先日、メールで「竹山市長は、市長選挙の後すぐに職員給料を上げたのは本当ですか?」というご質問を頂きました。
事実だけを単純に申し上げれば「本当」です。
最新の改定で、月例給で562円(0.14%)、ボーナスで0.1月分のアップです。
ただ、これを「市長選挙の後すぐに」などと、選挙を絡めて批判するのならば、それはまったくの「筋違い」「的外れ」だと言わざるを得ません。
理由は、その給与アップが、
「①人事委員会の勧告によるもの」であり、その人事委員会勧告は、選挙の有無に関わらず「②毎年実施されているもの」であり、よほどの事情がない限り「③ほとんどすべての自治体がそのとおりにするもの」だからです。
①まず、人事委員会の勧告について説明します。
公務員は、労働基本権が制約されています。簡単に言えば、ストライキをすることができないのです。また、警察官などは、労働組合を組織したり、自らの処遇について団体で交渉することもできません。
そうなると、給料が上がらないとか、為政者の思惑でどんどん下げられるといった恐れも出てきます。
そこで「中立の第三者機関」として、国には人事院、都道府県・政令市には人事委員会が組織され、公務員の給与やボーナスのアップダウンについて、域内の民間企業の水準を参考にして勧告がなされているのです。
民間企業の給与水準が上がれば「引き上げ」、下げれば「引き下げ」の勧告がなされます。
こうして、人事院・人事委員会の勧告によって、公務員と民間企業との較差が是正されています。
今回の堺市職員の給与アップも、第三者機関である人事委員会の勧告に従ったものなのです。
②つづいて、勧告の時期です。
10月にアップの勧告がなされたので、「9月末の市長選の直後で、職員労働組合が市長を応援し、そのご褒美に給与を上げた」とでも言いたげな批判がありますが、、、
選挙の有無に関わらず、毎年この時期に勧告しているのです。選挙があったから勧告したわけではありません。
また、先述したように、第三者機関による、客観的なデータを基にした勧告ですから、そもそもそこに市長の恣意的な判断は入りません。
③「勧告に従わなければならないのか」という意見もあります。
たしかに法的拘束力はなく、「ならない」というわけではありません。
しかし、それはよほどの事情がない限り「勧告どおりにするべきもの」なのです。
繰り返しますが、この人事委員会勧告は「労働基本権の制約」の代替措置であり、公務員の身分の根幹に関わるものだからです。(これに従わないなら、少なくとも労働基本権の付与を考えねばならないでしょう)
堺市では政令市になって以降(人事委員会ができて以降)、すべての勧告どおりに上げ下げしてきました。
ほとんどの自治体がそうであり、H29年度は大阪府も、大阪市も、勧告どおりに引き上げています(大阪市はボーナスのみ引き上げ。月例給に関しては、現状維持の勧告)。
従わない場合の「よほどの事情」とは、その自治体が財政破たん状態にあるとか、あるいは個別の人事委員会を持たない一般市町村において、人事院の(国全体の水準を参考にした)勧告が、地域の状況とあまりにかけ離れている場合などが考えられます。
もちろん、あれこれと理由をつけて「従わない」という判断を、竹山市長が下すことも(法的には)可能ではありました。
しかし、よほどの事情もないのに「従わずに引き上げない」ということを認めてしまえば、逆に「引き下げ勧告を無視」したり、「勧告以上に大幅に引き上げる」ことだって認めてしまうことになりかねません。
私は、為政者による恣意的な政治判断で、公務員の身分が不安定にならないためにも、この人事委員会勧告には、「淡々と従う」のが正しいと思っております。それが人事院・人事委員会制度の主旨なのです。
「毎年行われ」「ほとんどの自治体がそのとおりにする」「人事委員会勧告」による給与改定を、堺市長選挙に絡めて批判するというのは、まったくの筋違い、的外れ。
お分かり頂けましたでしょうか?
念のため、補足しておきます。
この人事委員会勧告によって、私たち議員や市長などの特別職の期末手当も、0.1月分増えています。
「一般職はさておき、特別職は従う必要ない」という意見もあります。
これについても、私は「淡々と従う」のがいいと思っています。もちろん、「引き下げ勧告」にもです。それは先述の③の中で申した通りです。域内の民間企業をベースにした、第三者の勧告に淡々と従い、恣意的な判断を排除すべきと考えます。これを政争の具にしても生産的ではありません。
議員は生産的な仕事に没頭する、そして市民は報酬に見合った生産的な議員を選ぶ。
これでいいのだと思っています。
ふちがみ猛志
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