前回の話は
外国人の社長の経営する職場でのトンデモ話

 



毎日、違う方向に向かう
二足のワラジ状態のバイト掛け持ち生活にも慣れてきた頃。

正社員の事務のおねーさんが
別な仕事でどうしてもカラダのあかない時があった。

外国人の社長は1人で銀行に行けない。
でも、急ぎで街の中の銀行へ行かなくてはならないと言う。


そこで、白羽の矢が私に・・・
他には日本人が誰もいないから当然なんだけど。。。。


「ナオサン!ワタシとギンコーシゴトね!」と。
ご機嫌だな、この外人。


外人たちみんなお出かけ大好きだから・・・と
事務のおねーさんは言う。

ただ、銀行で言われた通りにして、
帰りにカレーをご馳走してもらって終了だから。と。

外国人とドライブ往復2時間、銀行行って1時間。
その日の仕事はそれで終了だ。


外国人とのドライブ・・・・
生まれて初めての外国人と2人きりのドライブだ。

車が大好きで解体屋をしたりなんだりしてるから、
車の運転は安定してた。

うん、とりあえず命の危険はなさそうだ。

ひとみしりがすぎる私は
2人きりで何話せばいいかと
少し緊張していたけど、


そんな心配はご無用だった。

シャチョーは子供の話、国の話をペラペラ延々と話す。

私が聞いてるかどうかはお構いなしで、
覚えた日本語を練習しまくるかのように
ペラペラベラベラとアウトプットし続ける。

そして時々、私の子供の話を聞きたがる。

たくさん子供がいるだけあって、
子供の話が尽きない、子煩悩な外国人だ。


田舎町から都会っぽくなり、
道路が複雑になってきても
何度も通っている道なのだろう。

運転に不安や迷いなくスムーズに走る。

そして、着いた!と思ったら、
まさかの路駐。ハザードを出して

降りるよう促され、

そうかそうか、ここからシャチョー駐車場に行くんだろう

そう思いきや、車から降りるシャチョー。

マジですか?一応ここは政令指定都市。
お巡りさんにキップ切られるんじゃ・・・

そんな私の心配もお構いなしで、

「ハヤクハヤク」と遊園地に来たようなはしゃぎっぷりのシャチョー。

でっかい銀行の窓口へ行く。
何やらおもむろに紙を取り出すシャチョー。

そこには事務のおねーさんが書いたと思われる
文字がたくさん。


これを窓口からもらった用紙に書いてくれと言う。

そうか!!!!!
これか!!!漢字が書けない、読めないのだ。

だからとりあえず、
日本語の読み書きできる私に白羽の矢が立ったのだ。


いつも流暢に日本語をペラペラ話すけど、
日本語には漢字もひらがなもカタカナもアルファベットもある。

ウルルー語は謎のミミズの字と数字くらいだもんね。

やっぱり日本語って世界を見ても
難易度高いのかもしれない。


そんなことを思いながら、
言われた通り書く私。

隣でジッと手元を見つめているシャチョー。

いや、それ、書きづらいから・・・

でもでも・・・
字の上手い下手なんて外国人にわかるんだろうか。

私たちがウルルー語を書いている
シャチョーの字を見て

上手いのか下手なのかなんて
全くわからないのと同じで

きっとこの日本語の字のうまさ
下手さなんてもんはわからないんだろう。


そんなことを思いながら、
そういや!路駐!!じゃん!って我に返り

慌ててテキトーに急いで、
しかし間違わないように正確に慎重に
一発で書き終えた私。

本番に強い女である。


「アリガトウ」そう言い
窓口へいそいそと向かう
外国人シャチョー。


その後ろ姿は、ちょっと丸くて
面白い芸人みたい。

無事手続きを終え、
路駐の車に戻る、私とシャチョー。


その間多分10分以内。

路駐の車は止めた時と同じ状態で
ちゃんとあった。。。。

セーフ。。じゃん。


次へ続く