涙は女の武器と言われるが、微笑みもまた武器となる。
昼間、栃木レッスンを終え、茨城へ移動するため駅ホームのベンチに座り電車を待っていた。
そこへ酔っ払ったおじさんがやって来て、腰を下ろすなり私に怒鳴りだした。
メールを打ってるのをゲームをしていると思ったらしい。
大声でイチャモンをつけてきた。
どっか行っちまえ!
そんなもん、うちでやれよ!
ガキじゃねーだろ!と。
まわりのお嬢さん達は怯えて逃げてしまったが、私は神経図太いおばちゃんなので逃げなかった(笑)
だいたい、こんな酔いかたをする人は普段は気の弱い人であることが多い。
何か悲しみや辛さを抱えているものだ。
私はおじさんに話しかけた。
これは遊びではなく仕事のメールですよと。
あなたもこんなとこで酔わず、おうちで呑んだらいかがと。
大事なことはきつく言わないこと。
優しく目を覗き込み、微笑みを絶やさず話しかけること。
俺は今日休みなんだ、どこで何しようと勝手だろ!
それじゃ、私がメール打つのも私の勝手ですね?←あくまで微笑みながら。
おじさんの声が小さくなった。
俺、あんたにむかついてたけど、あんたは俺にむかついたんだな…
これ、喧嘩両成敗か?
そうね。(喧嘩してないけど)
おじさんは酔いが少し冷めたのか、自分のことをポツリポツリ話し始めた。
伊藤蘭に似た奥さんがいたのに離婚されたこと。
職場ではいじめられてばかりいること。
俺をいじめないでくれよ…
やっぱりね。わかりやすい人だわ。
私はいじめないわ。微笑みながら話しかけた。
おじさんは財布を取り出し、ごめんな、何か飲み物買ってあげるよ。
何がいい?と聞いてきた。
いいの。さっき飲んだばかりだから。
気をつけて帰ってね。
おじさんは優しい顔になりうなづいていた。
怒鳴り声に怒鳴り声では何の解決にもつながらない。
優しくされて嫌な気持ちになる人はあまりいない。
優しい微笑み、優しい言葉を武器にしよう。
これは全て亡き母から教えられたことだ。
町の不良も母の前では大人しくなったものだ。
私はこれからも微笑み続けよう。
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