小林 太樹 『風・遊・記』 ショートシナリオストーリーブログ  






【プロローグ】


これまでのキャリアすべてを駆使し、人と社会に貢献出来る作品創りを目指しています。


このブログでは超短編シナリオをメインに、ときどき書道やエッセイなどを投稿します。


その他、時代ストーリー、リリック(詞)、日本映画コラムにも挑戦します。


ひとつひとつ、出来る限り多くの人の心に響くことを願いながら、創造したいと思います。





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検察側の罪人

 

コンプライアンスは人と社会を守る。

 

越えてはならない壁であり、一線だ。

 

これを隔てて、正義と悪に分かれる。

 

では正義とはいったい何なのだろう。

 

その価値はひとによって全く異なる。

 

正義という悪、悪という正義もある。

 

 

コンプライアンスとは強制力を持つ。

 

法令の枠だけで善悪が判断されると、

 

善は正義という絶対的権力が備わり、

 

悪は社会的にも圧倒的に不利になる。

 

だがそんな枠や一線だけを重視して、

 

単純に善悪を決めていいのだろうか。

 

 

人間は誰しも心が存在し感情がある。

 

人と人との関係は法令では計れない。

 

一線を越える正義があっていいのだ。

 

むしろ壁をぶち破る勇気こそ正義だ。

 

ぜひそうであってほしいと願いたい。

 

だって、人間は A I ではないからだ。

 

 

 

 

 

 

 

終わった人

 

夢を追い求めて故郷を離れる。

 

生まれ育った場所から旅立つ。

 

慣れ親しんだ環境からの脱皮。

 

見ず知らずの都会へ飛び込む。

 

若さゆえ不安より希望が勝る。

 

一心不乱に挑み、戦い続ける。

 

 

何気なく故郷の存在に気付く。

 

歳を重ねるごとに大きくなる。

 

思い出がひとつ、またひとつ。

 

その邪念を振り払おうとする。

 

思い描いた夢には届いてない。

 

故郷への懐古と、戦い続ける。

 

 

帰る場所のことを故郷という。

 

生まれ育った場所でなくても。

 

心の中で永遠に息づいている。

 

その人にとっての真の故郷が。

 

思い出と戦うことはやめよう。

 

いまを素直に生きてみようよ。

 

 

結局夢は一生追い続けるもの。

 

終わった人なんていないから。

 

 

 

 

 

 

 

TAXI story -blue-

 

大通りを流す一台のタクシー。

 

前方に空車のタクシーが連なる。

 

左折しても前に空車のタクシー。

 

再び左折しても空車のタクシーが前に。

 

ため息をつくドライバー。

 

「困ったな・・・」

 

駅前のタクシー乗り場に行く。

 

待機するタクシーでいっぱい。

 

客はおらず、タクシーは動かず。

 

「参ったな・・・」

 

官庁街、ビジネス街を流す。

 

繁華街周辺を入念に流す。

 

駅前周辺をゆっくり流す。

 

客はいない・・・。

 

公園脇に車を停める。

 

運転席から降りるドライバー。

 

大きなため息をつく。

 

「今日はダメだ・・・」

 

思わず天を仰ぐ。

 

青空が見えた。

 

白い雲がゆっくり、ゆっくりと流れる。

 

「・・・」

 

男はそれを、しばらく見ていた。

 

「こういう日もある、か・・・」

 

自動販売機で缶コーヒーを買う。

 

空を眺めながら、ゆっくり飲んだ。

 

「さぁ、行きますか・・・」

 

再び走り出す一台のタクシー。

 

その後ろ姿が小さくなっていく。

 

やがてハザードランプが点滅する。

 

「遠くて申し訳ないのですが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

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