私の肩甲骨周辺・左腕の上腕(付け根も)から肘にかけての痛み、指先の痛み痺れそして首肩のコリ(痛み)は2回の手術にかかわらず今も続いている。画像上は神経根の圧迫は解除されているのに術前と同じ痛みが続くのは何故だろうという疑問が痛みと共に常にある。

 痛み痺れの原因は頸椎6番7番の間にある椎間板が飛び出してヘルニアとなって(あるいは骨のとげの形成により)第7神経根を圧迫している頸椎ヘルニア(頸椎症性神経根症)と診断されたと理解している。

 

 (頸椎ヘルニアの基礎知識)

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 左は頚椎模型前面(腹面)右は頚椎模式図前面(腹面)。左の頸椎模型で言えば、第6番頸椎と第7頸椎の間にある椎間板(水色)が飛び出して、第7神経根を圧迫していると説明を受けたと理解している。

 

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 この図は、デルマトームと言われるもの。脊髄はそれぞれ番号が付けられていて、何番の脊髄が皮膚のどこを支配しているのか(皮膚知覚帯)というこことを示したものだそうです。上図は全身のもの、下図は頚椎症性神経根症で最も傷害を受けやすい第4から第8頚髄神経根に絞って皮膚感覚の分布を調べたもの。私の場合圧迫れれている神経根は7番。私のヘルニアの位置と痛み痺れの発生箇所が一致している。

 

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 もっとわかりやすい図。「図1」とする。第7神経根が圧迫された場合、上図の箇所に痛みと痺れが発生するらしい。私の痛み痺れ箇所と同じ。

 

(私の症状の診断と手術~MTRI画像を中心に)

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1回目の手術の前に撮影された頸部のMRI画像。6番7番の間の椎間板が飛び出しているのが画像上判断できる。これで、頸椎ヘルニアと診断された。痛みも上記のデルマトームの図と一致しているので第7神経根圧迫による頸椎ヘルニアと診断されたのだと思う。

 

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・左は2回目の手術前の術式を説明していただいた時のMRI画像。画像で言うとヘルニアが前方からも、1回目の手術の時に出来た肉芽が後方からも神経根を圧迫している。

・右は術後のMRI画像。椎間孔は広がっているのが分かる。神経根の圧迫も解除されている。

 

(術後の痛み痺れの継続~何故だろう)

 術後最長で7ケ月はリバウンド症状が続くと説明されたが、現在術後約9ケ月。いまだに術前と変わらぬ痛み痺れが続いている。併発した不安神経症が症状を長引かせているのかもしれないが、2回目の手術は成功して神経根の圧迫は解除されているのに痛み痺れが続くのは神経根の圧迫だけが原因ではないのでは?という疑問が沸いてきた。

 術前・術後もロキソニン(NSAIDs)やリリカそして抗うつ剤も服用したが、全く効果はない。 ブロック注射や整体も痛みに効かない。どうしてだろうという疑問にある程度回答を与えてくれるHPを見つけた。「ヘルニアで痛み止めが効かないのはなぜ?理由や対策がわかる7項目」という記事だ。三宅鍼灸院の院長が記述している。この記事で特徴的なのは、従来痛みの種類は3種類で説明されることが多かったが、ここでは、痛みの原因として筋肉に注目し、「筋膜性疼痛症候群」(MPS)に言及していること。私はこの記事で初めてこの言葉を知った。しかし、後述のとおり「筋膜性疼痛症候群」(MPS)は、最近よく知られるようになった病名であることを知ることとなった。

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従来の痛みの3原因を説明した図

 

この記事をとっかかりに自分なりに痛みの原因と治療方法そして私のケースを整理してみた。

 

(術後も継続する痛みを考察してみた)

 痛みの原因には4つの種類があり、それに応じた治療がある(薬剤名は一般名でなく製品名を使用)。

①-1炎症や刺激による痛み

 侵害受容性疼痛と言われるもの。ケガや火傷をしたとき等の痛みです。ケガをするとその部分に炎症が起こり、痛みを起こす物質が発生する。この物質が末梢神経にある「侵害受容器」というところを刺激するため、「侵害受容性疼痛」と呼ばれている。

①-2治療

 ロキソニンなどの消炎鎮痛薬を使用する。

①-3私の場合

 初期の症状からロキソニンを処方されたが全く効果はなかった。という事から私の場合、初期の頃からヘルニアによる炎症はなかったものと思われる。

 

②-1神経が原因

 神経障害性疼痛と言われるもの。病気やケガそのものは治っているのに痛みが続いたり、外から見えるような原因がないのに痛みが続いたりするのが「神経障害性疼痛」である。神経障害性疼痛は、なんらかの原因で、痛みの感覚をコントロールする神経の経路が、中枢(脳)、脊髄、末梢神経のどこかのレベルで傷つき、その神経が支配する領域に異常が生じることで痛みを感じるのではないかと考えられている。

