世界を飛び回る余剰資金は今まで何度も世界経済を混乱に陥れてきた。

90年代、タイのバーツ暴落から始まったアジア通貨危機はヘッジファンドが売りを浴びせたことにより起こったが、東南アジアの新興国の経済に壊滅的な打撃を与えた。
これがきっかけで東南アジアから流出した投機資金は、世界中の成長の見込まれる地域や分野に集中しては短期的な利益を得ると売り逃げるというバブルの連鎖を作り出した。

その舞台となった国では、発展途上国の場合は通貨下落による物価の高騰と国際機関からの政府借り入れ(そのほとんどが先進国のヘッジファンドに持っていかれたのだが)返済のための増税が貧困層を襲った。先進国では膨大な赤字国債が積み上げられた。為替相場の急激な変動によるコスト上昇に対応するため、労働市場の規制切り崩しと規制緩和後ですら半ば違法なリストラの嵐が吹き荒れた。



最近読んだある本に、情報化時代の今実体のないところ、例えば株式市場での手のサインや為替市場のパソコン上の売買指示画面から莫大なお金が作り出されている、という主旨の一節があった。また同じ本に、よりよい給料を求めてただひたすら働くのは、人類が洞窟に住んで獲物を追っていた頃の食料獲得手段と同じくらい時代遅れだ、というような箇所もあった。

しかし、これは確かに現代の特徴を言い当てているが、新たな時代の生活の指針とはならない。実体のないところから作られるお金には本来、実体的なものと交換される価値があるはずがない。本来実体のないものが実体的価値を持つ物と交換されているとしたら、それは他者か未来からの搾取だ。

先ほどのリストラや財政赤字の山積がそれだ。



さて、かなり感情的になったが、このようにみてくると、少なくとも主に素人による博打まがいの投機的FXは規制すべきではないだろうか。自由市場の信奉者も文句あるまい。自由市場の理論は市場参加者は合理的な行動をとるという仮定のもとでしか成り立たないのだから。

現時点でも規制はあるが、ペーパーカンパニーや海外の会社の利用で簡単に突破できるザルだそうだ。

それから、利益に対する課税を強化すべきだ。儲けた本人はデータ分析やタイミングの習得に多大な才能と労力を注ぎ込んでいるかもしれないが、過労死労災死は当然という仕事で得た給与と同税率というのはそのような職場の人にとって認め難いだろう。日本経済、ひいては円の価値はそのような仕事によって支えられていることも考慮すればなおさらである。



とは言うものの、確実に儲かるFXなり、他の投機なりのやり方を見つけたら、欲に負けて自分もやらずにはいられなくなるんだろうな。そうなるとあまり他人のことは言えないか。

そうそう、FXについて書いたら閲覧数もペタ数も跳ね上がった。閲覧数を上げたい時は記事中にFXと入れるといいかもしれない。儲け話のブログってこんなにあるものなんだな。