雷が来ることになった。
それを知ったのは一本の電話のメッセージからだ。
雷は怖かった。
大きな音、閃光、
落雷した後の、樹木などの焼け焦げた跡。
しかし、本当の恐怖は、音や光だけでなく。
すがたが見えないから。
学校で気象現象と習ったが、
そうだろうか?
古代人は、雷を現象というよりは、
それを引き起こす幻獣や心霊がいると信じていた。
今では、そんなことを考える人はいない。
自分もその恐怖を忘れていた。
というより、封印していた。
心の奥の収納庫にしまっていた。
電話は訪問の兆しだった。
昼にひとり自宅にいたら、
突然、固定電話の液晶パネルが点灯してすぐ消えた。
そして、時刻などのデータが消えていた。
とりあえず、そのままにしておいた。
数日して、昼に中お茶を飲みながら、
パソコンをたたいていた。
遠くで、雷の音がはじまった、
次第に音が強くなり、
振動が近づいてきた。
次の瞬間、突然、天上の照明がついた。
不思議な感じで、突然部屋が明るくなった。
「来たな」
この前の、電話はこれか。
姿は見えないが、存在は感じた。
宇宙には決して、巡り合えない惑星たちが
いるように、僕らも会えない。
でも、存在は確認し合えた。
それで、よしとくれないか。
地下室の倉庫から、わざわざ訪ねてきてくれた
恐怖「すがたなし」
雷はまだなっていたが、
わかってくれたみたいだ。
足音が、どしんどしんとはなれていった。
最後に
せっかく訪ねてきてくれたのだから、
お茶くらいだすべきだったのか。