おばんです。

 
宮城の筆文字はぎの屋つきこ亭 職人なおです。
 
 
台風が近づいているようですが、まだ雨の音や風の音は、室内までは響いてこない。
 
静か
無音
 
 
結構、この静寂が好き。
 
 
で、静寂な夜に、
 
やっと始めようと思う。
 
 
自分の「ことの葉」
 
ことの葉とは経験の断片。
 
葉がたくさん繁ったら、木になる。
 
私のことの葉も木になり花が咲く。
私だけじゃない。
 
誰でも
生きてる限り、葉がたくさん出て
木になり花が咲き、そして実る。
 
 
その
ことの葉をまずはひとつ。
 
 
 
小さな時の記憶。
幼稚園の頃。
 
並ぶ順番は、小さい順。
 
チビだからいつも一番前。
 
今思えば、背の順に並ぶっておかしいよなぁ。チビは自分よりチビがいなきゃ万年一番前だよ。万年ヒラ社員と一緒。
 
クラス替えがなけりゃ、ずっと一番前。
 
 
で、幼稚園。
はじめての集団生活。
自宅から一番近い幼稚園は、キリスト系?クリスチャン系?の洒落た幼稚園だった。
 
まぁほとんど記憶ないんだけど。
 
唯一の記憶。
背の順。
男の子と女の子に分けての背の順。
 
その一番チビ同士が手を繋ぐ。
幼稚園だからね。
手を繋いで散歩とか遠足とか行くわけ。
 
 
そのチビの男の子が(自分もチビだけどさ)
手を繋ぐたびに、繋いだ私の手を何の前触れもなく噛み付く。
 
噛み付いた後「すごいね、泣かないんだ。エライね。」と。
 
 
当時の私。痛い記憶はある。
でも、泣かないのは
きっとその男の子の褒める言葉が聞きたかった。
そんな微かな記憶。
 
 
やだ、ただのSM。
 
今の時代なら
娘が手に歯型付けて帰ってきたら親は幼稚園に、すぐさま電話するでしょう。
 
うん。私ならとりあえずどういう経緯で、うちの娘に歯型が毎日付いているのか確認の為先生とお話するわ。
 
当時、どうしたのかはわからん。
でも母親は小さい弟の世話で忙しかっただろうから気づいてなかったと思う。
 
 
痛みと引き換えに欲しかったのは、褒めて欲しい。認めて欲しい。
 
きっとその欲求。
 
そして、「痛いからやめて」それが言えなかったのは、人に嫌われるのがいやだったから。
 
 
こうしてみると、
DV被害に遭ってる人と同じ。
 
 
やだ、腹たってきたよわ。
何?あの男の子。名前も覚えてないけど。
 
 
当時のチビなお。
褒めてほしかった、認めてほしかった。
嫌われたくなくて、波風が立つのを恐れた。
 
これは、私の根底にあるものかもしれない。
学生時代、このチビなお の呪い(?)が解けなかった。
 
波風立てず。息を潜めて。ジッとしてる子供だった。
 
 
小児ぜんそくで、幼稚園や小学校は結構お休みした。
お休みした日は昼間、ウトウトしながらたくさん夢を見た。(夜に発作が起こることがほとんど。だから昼間ウトウトして寝る)
 
夢の中では必ず着物の女の子と、まりつきをしてる。
何度も同じ夢。お侍さんも出る。
 
 
あれは、一体なんだった?
怪奇現象?
 
 
夜になると、ぜんそくの発作。
「死んじゃうよー、たすけてよー」
って毎回さけんだ。
泣きながら叫んだ。
 
家族は睡眠妨害されて、さぞかし大変だったろうな。
 
本当、生かされてきた。
家族がいて、生かされてきたんだ。
 
 
褒められること。
何もなかったんだ。
 
ぜんそくだし、チビだし。走ると発作おこるから。運動しなかったし。
絵が上手いわけでもなかった。
 
そんな私が、母親が勧めたのか?近所のお姉さんがやってたからか?
書道教室に通うことになった。小学2年。
 
それから、引っ越すまでの間
近所の八百屋(通称ニャンコ屋)で書道を習った。
 
ニャンコ屋では、生臭いような匂いと墨の匂いが混ざった香りの記憶。(猫がいっぱいいたせいで生臭い?なのかな?)
それと、褒められて嬉しい記憶。
なんでなのか、パーティ?の記憶。おやついっぱいで。
 
楽しかったんだと思う。
ニャンコ屋での書道。
 
 
だから、きっと今に繋がってる。
筆と墨で書くのが好き。
墨の香りが好き。
ありがと、ニャンコ屋。