不安のメカニズム



不安恐怖は、本来は自己保存本能から来る危険信号として備わっている



有益な反応です。しかし、これが過度になったり頻繁に起こるようになると問題



となります。恐怖が、はっきりとした対象についての反応であるのに比べ、



は、漠然とした未分化な恐れの感情である、と区別する人もいます。いずれ



にせよ、そのような感情面での反応には、緊張や心拍数の増加といった自律



神経系の興を主とした生理的な反応が伴います。このような反応が適当で



ある場面は限られていて、多くは不必要な反応です。理屈として頭では分か



っていても、身体が反応したり、漠然とした不安が頭をよぎり、打ち消そうと



意識的な努力をすればするほど、その不安が大きく、強くなっていくことが多



いようです。



表現者の方々が経験されている不安のメカニズムを順に説明すると、人気



がある状態→売れなくなる不安→実際そうなった方を見知っている→あの



ようにはなりたくないなぁ→何でもいいから仕事を入れる→その仕事がマ



イナスへ、といった流れで不安が起こる ことで将来を不安に思い、さらに



は自身の才能に対する不安へとつながる 傾向が見受けられます。心理



臨床の現場で言われる、予期不安です。




うまくいっている人の共通点



一般に、表現者と言われる方々の特徴として、自己愛が強い傾向が見られる



ようです。そしてそれこそが表現者たる所以であり、エネルギーとなっていま



す。ただしこれがあまりにも強すぎると時に生活破綻や性格破綻をきたしてし



まうことがるのは残念なことです。



うまくいっている(いっていた)人の作品とその時の背景を見てみると、生活と



表現の間の緊張関係の中で地に足をつけて踏ん張り、地道な活動を続けて



いた事がわかります。それは作家でいえば夏目漱石や、森鴎外であり、一



般の印象とは違ってある時期の太宰治もそういえるのかもしれません。と


いうのも、自らが経験している生活不安をみすえ、自己放棄しない確かさ



をもってしっかりとした表現に昇華しているからです。



現代の表現者でいうと、作家の川上未映子さんが地に足のついたある種



の確かさをもって創作活動をされているおひとりのようです。(それは



2010年2月14日朝日新聞に掲載されたインタビューを拝見することでその



一端が垣間見えます。)記者の質問に対して自身の創作活動を、世界に1



つ感動するものを増やしたいという思いが語られていて、ただ人に認めら



れたいという思いからではないこと。さらに、自意識から離れて世界の方



へ出て行かないと人に響く作品は作れないとも語っています。表現という



作られた世界を自意識だけのものにしないでその世界と、現実世界とが



拮抗し合いながらどこかで結びあうといった接点をもたせるためにこそ、



川上さんはまずは自意識から離れるという言い方されているのかもしれ



ません。インタビュー記事を拝見させて頂いて、表現者としての自分と生



活者としての自分、どちらも肩肘張らずにバランスが取れているんだろう



なぁと感じられます。と同時に、今後も作品ごとに違う側面を見せてくれ



ることでしょう。




不安は誰しもが感じるもの




不安を感じることは日常生活において程度の差こそあれ、誰しもが経験する



事です。それがご本人にとって問題になるのは、それが原因となって行動



できなくなったり、考えることができなくなったり、あるいは、望まぬ結果を



生んでしまうことではないでしょうか。表現者として生きていく上で大切な



事は、不安を感じなくなることではなく、どんな時に・何を・どのように不安



に感じるのかを自ら体験し、味わい、糧とする事ではないでしょうか。それ



こそが、『表現の糧』となり、俗に言う『芸の肥やし』となり、ひいては地に



足の着いた個性的な表現者という評価や地位の確立につながるのでは



ないかと思います。不安は恐怖と違い、その対象がはっきりしない事も



多く、一人では解決しづらい部分が少なくありません。そんな時、カウン



セラーの援助を受ける事で、確かな変化へとつながっていく事も多くあり



ます。カウンセリングを受けるという体験もまた、より確かな表現や芸の



肥やしの一つになるかもしれません。上記のような表現者の方々の



来不安・才能不安・漠然とした不安といった、不安に関するお悩み事の



相談をよく受けて降ります。お気軽にご予約のお電話を下さい。何らか



のよいお手伝いができるかもしれません。





将来不安・才能不安・不安全般へのカウンセリング