○昨日、やっと「007」を見てきた。「ノー・タイム・トゥ・ダイ( No Time To Die) 」という題がついている。No Time To Dieというのは分かったような分からないような英語だが、映画では「死ぬのは早すぎる」と訳していたような気がする(うろ覚え)。なるほど「死ぬための時間じゃない」というのはそういうことかと思った。

○この「007」、待たされるにいいだけ待たされた。最初の公開予定は昨年4月8日だったように記憶している。私は楽しみにして指折り数えて待っていたところ、直前になって11月に延期となり、随分がっかりしたものだ。気を取り直して、よし11月に見に行こうと待っていたら、また4月に延期するという。何とアホらしい。しかもその4月も延期になってしまい、やっとこの10月1日から公開となった。

○さすがに繰り返される「オオカミが来た」に付き合いきれず、どうせまた嘘だろうと思って不貞腐れていたのだが、今度は本当だった。なんと、4度目の正直である。

○私は、「007」をダニエル・クレイグという役者が演じるようになってから好きになった。それまではあまり関心がなかったのだが、好きになった理由はダニエル・クレイグの渋さにある。浮ついていないというか、ニヤケていないというか、地味というか、表面だけの2枚目ではないというか。こんな感じの男を私はすんなり許容することができる。

○脚本もダニエル・クレイグに合わせたのかどうか、渋くなった。「007」だから荒唐無稽ではあるのだけれども、チャラさが随分少なくなった。私の幼稚さにはピッタリフィットしてくれる嬉しい映画である。そのダニエル・クレイグの「007」も今回でおしまい。う〜ん、残念。是非、似たような役者で「007」を継続してほしい。大人の男の童話なのだから。

○ヒロインは前回同様、レア・セドゥーである。前作から何年経過して撮影に入ったのか知らないが、すっかりおばさんぽくなった。前回は若い女の盛りとでもいう時期だったように思う。女が一番魅力的な年頃のときは、どんな女にでも透明感が出てくるように思うがそれがあった。前作のイブニングドレス姿で登場したシーンを見たときには本当に息を飲んでしまった。あまりにも魅力的だったので。

○今回はおばさんぽくなったから映画が面白くないということではない。レア・セドゥーの役どころは年齢相応に1児の母であり、最後は家族愛の話になる。まさか「007」で家族愛が登場するとは予期しておらず、いつものようにジェームズ・ボンドが、奇麗どころの姉ちゃんとねんごろの関係になるものとばかり思っていた私にとっては期待外れだった。

○すっかり当てが外れたが、元来私は涙もろい。その昔、「暴れん坊将軍」を見ると必ず涙が出てくるというくらいの安っぽい人間である。ゆえに、なんと「007」の家族愛を見て涙がぽろぽろ出てしまった。想定外だった。「007」でウルウルと涙が出てくるとは何か変だと思いつつ見た。不快だったということではないけれども。

○ところで今回の「007」には、妙な伏線がある。1回見ただけではよく理解できずに未消化なのだが、とある研究所で新開発された殺戮兵器が登場する。例によって、サイコパスを絵に描いたような人格の敵ボスが、それを人類に使おうとするのだが、その内容はちまたにあるような陰謀論そのものである。人類をその殺戮兵器によってコントロールし、淘汰しようというのだ。

○その新技術による殺戮兵器は、DNAを見分けて選択的に感染するウイルスのようなもので、特定の個人を識別してその者だけを殺害することが可能である。また、設定を変えれば、それに加えて親族を感染対象にすることもできる。あるいはまた、一つの民族を丸ごとというように殺害の範囲を広げることができる。一旦その毒物に感染すると、どんなことをしても一生取り除くことができず、対象のDNAを持っている人に感染するとその相手はすぐに死んでしまう。そういえば接触感染のようだった。

○公開の延期にいらだっていた私としては、この伏線を公開の延期に絡めて考えたい気がする。つまり、この伏線を盛り込もうとして公開を遅らせたのではないか、あるいは、この伏線が余りに新型コロナ用ワクチンに対するアンチテーゼとなっていたので、当局からの許しが出ず、穏やかなものに作り替えたのではないか、そんな疑いを持つ。アメリカの映画はプロパガンダであることが往々にしてあるからだ。

○印象的だったのは、その毒物は一旦体内に入るとどんなことをしても取り除けないという設定である。映画を見ているとその絶望感が伝わってくる。ははあ、映画の作り手は、つまり「007」は反ワクチン派だなというのが、私が映画を見ての印象である。新型コロナ用ワクチンに解毒剤はない。

 

○そんな「反ワクチン派007」が公開されたということは、敵もそろそろ新型コロナ騒動を収束させようと取り掛かったのかもしれない。何だかマスコミも、少しずつ小出しに事実を報道しようという姿勢を見せつつあるような気がしないでもない。今さらどの面下げてというのが私の気持ちであり、東京裁判にかけた方がいいのはないかと思う。安倍元総理によると、コロナの拡大は第三次世界大戦なのだそうだから。

 

○余談になるが、今回の映画で畳スペースのある部屋が出てくる。その畳の上で「007」が正座をしたあと土下座をし、サイコパスのような敵ボスに許しを乞う。変なところで、変な日本文化が出てくるものだと違和感があり、日本人の私から見ると少し滑稽だった。考えてみれば私はこれまで土下座をしたことがない。1度だけプライベートで土下座をされて迷惑だったことがある。

○ダニエル・クレイグの「007」は全部で5作品である。
 ①007 Casino Royale(007 カジノ・ロワイヤル)2006年
 ②007 Quantum of Solace(007 慰めの報酬)2008年
 ③Skyfall(007 スカイフォール)2012年
 ④Spectre(007 スペクター)2015年
 ⑤No time to Die(007 ノー・タイム・トゥ・ダイ)2021年

このうち私のお勧めは、④Spectre(007 スペクター)かな。何も考えずに純粋に楽しめるという意味で。
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