『ふるさと想う』 | 小林 太樹 『風・遊・記』 ショートシナリオストーリーブログ  

『ふるさと想う』

「故郷(ふるさと)」の曲が流れる。

♪うさぎ追いし かの山 小鮒釣りし かの川・・・♪


パソコンに向かい黙々と仕事をする男。


そばにあるケータイがメールの着信を伝える。


仕事の手を止め、メールを見る男。


ケータイ画面に「マツタケ採れた」の文字と画像。


男 「へー・・・」


穏やかな表情でメールを返信する男。


返信文字 「美味そう!やっぱりいいところだね、そっちは・・・」


窓の外に広がる雲ひとつない秋空を見つめる男。


その優しげな表情。


男 「・・・・・」


「故郷(ふるさと)」の曲音量が上がる。

♪いかにいます 父母 つつがなしや 友がき・・・♪


パソコンに向かい仕事に集中している男。


室内にインターホンの音が響く。


「ピンポーン」


宅配便の荷物を受け取る男。


男、ゆっくり箱を開ける。


たくさんの大きな柿と手紙。


手紙を読む男。


手紙の文字 「柿をいっぱいもらったから、おすそ分け・・・母より」


苦笑いしながら柿をひとつ取り出す男。


テーブルに置き、じっと柿を見つめる。


男、大きく息をはく。


男 「フー・・・・・」


大きな美しい柿をじっと見つめ続ける。


♪・・・雨に風につけても 想いいづるふるさと♪


ナレーション 「ふるさとに支えられる」


小林 太樹  『風・遊・記』  ショートシナリオストーリーブログ  -2011「秋の柿」