昨日は朝から快晴。いかにも秋の空。気温も暑からず寒からず、絶好の行楽日和。以前から余市町にリンゴを買いに行こうという話になっていたので、出かけることにした。

 余市町は私の住む小樽市の隣町。その小樽市は札幌市の隣町。札幌市は地方の中核都市で東北でいえば仙台、広島でいえば広島、九州でいえば福岡といった町。人口は195万人。札幌市が200万人近くの都市であることを知らない人は意外に多いかもしれない。というのも、10年くらい前に名古屋の人に、「札幌の人口は50万人くらい?」と聞かれてビックリしたことがあるから。からかわれたんかなあ。

 その札幌市の隣町の小樽市は、港町としての性格を持つ。東京に対しての横浜、大阪に対しての神戸。小樽市は斜陽の町で、かつては北海道一の人口を誇ったこともあるけれど(日銀の支店があったくらい)、今では10万人程度の小さな都市。

 小樽市にゆかりのある有名人といえば、石原慎太郎・裕次郎、加藤浩次、木の内みどり、香山リカ、伊藤整、小林多喜二、そんなところかな。ちなみに、私は小樽市とは縁もゆかりもなく、隣町の札幌市での生活が一番長く、ふるさとは函館市か帯広市といったところ。

 最近私が小樽市でひそかに気に入っているところが、小樽市役所の本庁舎。昭和8年の建築で、その建物を現在も使用中というのは全国でも珍しい。国会議事堂が昭和11年というからそれよりも古い。中に入っても、窓や壁、階段のデザインなど、威風堂々としたものになっている。大理石、花崗岩、ステンドグラスなどが使われている。

 そんな小樽から、リンゴを買いに隣町の余市町に行ったのだけれど、余市町は漁港と果物の町。福島県や山梨県を連想するけれど、一つの小さな町。あそうそう、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」の舞台となったのが余市町で、ニッカウヰスキーの工場がある。今でも、敷地に入って昔の建物(工場や倉庫)を見学できる。

 今回は、余市町を一旦素通りして、その隣町の仁木町という、これまた果物の町に向かった。目的地は「キノコ王国」という道の駅的なところ。ここの売りは何といっても、「キノコ汁」(110円)。今回は、ちゃんとボリボリだったか落葉だったかの、近くで採れたキノコが入っていておいしかった。

 そこには直売所も併設されているので、キズものの大きなリンゴ4個を300円で購入。味は間違いなさそう。そこを出たあと向かったのは、来るときに看板を見かけた「味覚の祭典"よいち大好きフェスティバル"」の会場。

 田舎にしては信じられないくらいの大変な人出。にぎやかだった。よく分からないけれど、車が500台くらい駐車していたのではないだろうか。会場がこれまた、ピッタリというか、意外というか、"農道離着陸場"(農道空港)というところ。

 これが摩訶不思議なところで、全国に8か所あるらしい。1989年から1998年まで、北海道に4か所、岡山県、大分県、岐阜県、福島県に建設された。目的は農産物の空輸だったが、空輸の輸送費に見合う農産物などないことから、どこの空港も本来の使用はほとんどされていないようだ。おそらく、とっくの昔に会計検査院に無駄として指摘されているのではないだろうか。

 そんな国のお遊びで作ったような施設だけれども、当時は金が余っていて使い道がなかったのだろうねえ。予算を獲得・消化しなければならないという必要に迫られて、無理やり考え出した苦肉の策だったのだろう。まあ、それでも、「増税して軍備を増強する」なんてことよりははるかにまともだけどね。

 そんな面倒な話は置いておいて、農水省か、国交省のお陰を持ちまして、これ以上ない秋晴れの日、個人的には大変楽しいお祭りの会場として、ベストな使い方をさせていただきました。税金を個人的に使わせてもらうのは実に楽しいもので、なるほど議員の先生たちが目の色を変えて不正をするのも、全く分からないわけでもない、かな。

 会場では、太鼓や、凧揚げや、大道芸などをしていて、出店もたくさん。私が食べたのは、フランクフルトと、焼きそばと、石狩鍋(ヤン衆鍋)。ごちそうさま。この石狩鍋は具だくさんで、材料の質も高く、食べる価値があった。買ったものは「あかね」というリンゴ5個300円。これは中位の大きさで、キズものでもなかったから安い。

 帰ってきて早速この「あかね」を食べてみたのだけれど、これがまあ、しびれるほどおいしい。「すっぱ〜い、シビレるう〜」という感じ。私はすっぱいものがとっても好きで、コーヒーは酸味がないとおいしいと思えないし、果物は甘味よりも酸味が大切と思っている。よって、酸味の少ないメロンなどは食べたいと思わない。でも、すっぱいトマトは好きかというとそれほど好きでもない。また、酢の物はたいして好きではない。まあ、そのあたりはけっこうデタラメかな。

 とにかく買ってきた「あかね」は食べたあとしばらくしても、そのすっぱさが舌に残っていて、私としては上機嫌。

 「また来年も来るね」と思いつつお祭り会場を後にして、お遊びついでに「おたるワインギャラリー」に寄って、ソフトクリームを舐めてきた。そこで作られている「北海道ワインの醸造法は、醸造過程において加熱を行わないので、特に葡萄そのままの味や香りが反映されていることが特徴」だそう。私はワインは嫌いなので(他の酒と違って飲むと悪感がする)飲んだことがないけど。ソフトクリームは、"ナイヤガラ"という品種のブドウの味がするソフトクリームで、ややシャーベット的だけれけど、ブドウ感はたっぷりだった。

 ということで、今回は半日ほどの小旅行のご紹介でした。基本引き籠もりの生活をしているので、けっこうな疲れ。