②-2治療

 神経が原因とされる痛みには、神経障害性疼痛治療薬(リリカ)が最近はよく処方される。

 また、抗うつ薬を使用し、痛みを感じにくくする効果を期待したり、抗てんかん薬を使用する事で神経細胞の異常な興奮を抑えて鎮痛効果を期待したりする。

 ほかに「神経ブロック療法」も考慮される。

②-3私の場合

 術前リリカがペインクリニックで処方されたがこれも全く効果がなかった。2回目の手術後もう一度服用したが、不安障害に関しては劇的な効果があったが、痛みに関してはあまり効果なし。

 抗うつ薬では、SNRI(サインバルタ、トレドミン)とSSRI(レクサプロ、ルボックス)は服用してすぐ副作用が強く服薬中止したので効果は実証出来ていないが、SSRIのジェイゾロフトそしてデジレルは一定期間服用を続けたが、痛みに(うつにも)効果はなかった。

 抗てんかん薬としてランドセンを服用したが、当初1ケ月ほどは効いた実感があったが、その後効果は薄れた。その後も漫然と飲み続けたことによりベンゾジアゼピン系特有の耐性・依存に悩まされている。ということで効果のある薬ではなかったと言える。

 神経ブロック療法は、星状神経節ブロック注射、硬膜外ブロック注射、トリガーポイント注射をしたが全く効果なし(ブロック注射は医師の力量によるところが多いと感じた。またトリガーポイント注射は診療報酬制度の不合理な点にも問題点があると思われる)。

 

③-1精神が原因

 精神的な要素が原因の痛みを心因性疼痛といわれる。体に傷や炎症などがなくても感じる痛み。精神的なストレスや不安などが原因で起こる痛み。

③-2治療

 抗うつ剤を中心とした薬物療法が中心になる。また精神療法や生活習慣などの薬以外の治療も行っていくことが大切といわれている。

③-3私の場合

 慢性的に続く痛みも原因で不安神経症(うつ)を併発して心療内科で抗うつ剤の治療を行っているけれど、上記のとおり数種類の抗うつ剤を試してみたが、副作用で服用を中止した抗うつ剤もあり、私の痛みに効果があるかどうか不明。

 また自習的に認知療法もしているが、これも自習の域を出ないので効果なし。

 

④-1筋肉が原因(以下の記述は冒頭のHPの理論に依って展開)

 筋肉が原因で起こる痛みが「筋膜性疼痛症候群」と言われる。筋肉が疲労して固まってしまった結果出る痛み。上記のHPで初めて知った痛みの種類と原因。

④-2治療

 筋肉が原因の痛みに有効な痛み止めはない。

 冒頭に記載したHPは鍼灸院のHPなので、当然治療方法としては「筋肉が固まったことによる痛みには、痛み止めではなくトリガーポイント鍼療法」という結論になる。

 

 なお、「筋膜性疼痛症候群(MPS)研究会」によれば「痛みの原因になっている異常なfasciaを生理食塩水や局所麻酔薬の注射、鍼、徒手(手技)などにより解消する方法が一般的に取られています。」と記載されている。

 また、「筋膜性疼痛症候群」の代表的な治療法であるトリガーポイント療法を研究している「トリガーポイント研究所」という組織があることも知った。そしてトリガーポイント研究所が行っているトリガーポイント治療・アドバンス講座を修了された医療機関・施術所が紹介されている。」

 あと、「日常損傷病学」~不定愁訴など原因不明で治療困難な症状を専門に治療を研究・実践するサイトも興味深い。このHPの「難病治療・筋膜リリース・腱引き・その威力」の記事に注目。

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生理食塩水の注射によるエコーガイド下Fasciaリリース(大分市の山下クリニックのHPから借用)

 

④-3私の場合

 ・「安静時に痛むことや、痛みで目が覚めること」はなく、ロキソニン等の消炎鎮痛剤は効かないので炎症はない。つまり侵害受容性疼痛ではない。

 ・リリカが効かないということは、神経障害性疼痛ではないと思われる。「麻痺、膀胱直腸障害、巧緻運動障害」はないので神経圧迫はないこと、2回目の手術後のMRI画像でも神経圧迫は解除されていることからも、神経障害性疼痛ではないと判断して良いと思われる。

 ・抗うつ剤も痛みに効かないので、心因性の疼痛ではないと思われる。

 

(術後も継続する痛みの原因~結論)

 ということは、私の痛みは、筋肉が原因の「筋膜性疼痛症候群」の疑いが非常に強いのではと思っている。

 首・肩の「筋膜性疼痛症候群」の症状の現れる場所「図2」は、頸椎ヘルニアの症状の現れる場所上記「図1」と酷似していることも指摘しておきたい。頸椎ヘルニアと「筋膜性疼痛症候群」は同様の場所に同様の症状が出るようだ。

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「図2」 首・肩の筋肉のMPS(筋筋膜性疼痛症候群)により強い痛み痺れが現れる場所。東大阪おおにし整骨院の院長ブログの記事から借用。