こんにちは。
旅行記の続き。
※といっても、旅先は明かしておりません。
ので、あくまで私の独り言のようなものです。
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その日、朝から予約していたオプショナルツアーの
最初の見どころを廻り、
次の目的地への移動のさなか。
「私は”その景色”に出会った」
・・・。
一つの丘を下り、次の丘までのドライブ。
適度に舗装された道を、私を乗せたミニバンが進む。
ガタガタとたまに揺れつつも
乗り心地は悪くはない。
日も昇りきっていない時間帯で
気温もちょうどいい。
車はぐんぐんと進む。
ほんの20分程のドライブだけれど
私達の周りを覆っていた雲が、次第に晴れていく。
重いけれど薄い雲。
風に流され、朝陽に照らされ、消えていく。
すると周りの草木が姿を現す。
まだ朝露の湿り気を帯びているようで
深い緑だ。
背の高い草たちと、農作物らしき植物。
日本の山道の景色に似ているようで
生えている植物の種類がところどころ違う。
ドライブコースの脇には、たまに
茶色や明るい色の建物が立っている。
小屋のような小さな民家があったり
テラス席もあるようなレストランがあったり。
そしてもちろん、そこで生活している人々の姿も。
心もとなそうな電信柱と電線。
建物と一緒に干してある、生活に必要な布達。
大自然と人間が生活している状態の
丁度よさそうな融合の風景。
時間が経ち、日が昇っていく高さに比例して
更に向こう側の景色までクリアに見えてきた。
そして私の目に映ったのは
・・・
「ネ、アレ。ミエタネ、”ダンダンバタケ”。」
ツアーガイドさんの説明。
雲が晴れた景色に見えたのは
壮大な段々畑・・・だった。
わぁ…と思わず声が漏れる私。
とうとう「私は”その景色”に出会った」のだ。
・・・。
この国に行ってみたいと夢想した遥か昔、
ネットで調べて出てきた景色が
まさに目の前に広がっていた。
全ての理由は言わずもがな、憧れの存在。
目の前の景色は、ネットで出てきた景色にも似ていた。
けれど、更にいうと
憧れのあの”先生”の著書に出てきた、
数少ない写真に写っていた景色にも似ていた。
勿論、先生の調査地はもっと更に進んだあたりで、
ツアーなどで行く場所ではないので
実際は違う風景なわけだけど
それでも、その時
目の前に映っていた景色にとても似ていたし
方角的にも間違いなくその方向だった。
先生の足元にも及ばない私なのだけど
先生も見たかもしれない景色を
私も見ることが出来ている、という奇跡。
しかも、
日本から遥か遠く離れた異国で。
私があまりにも感動していたので
ガイドさんとドライバーさんが気を利かせて
見晴らしの良いところで車を停めてくれた。
車から降りて景色を見ておいで、と。
車から降りたら、ますます景色が近く
空気も澄んでいて気持ちよかった。
でも何より、その景色と
自分の中から湧き上がる気持ちとが
リンクするような気がして
全身が震えそうだった。
・・・。
~♪
”布がひらひらはためいて
飛んでいこうか、留まろうか"
~♪
恋心をひらひらした布に例えた、
陽気で優しいフォークソングがある。
憧れの景色の中に身をおいた私の気持ちとその歌が
重なるように感じて、
熱い気持ちが込みあげてきた。
この憧れの景色は
憧れの人と縁がありそうな場所で、
そんな中に立っている私は
まさに憧れの人を想っている。
こんな遥かな景色の中であれば
私の気持ちも(あの人に正直に)
飛んでいける気がした。
でも実際はそんなに簡単に言えるものではなくて、
自分の気持ちも、どんなものかはっきりしないし
正直はっきりさせたくもない。
だから面と向かって、言う事はできない。
私の気持ちは、風に吹かれてひらひらと揺れる
布きれのようだ。
こんな”恋心”が
風にのって、あの人に届けばいいのになぁ、
…と。
空想の世界と現実との落差で
気持ちが行ったり来たりするが
朝の優しい風が頬にあたって
わずかに癒された。
まずはこの景色を、
視界に、胸に、記憶に刻もう。
そして、あまりながい間その場所にいると
胸がいっぱいで泣きそうだった私は
「もう大丈夫です」とガイドさんに言って、
出発を促した。
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これは滞在二日目の話。
徒歩で行くのには遠い農村部に
オプショナルツアーで行った時の感想です。
写真は壮大な景色の中の一部です。
イメージ画のようなものだと思ってください。
