私立探偵ストライク(C.B. STRIKE)はイギリスBBC製作(2017年)のテレビドラマである。BBCといえば受信料の強制徴収や反日報道垂れ流しという面でNHKと共通点のある放送局である。受信料金はNHKよりも少し安いが、BBCの場合は支払わなかった場合に罰金を取るという点がNHKとの大きな違いである。NHKは日本にも罰金を導入することを夢見ているに違いない。

最初から話がそれてしまったが、そのBBC製作のテレビドラマ「私立探偵ストライク」がとってもいい。今アマゾンプライムビデオで見ることができる。1時間弱のドラマが7本あって(3話)、今最初の3本(1話)を見た段階でこれを書いている。

まず、映像が美しい。撮影の仕方がうまいということもあるが、画質が高い。くっきりクリアで、ボケもきちんと出ている。また、色合いも実に鮮やかである。日本のテレビ番組ではこれだけ美しい映像を見ることができない。高性能のカメラのせいなのか、設定が上手なのか分からないが、同様に受信料を取っているのにNHKの映像の汚さはどうなっているのかと不思議に思う。

なお私のテレビは、時代遅れの2Kで、取り立てて高性能ということではない。ひょっとすると日本の場合、4K以上のテレビを買わせようとして、業界ぐるみで2K放送の質をわざと落としているのかもしれない。ありそうな話だが、いやな話である。

次に音もいい。クリアで低音がしっかり出ている。NHKを含めた日本のテレビ局の音は全般に何ともチープである。音楽的センスではなく、音そのものだから、金さえかければいい音を出せるのではないかと思うが、BBCよりも高い受信料を徴収しているNHKも全然ダメである。ひょっとすると機器ではなくノウハウの問題かもしれない。あるいはこれについても、2K放送ではわざと音質を落としているのかもしれない。

そんなわけで、このドラマは映像と音の魅力でストーリーに入る前にまず引きつけられる。今NHKでやっている大河ドラマの「いだてん」などは30秒で嫌気が差してしまう私が、見ようという気にさせられる。

主人公のストライクは役柄上身体障害者である。戦争で左足を膝下から失い、義足になっている。その義足を外すシーンがあり、左足が生のまま映し出される。ちょっとびっくりするのだが、これはCG(コンピュータ・グラフィックス)処理をしており、この役者さんの足は実際には健常であるという。ただし、口唇口蓋裂の手術痕がある役者さんで、これは映像でも度々確認できる。

ちょっと型破りの主人公であるが、それに加えて、全体的にむさ苦しく、なんだか体臭でも臭ってきそうな不潔感がある。また、タバコを吸いながら街をブラブラ歩き、吸い殻をポイと捨てて靴でギュウと揉み消すなどもする。そうそう、寝る前に義足を外した後で小便がしたくなり、付け直すのが面倒だからと近くの紙コップに用を足してそこに置いておくなんてこともする。

しかしながら当然のことではあるが、卑しく鈍感な役柄ではない。常識的な感受性があり、優しさもある。無口で、悩みを抱えて耐えていたりもする。能力は高く、なんとなく頼りがいもありそうだ。個人的に私としては、男なんてものは肝心要のところを押さえていれば、このくらいむさ苦しく汚いほうが男らしくていいと感じる。

相手役の女性ロビンは素晴らしく魅力的である。むさ苦しく体臭が臭ってきそうな主人公と正反対の性格である。清潔で、おしゃれで、仕事もきちんとする。どうも女性はだめな男と一緒にいると見栄えがするようで、このドラマでもむさ苦しい主人公のせいでこれ以上ないくらい引き立てられている。

さらに、このロビンの性格が「日本女性?」というくらい、控えめで奥ゆかしい。しかもきめ細かく、優しい心遣いをする。ついつい見とれてしまった。白人女性というと、大人っぽく、気が強く、自立した女性を連想するが、この相手役は子供っぽく可愛いキャラクターである。最初のうちは、美人のような美人でないようなと思って見ていたが、性格を知るにつれて大変な美人に見えてきた。イギリスの女性はこういうのもありなのだろう。

グリーンのイブニングドレスを纏うシーンがあり、その美しさには思わず息を呑んだ。どうも私はイブニングドレスに弱いようで、「007スペクター」のレア・セドゥのイブニングドレス姿にも息を呑んだ。ただし、今回ちょっと思いついたことがある。それはCG(コンピュータ・グラフィックス)である。男性の主人公の足が失われているのをCG処理しているくらいだから、女性のイブニングドレス姿もCG処理していておかしくない。あの素晴らしいスタイルはCG処理の結果かもしれない。

それはともかく、このむさ苦しい主人公と、相手役の控えめな美人ちゃんのコンビを見ていると、それぞれが男らしく、そして女らしく、これぞあるべき姿のように思える。男は男らしく、女は女らしく、それが人間の基本である。いわゆるジャーニーズ系の、男の相手をさせるために作られたのではないかという若い子などは、余り気持ちのいいものではない。

お互いに中性化すると、職場などでは無用のトラブルが減る部分もあって、今の日本ではそれが求められている面もあるのではないかと思われる。なんだか男らしい男も、女らしい女もだんだん見かけなくなっているような気がする。

 

しかし、それでは人間が死んでしまうというか、生きないというか、本来の活性が出ない。精一杯男は男らしく、女は女らしくしながら、それでいて調和が取れているような社会を目指すべきだと思うのだが、さてそのような方向に進んでいけるだろうか。