追憶の兎 | 舐めれば治るから放っといて
前にも
何度か
出逢っていたんだね





午前4時頃
エメラルドグリーンのベルベットのような
そこはかとない闇を隠しきれずにいる
柔らかな貴方

穏やかに笑ってたかと思えば
人知れず
悲しみに身体を預けて
傷だらけになって

小さな声で絶対零度の本音を
こぼしかけたかと思えば
次の瞬間には
真っさらで、純粋無垢な愛情を振り撒き
あたりを照らしはじめる


貴方の核心に辿り着くには
無数に重なるオブラートを
潜り抜けなきゃいけないのに

それに触れようと思い付いた瞬間
貴方は風に乗って何処かへ行ってしまう

核心や本音や真意など
そもそも無かったかのように


愛情深くて、柔らかくて、かろやかで
それでいて
自立しているかのような空気が
沢山の人を惹きつける
その中心で貴方はいつも笑ってるのに


一対一になると
どうしてこうも
何かが少し、不確かで
曖昧かのような表情ばかり浮かべるのか

まるで
自分に好意を向けられてる事が
一昨日見た夢かのように

服を脱いだ瞬間
貴方の視線思考は
目の前ではなく
自分自身に向いてしまう


そんな事なら
一旦、私の好意全て吸い取って
鎧みたいに身に付ければ良いのに
私のだけじゃない
そこらじゅうの、
貴方に向けられた好意全てを
全力で摘み取って
全部を自信に変えちゃえば良いのに

そうすれば
別に
誰かをわざわざ信用しようとしなくても
生きて行けるんだから




貴方だって結局は
昨夜卑下したあの子と同じように
本当は、確固たる愛情が欲しいクセに

それを最後まで全うする責任や覚悟、
心変わりしない自信が足りてないから
人との情や絆を築く事を面倒くさがって
薄っぺらい関係に甘んじてる

求められ、頼られ、
必要とされるような状況を
無意識の内に、
簡単に得ようとしてるんじゃないか

体の繋がりを心の繋がりと錯覚して
弱い者同士くっついて
また、それに事欠かない事実を
自分の魅力と履き違えてる

目の前の誰かを愛するのではなく
自分自身に愛情を注いでるんじゃないのか


ねぇ、本当は
そんなのが欲しいんじゃないよね







例え貴方が、貴方自身が不確かでも
私の貴方への愛情はどんな形だろうと
揺らがないのに

それだけの自信が私にはある

それを口に出さずとも
視線だけで確信して欲しい




(確信して欲しいだけ)






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