考察:壇ノ浦に沈んだ草薙の剣(儀礼レプリカ)


まず、「風土記」の記述や当時の宮殿(?)の跡が出土しているらしいことからすれば、古事記・日本書紀の景行天皇・日本武尊以降の歴史記述は(半ば伝説化して混淆・曖昧な面もあるとはいえ)大筋では史実に基づいていると思われることは何度も述べてきた(凍結炒飯ブログなど参照)

また摂関・幕府のシステムの発端・前例としては、聖徳太子・中大兄皇子の摂政政治や日本武尊の関東政権が遠因だと思われる。それが中世の「幕府」や現在の内閣制のような国民自治の政治文化に発展したのでないだろうか?

 

今回に追加で考察したいのは「壇ノ浦に沈んだ草薙の剣(儀礼レプリカ)」のことである。

平家物語などの史実では「壇ノ浦で安徳天皇と共に海に沈んだ三種の神器のうち、草薙の剣はついに見つからなかった」のだそうだが。熱田神宮で保管されている草薙の剣の本物を持っていくわけがなく、それは宮廷での祭祀儀礼用のレプリカ(模造品)である。

もう一つわかるのが、喪失時に「すぐに作り直す」のではなく、わざわざ懸命に捜索していることからして、それら「儀礼レプリカの神器」が「神宝」という扱いなのは明白。たとえオリジナル・本物の神器よりは劣るとはいえ、日本神道として宗教的に有効で(それ自体が)オリジナルに準じる価値があることになる。

だから、由緒ある(実際に歴代天皇に宮廷儀礼で使われてきたような)「レプリカ神器」を一・二セットほど、予備の神器として主要な神宮・大社・本社(やそれに準じる代表社)で保管・祭祀してはどうだろうか? もしも熱田神宮の草薙の剣を上方(京都大阪)に奉還・移送するなら、そのあとは「予備神器の保管担当」として適任候補かもしれない(熱田神宮などで祀られることで「説得力」は増す)。

つまりリスクや負担を分散しつつ、万一の場合の備えで保険になる。仮に熱田神宮の現状が(私が推測・非難したように)悪かろうが、過剰な責任を負わされ過ぎて(本人たちの愚かさだけのせいではなく)それによって賊につけいられた面もあながち否定できない。立場相応として、彼らへの責任のとらせ方としても適切に思われる。