
続きです。
ラストスパートです。
長々と付き合っていただいてカムサヘヨ~

では・・・
「先生、大変です、おしの・・あっ・・じゃなくって シウォル家の息子が事故をおこしました。
耕運機と一緒に転がって血が凄く出てる」
患者の状態は思ったより深刻だった。
街頭もない暗い田んぼ道で 酒を飲んで運転中にミスをして 田んぼで転がって
ハンドル部分にお腹を強打して裂けて血が大量に流れていた。
このままでは大きい病院に移送してる間に死んでしまうかもしれない。
破裂した血管を縫合しなくてはならなかった。
こんなに大量の血を初めて見たハニは顔も真っ青になるほど怖気づいていた。
「うぁ~~!」すでに意識を失くしてる息子の前で口のきけない母のうめき声のような悲鳴が
千や万の言葉よりも切々と息子の命乞いに聞こえた。
「先生!息子を助けてください。母親の世話をするんだって この人里離れた島で暮らしてる事だけでも不憫なのに・・・」
声にならない痛々しい絶叫が、子供の死を前に震えて泣く母親が胸に痛く刺さった。
手術を決めて発生するすべてのことが切迫していた。
おびただしい出血でショックが起こる前に早く止血しないと、
とりあえず気道を確保して切断された血管を見つけて一つ一つ止血鉗子でつまんで止血していった。
しかし まだ見つからない血管があって出血が止まらない
傷口の部分を全部血液がおおってて血管を見つけることが出来ない。
不安がくねくねと黒い蛇のように全身に巻き上がってきた。
スンジョ「生理食塩水!」
何の返事も聞こえなかった
スンジョ「生理食塩水!ハニ?オ・ハニ、頼む
俺を助けてくれ!」
もどかしい気持ちでハニを呼んだら、ガタガタ震えながら隅にいたけど
生理食塩水を持って近づいてきて 最後まで生理食塩水を患部に流してみせた。
とりあえずハニをなだめて自信を持たせておけば良かったと思った。
スンジョ「俺が命じる通りちゃんとしろ、
そうすれば問題ないから、俺を信じろ!
とりあえず 生理食塩水で傷口を洗い続けてくれ
血がどこから出てるか見つけないといけないから。」
俺の声にハニは自信を取り戻し 次から動揺せずに良くやった。
総合病院にいたときに手術室で助けた経験が頭の中に浮かんで しつこく血管を探させた。
やっと 無事に手術が 終わった。
救助ヘリで患者を送り届けて、患者の容態が安定したのを聞いて やっと全身の力がぬけた。
俺も知らないうちにすうっと廊下に座り込んでしまった。
いや、とても自信があるふりをしてたけど 本当は・・・本当は怖かった。
不安で震える手を静めて 血管を慎重に縫うことも大変だった。
緊張して力が入る肩をなだめるのも大変だった。
そのうえ俺の手ぶり一つ、判断一つに誰かの命がかかってる事実が
何よりも重荷で胸を締め付けた。
しかし 俺が震えてる姿を見せたら
この患者を生かすことが出来ないから
あらゆる心の動揺を隠すしかなかった。
だけどそれをこらえて誰かの命が俺の手で助かって
実はジーンとして満ち足りた気分だった。
言葉で説明できないほど・・・
この瞬間のために 何年間 この難しい勉強をしてきたんだ。
「大変だったね?だけど医者になって本当に良かったね。」
静かにハニが肩に寄りかかってきた。
体温で胸が暖かくなるのを感じて そっと心の中でささやいた。
「ハニ、お前のおかげだよ、お前のおかげで探すことになった、
俺の夢が嬉しくて、お前のおかげで こうしてこの瞬間がすごく嬉しい。
お前みずから作ってきた姿だけじゃなくて、
ハニ、
お前が作ってきた俺の姿も好きだ、
お前と一緒にいる時が安らかで 俺は好きだ」
天才でも分からない未来が不安でさまよっていた俺に、やるべき事を教えてくれたお前
よく分からなかった目標のためにあれほどもどかしがって涙を浮かべて
お前のおかげで俺は医者になれたんだ。
愛することを決して隠さない人、
そんな人が俺の妻だから・・・
この世界で二度と会うことの出来ない温かい人だから・・・
とても 好きだ。
FIN・・
