太郎君は

子供の頃の友達で、

少し変わった子。

いろんな話しをしてくれた。

 

そんな太郎君の話を紹介する。

 

太郎君の

楽しみは

学校が終わって、 

神社に行くこと。

 

まだ、誰もいない

しんとした場所が好きらしい。


しかし、その日は

静かな神社に行く途中通った

道で、こんなことがあった。


神社の裏には山に通じる小道があり、

道沿いに草木が生えていた。

その草木から何やら声がした。

 

『今日はひとりだね、 よしよし、お話ししよう。』

太郎君は少し怖かったが、

話してみることにした。


今、山や川、海がどうなっているか。

村や人々はどう暮らしているかなど

詳しく聞いてきたが、時々泣いている 

ようにも思えた。


最後に、草木の声が言った。

 

今度会えても、もう話ができない。

お前が大人になってしまうからだ。

そして、いくつか

頼まれたごとをされたそうだ。


 

突然、

山から強い風が吹いてきた。

それは山から小道沿いに

すごい速さで下って、

太郎君の横を通り過ぎたかと思ったら、

神社のやしろの中に

すうと入って行った。

 

びっくりしていると草木の声は、

おまえも早く家に帰れ。

危ないから。

 

急かされるように山を下り、

神社の参道を過ぎて家に帰ったそうだ。



 

その後、太郎君は引越しをしてしまい

ずっと会っていない。

草木の声はなんだったのか・・・。