東京神田 万世橋たもとの店で、

N君はひとりごとを言うように語り始めた。

ここはかつて万世橋前の駅だった。東京駅ができて役目を終えると静かに廃駅となり歴史の中に沈んでいった。

今でも中央線がこの店の上を走っている。

暗い室内の天井には現役の鉄橋が露出していた。

そして、窓の外には灰色に濁った神田川。