耳元で話される瞬間
2人きりになった瞬間
頬がヒリヒリして
「ああ、私期待してる」って
再確認をするんだ
何度顔を見ても
何度声を聞いても
その都度「好き」って思うの
どうしようもなく
(きっと、あの子も同じ事思ってる)
嫉妬で、劣等感で、上手く酔えなかった
自覚してた
独占したかった
優越感を感じてたかった
「いつもと違うじゃん」て、
でも結局は、
いつも通りの夢見心地へ
しかし
嫉妬嫉妬嫉妬嫉妬
楽しそうで何よりって思いながら
普段の自分もあんな感じなんだろうかとか
それを見て君はどう感じるんだろうかとか
それらはあくまでも遊びなんだろうとか、
そうでもないのかなとか、
頭ぐちゃぐちゃで、
程よい嫉妬感は興奮に繋がるなんて、
そんなのはあくまでも優位に立ってる人間が思える事
でも、やっぱり好きだった
どうにか独り占めしたかった
指一本でも触れたかったの
酔いに身を任せて、1人、お店に戻った
欲求と羞恥心と理性がドロドロに混ざりながら
どうにか伝わらないように、
目を合わせずに口も塞いだ
(好きなのに)
「どうしたの?」
どうもしてない
「なんで戻って来たの?」
なんでだろう
「胸が当たってる」
近いからでしょ
「むらむらするだけじゃん」
嘘だよ
「本当に酔ってる?」
凄く酔ってる
「酔ったフリして、実際そうでもないでしょ」
いや、ちょっと、分からない
「明日になったら覚えてない?」
覚えてたいよ
「彼と上手くいってないの?」
そんな事ない!
「もういいよ、酔ってるの分かったから」
腕を、掴んで、
そのあとどうしたらいいのか分からなくて
「どうしたの?」
胸に頭を置いてみた
「どうしたの?」
世界一優しい声が耳をくすぐった
またドロドロな感情が溢れて、
視線を外して左手で口を覆う
「もう帰るよ」
いやだ、もう少しだけ、ここにいたい
「なんで?」
酔いに身を任せて、後ろから抱き締めた
「俺は、XXやYYちゃんじゃないから」
知ってる
知ってるよ
向かい合わせになった途端に
またドロドロな感情で目眩がして
震えて
息が苦しくて
沈黙
「どうしたの?」
わからないの?言わせたいの?
わからないフリ?
貴方だったら絶対に分かってるクセに!
何も、出来なくて、
悔しくて、
最後に、
後ろから指を絡めて手を繋いだ
好きなんだって強く強く思いながら
「どうしたの?」
ありがとう、またね
大人だから、理性をなくしちゃいけなくて
それでも願望や欲求は強くあって
でももう昔みたいに
気軽には分かりあっちゃいけなくて
大人だから
熱と湿気を含んだ、
優しい優しいあの声を、
また聞けただけで私は幸せなんだ
あの声を聞くだけで、欲情してしまうくらい
もう簡単には口付けられないくらい、
私は君を真剣に好きなんだけど