今日は、というよりここ数日、何か悶々としている。何だろうか。朝から少しずつもやもやが溜まっていき、帰る頃にはよくわからなくなっている。

帰り道、何か忘れてきたような気がした。けれども、気持ちは慌てるのではなくて、どこかに漂ってしまうような、忘れ物はもう引き返せないところにあるんだという平静さ、というか。忘れ物があるのは、どこ、ではなく、いつ、にだから。

一年浪人したわけだけれど、この一年の間に身につけなければいけなかったのに、やり直さなくてはいけなかったのに、やらなかった大事なこと、あるような気がして、いやたぶんある。とてもとても大切なこと、たぶんうすうす気づいていたのに。

勉強ももちろんだけれど、気持ちとか、こころとか、そういうもの。

もっともっと前かもしれない、忘れてきたのは。2年前か、3年前か、それとももっとずっと前か。

4月になったら、こんな気持ちなんて忘れて毎日のことにまた夢中になっていくんだろうな、たぶん。もちろん、こんな気持ちに毎日いやというほど向き合わなくてはいけないような結果は嫌だ。
けれど、自分がいつか、に何か大切なものを置き忘れてきたことをすっかり忘れて毎日を過ごしていくのも、どこかこわい。

まあ、とにかく、忘れ物をしてしまったのだ、たぶん。そして取り戻せる大きなチャンスは行ってしまったのだ。これから、また取り戻すチャンスはあるのだろうか、それともずっと取り返せなくて今の自分をうらむことになるのだろうか。

ぼんやりと電車に揺られて考えていた頭に、浮かんできた、昔聞いたうた。

「♪…
 遠いあの日の原っぱに
 何かわすれて来たようで
 銀河の五線紙の
 星たちの歌聴いてます」

いつ聞いた歌だろうか、この前に続く歌詞はなんだったろうか。

ひとつ分かるのは、自分も、この歌の気持ちが少しだけ分かるようになった、ということだろうか。