

計算結果を物件単位に落とし込むことが事実上不可能なんです。

 

なので、適当にご自身の「所得税率の超累進税率+住民税の10%の合計」を上記最後の208万円から引いて下さい。

 

例えばトータルの税率が25%程度の人なら、

208万円×25%=約50万円、208万円-50万円=158万円という感じで数字をいじります。

 


1.最終値は…

 

ここまでで、1,000万円も見込みがあった賃料が、
最終的には158万円程度まで減っちゃいましたね。

 

「少ないな…」
「1億円なんてリスク背負ってたったこれだけ?」

そうなんですよ。たったこれだけです。


それでも身を投じる勇気はありますか?

2~3年経ったところで金額が嵩む修繕が必要になったらどうします?


例えばざっくり300万円とか500万円とか。

正直ね、それだけの余力があるとか、融資を別途引っ張ってくる自信とか、
そういうものがあれば問題ありません。

 

けれども、それがなければちょっと棚上げして、
本当にそこまでしてやりたいものかどうか、再考して下さいね。
買う前だったら選べるから。

 

ただ、もう一度翌々最初の例示を見ると、
①フルローン=当初資金が最小というオイシイ設定であること、
②いわゆる「レバレッジ(6/8参照)」が全く考慮されていないこと、

 

これらを考えると、「濡れ手に粟」で、
すべて上手くいけば6年ちょいで1,000万円貯まるよな。とか、

 

レバレッジが当初200万円程度からスタート切れるから、
同じ6年だったら1,200万程度まで伸びるかな?

なるほどなるほど。合計したら2,200万行くのか…とか。


こういう面も内在しているので、ということも云えますよね。

この辺りはアツくなりすぎず冷静に考えてね。


いつもの最後のメッセージも次第に解るようになると思うので。
じっくり行きましょう。

 

 

 

という訳で最後はいつも同じメッセージ。


「精神的自由」やら「経済的自由」なんて心地よい言葉に浮かれると、
デンジャラスな人生を送ることになるかも知れません。


焦りは禁物ね。
大丈夫。不動産は逃げませんから。

 

たまには息抜きもいかが?たけし氏が大昔に書いていた本です。

今とは時代背景からして全く異なりますが、まだ純粋なお笑い芸人に近い頃のものです。

やっぱり彼は天才でした、というコトが解る一冊。

皮肉たっぷりの文体ですが、様々なものの見方を養うのに役立ちました。

もちろん中古でしか流通していません。